令和の背水の逆転劇

梅原大吾とは

梅原大吾さんは、日本で初めて格闘ゲームのプロという職業を確立したプレイヤー。「The Beast」という異名でも知られている。

世界最大規模の格闘ゲームイベント「Evolution Championship Series」では、2009年、2010年に2連覇を達成。同じく2010年には「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス世界記録に認定された。

現在もレッドブルや世界的なゲームデバイスメーカーのHyperX、Hit Boxからスポンサードを受け、プロとして前線を走り続けている。

伝説の試合「背水の逆転劇」とは

梅原大吾さんは、2004年の「Evolution」準決勝で北米の伝説的なプレイヤーであるジャスティン・ウォンさんと対戦。

圧倒的な体力差を付けられた状態から相手のスーパーアーツ（必殺技）による連続攻撃を読み、全段ブロッキングし大逆転を収めた。

このブロッキングは、通常のガードとは異なり、攻撃が進む寸前に自身の進行方向にレバーを入力することで、相手の攻撃を無効化できる高等テクニック。進行方向に入力する都合上、ブロッキングに失敗した場合、相手の攻撃をモロに食らってしまうというリスクがある。

一撃でも食らえば負けるという状態から逆転してみせたことから、この試合は「背水の逆転劇」と呼ばれ、梅原さんの名前を世界に轟かせた。

余談だが、ジャスティンさんがスーパーアーツを放った際に、勝ちを確認した観客から「レッツゴージャスティーン！」という声が挙がっていた。その後の逆転があまりに鮮やかだったこともあり、「レッツゴージャスティーン！」は今なおミームとして親しまれている。

新たなる伝説「令和の背水の逆転劇」とは

2023年6月25日に、プロゲーミングチーム・Crazy Raccoonが最新作『ストリートファイター6』のコミュニティ大会「CRカップ」を開催。

この大会は、格ゲープロやストリーマー、VTuberが5人1組のチームを組んで戦うというもの。

梅原さんは、プロゲーミングチーム・ZETA DIVISIONに所属するストリーマーの関優太さん、k4senさん、バーチャルYouTuberグループ・にじさんじに所属する葛葉さん、叶さんと共にチーム「ビーストチルドレン」を結成。

大会本番では、全4チームが総当たりで戦った結果、「ビーストチルドレン」とプロゲーマー・ふ～どさんが率いるチーム「保険適用外」が決勝に進出。

来る決勝では、先鋒～副将戦までを2対2で終え、梅原さんとふ～どさんの勝敗にすべてが委ねられることになった。

梅原さんは総当たりの際にふ～どさんに敗北しており、3本先取で結果が決まる決勝戦でも、立て続けに2本を落としてしまう。

ふ～どさん優勢のまま始まった3本目でも1ラウンド目を落とし、このラウンドを落とせばストレート負けというリーチがかかった状態で2ラウンド目に突入。

スーパーアーツを受け、体力が残り2割あるかないかというところまで追い込まれ、観戦している他チームからも「95%ふ～どが勝った」という声が上がる中、梅原さんが反撃を開始。

ふ～どさんの攻め手への適切な対処と猛烈な攻撃によって3本目を奪い取ってみせ、劇的な逆転にチームメイトや観戦者からは「令和の背水の逆転劇だ」という声が挙がった。

勢いに乗った梅原さんは、そのまま4本目、5本目に連勝。チームを優勝へと導いた。