若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
雑誌は今も“事件の現場”なのか? 『WIRED』日本版の編集などを手がけてきた文筆家・仲俣暁生氏の問いかけ。
最終回は、創刊されたばかりの三つの雑誌を通して、その問いに向き合う。
編集されたコンテンツの束としての雑誌を、ひとつの「事件」の現場としてフィールドワークするこの連載に、今回でいったん一区切りをつけることにした。
最終回は三つの雑誌をとりあげる。いずれも創刊号か、創刊からまだ間もないこと、A5判の「読む雑誌」という共通点がある。
いま、テキストを読むための雑誌を立ち上げるモチベーションはどこにあるのか、その気概は読者である私にどのようなインパクトを与えたのかを書いてみたい。
執筆:仲俣暁生 編集:新見直
目次
- 『ことばと』示す越境 既知を超えて未知へ
- 『DAWN』の切迫感 ストリートから発される“言葉”
- 『海響』フェミニズムとアノニマス
- 現場では、いつも 「共有」と「分散」が起こっている
まもなく第2号が出るタイミングだが、最初に書肆侃侃房から創刊された『ことばと』に触れよう。
これまで書肆侃侃房は2016年から2019年にかけて作家・翻訳家の西崎憲を編集長に文芸ムック『たべるのがおそい』を7号にわたり発行してきた。
同誌には芥川賞候補作となる作品が二度(今村夏子「あひる」、宮内悠介「ディレイ・エフェクト」)も掲載されるなど、一定の成功を収めた。
『ことばと』は、その終刊を受けた、次のプロジェクトである。
同じく年2回刊の文芸ムックとして、今年の4月に創刊された『ことばと』の編集長は佐々木敦。ながらく批評家として活躍してきたが今年でその活動に終止符を打ち、『新潮』2020年4月号に掲載された「半睡」で小説家としてデビューしたばかりだ。
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