『文藝』特集「韓国・フェミニズム・日本」が示した文芸再起動の狼煙

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  • 2019.08.30 12:00:00

文芸誌としては“異例に次ぐ異例”の事態となった『文藝』特集「韓国・フェミニズム・日本」の二度の増刷。

リニューアルを果たした同誌の誌面を、質の面から紐解く。

『文藝』特集「韓国・フェミニズム・日本」が示した文芸再起動の狼煙

『文藝』2019年秋号 特集「韓国・フェミニズム・日本」

いまの時代に「文芸誌」はどうあるべきか。その問いに一つの回答を出したのが、この夏に行われた『文藝』(河出書房新社)の「文芸再起動」と称した大幅な誌面リニューアルだった。

2019年夏号から編集長が坂上陽子に交代し、アートディレクターに佐藤亜沙美を起用、表紙や本文イラストにはクイックオバケが採用され、ネット上では「動く表紙」も話題になった。

今回のリニューアルにあたって最大の編集方針の変更は、大胆な特集主義をとったことだ。新元号への改元のタイミングで出た2019年夏号の特集は「平成・天皇・文学」。なかでも三島賞作家・古谷田奈月の新作長編『神前酔狂宴』全370枚が一挙掲載されたのが話題となった。

そして最新号となる秋号では「韓国・フェミニズム・日本」と題し、このところ静かなブームが続いている韓国の現代文学とフェミニズム文学(その両者が交差したところに、日韓でともにベストセラーとなったチョ・ナムジュの『82年生まれ、キム・ジヨン』がある)を取り上げた。

この号は異例ともいえる増刷(2002年冬号以来17年ぶり)と3刷(1933年の創刊号以来、86年ぶり)が行われたが、2刷と3刷を併せても増刷分は6000部に過ぎず、量の面からだけみればそれほど大きなものではない。なにしろ『82年生まれ、キム・ジヨン』は日本でも十数万部、韓国ではミリオンセラーになっているのだから。

むしろ今回の『文藝』秋号の「成功」は企画面、つまり質のレベルで正当に評価されるべきだろう

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特集と特集外、雑誌と社会との共振性

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