
雑誌に幸福な“合併”はありうるか? 『怪と幽』創刊号
「雑誌が売れない、読まれない」という話は、もう聞き飽きるほど耳にしてきただろう。実際に取次ルート経由(定期購読や電子版以外による)の雑誌売上は減少の一途を辿っているし、それにともない雑誌広告も冷え込んでいる。 だがしかし、である。それだ…
「雑誌が売れない、読まれない」という話は、もう聞き飽きるほど耳にしてきただろう。実際に取次ルート経由(定期購読や電子版以外による)の雑誌売上は減少の一途を辿っているし、それにともない雑誌広告も冷え込んでいる。 だがしかし、である。それだ…
『ニューズウィーク』日本版(CCCメディアハウス)の2019年6月4日号が「百田尚樹現象」と題し、ノンフィクションライター石戸諭による20ページにわたる特集記事を掲載した。 『永遠の0』『海賊と呼ばれた男』など数々のベストセラー作品を生み出してきた…
いまの時代に「文芸誌」はどうあるべきか。その問いに一つの回答を出したのが、この夏に行われた『文藝』(河出書房新社)の「文芸再起動」と称した大幅な誌面リニューアルだった。 2019年夏号から編集長が坂上陽子に交代し、アートディレクターに佐藤亜…
日本の「カルチャー誌」と呼ばれるものに対して、長いこと不信の気持ちを抱いていた。 「カルチャー誌」の定義は曖昧だが、映画や音楽からサブカルチャーまで広義の文化的な事象を扱い、主に若い世代に向けてつくられる、グラフィカルでありながらテキス…
思想家の東浩紀が編集する雑誌『ゲンロン』が、この9月に「第2期始動」と謳った第10号を刊行した。昨年10月以来、11ヶ月ぶりの刊行となる。 1993年に旧ソ連の作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンの『収容所群島』を論じた文章で、批評家・柄谷行人が…
『暮しの手帖』は2019年8-9月号で「第5世紀」を迎えた。通巻100号を迎えるごとに新しい「世紀」を迎えたとするこの呼び方は、戦後を代表する編集者として名高い花森安治が考案したもので、『暮しの手帖』は今年で通巻400号を超えたことになる。 2002年か…
現代アートの専門誌『美術手帖』は、創刊70年を迎えた2018年から隔月刊行となった。それに先立つ2017年にはWeb版をローンチしており、刊行間隔が開いたかわりに記事をYahoo!ニュースやSNSで配信するなどWebで積極的に展開している。 2008年より長らく同誌…
日本でこれほどまでにフェミニズムという思想や行動原理が広範な関心を集めるのは空前のことではないかと思えるほど、ここ数年、多くのメディアがこのテーマを積極的に取り上げている。 本連載でも以前に取り上げた文芸誌『文藝』の「韓国・フェミニズム…
大手広告代理店の博報堂が出している『広告』という雑誌がある。通常の書店で見かけることは少なく、放送局や出版社などマスコミ関係者が多く集まるビジネス街や、雑誌に力を入れている大型書店でときおり目にするくらいで、私自身、過去にも2、3回しか買っ…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックの様相を呈していった今年の春から初夏にかけて、多くの雑誌がこの特集を組んだ。 東アジアから欧州、そしてアメリカへと短期間に感染が広がり、世界的にみると収束するどころかいまなお拡大傾向にあ…
このところ日本のSFが面白くなり、新しい作家との出会いを楽しんでいる。なかでも『SFマガジン』2020年8月号の特集「日本SF第七世代へ」で紹介された2010年代デビュー組の作家には、久しぶりに新しい波の到来を感じる。 その代表的な存在が樋口恭介と津久…
編集されたコンテンツの束としての雑誌を、ひとつの「事件」の現場としてフィールドワークするこの連載に、今回でいったん一区切りをつけることにした。 最終回は三つの雑誌をとりあげる。いずれも創刊号か、創刊からまだ間もないこと、A5判の「読む雑誌…