若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
70年の歴史誇る『美術手帖』新体制の一号目はアニメーション特集。
紙とWebのハイブリッド・メディアとなった美術誌の現在。
現代アートの専門誌『美術手帖』は、創刊70年を迎えた2018年から隔月刊行となった。それに先立つ2017年にはWeb版をローンチしており、刊行間隔が開いたかわりに記事をYahoo!ニュースやSNSで配信するなどWebで積極的に展開している。
2008年より長らく同誌の編集長を務めてきた岩渕貞哉は近年、「アート×ブロックチェーン」「100年後の民藝」「アーティストのための宇宙論」「『移民』の美術」などユニークな切り口の特集企画を打ち出し、「アート」とは何かという問いへの答えがますます自明ではなくなるなか、果敢な試行錯誤をしてきた。そして2020年2月号より岩渕は「総編集長」となり、望月かおるが後任の編集長となった。
望月編集長のもとでの最初の特集は「アニメーションの創造力――2010年代のアニメ史における革新とは何か?」だ。望月は「Editor’s note」でこう述べている。
近年のアニメーションを取り巻く状況をみると、動画配信サービスによって視聴環境が多様化し、音楽業界などとのメディアミックスや、グッズやゲームなどライツ事業が展開されマーケットも活況を呈している。これらを背景に、アニメーションの表現にはどんな変化が起きているのだろうか。
『美術手帖』2020年2月号「Editor’s note」より
こうした問題意識のもとで組まれた特集は、「10年代の表現はどう変化したか?」「革新を支える制作技術」「拡張・越境する次世代クリエイター」「環境と構造」と題された4つのパートからなり、インタビューや対談、鼎談が数多く行われている。
執筆:仲俣暁生 編集:新見直
目次
- 「アニメーションの創造力」を構成する4本柱
- アニメ史10年をどう捉え直すか?
- アニメ制作と雑誌編集の類似性
- アニメーションという表現におけるダイナミズムを凝縮した誌面
- 『美術手帖』に関連した、残念な出来事
- 必要なのは無条件に「開く」ことではない
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