LAM インタビュー「僕は天才ではない、だけど──」
2020.11.21
成人向けゲーム業界でデザイナーとして働いていた人物が、シナリオライターデビュー。その代表作品『ぼくたちのリメイク』は、テレビアニメ化を控えている。
作者の木緒なちが伝えたい、ものづくりについての真実──。
クリエイター
この記事の制作者たち
2021年にはTVアニメの放送が控えている、MF文庫Jで刊行中のライトノベル『ぼくたちのリメイク』。
2006年に戻ってクリエイターを目指すというストーリーで、「このライトノベルがすごい!2018」では文庫部門新作第4位、総合6位にランクインするなど注目を集める。
また、著者の木緒なちさんは、アニメ『ひだまりスケッチ』のロゴはじめ、もともとは漫画やラノベの装丁、アニメのロゴやパッケージなどを手がけるデザイナー。彼が代表をつとめる「KOMEWORKS」と言えばメーカーの間では名の知れた存在だ。
一方で、成人向けゲーム『グリザイアの果実』などを手がけるシナリオライターでもあるという異質な経歴を兼ね備えている。
数奇な運命を辿ってきた木緒なちさんとはどんな人なのか。その
※本稿は、2018年に「KAI-YOU.net」で配信した記事を再構成したもの
取材・文:cube Tanaka 編集:新見直
目次
- ディレクター兼デザイナー兼シナリオライター…木緒なち
- ものづくりは、恵まれた人に与えられた特権ではない
- 実体験としての空気や戸惑い、熱量ぜんぶ詰め込んだ
- 自身が作家になってわかったこと
木緒なち(以下、木緒) こんにちは、木緒なちと申します。
──よろしくお願いします。小説を書く以外にもいろいろなお仕事をされている木緒さんについて、まずは最初に軽く自己紹介をいただいてもよいですか?
木緒 元々はまったくオタク業界とは関係ない企業広告制作のお仕事をしていたんですが、美少女ゲーム業界にいた友達から「こっちでいろいろ楽しいことやってるぞ」というお誘いを受けて。
それでフリーランスとして、ゲームのロゴをつくったりパッケージのデザインをやったりしていたんですけど、「ねこねこソフト」というゲームメーカーさんに就職することになったんです。
そこでディレクター兼デザイナー兼シナリオライター兼……みたいなことをやりはじめたのが今につながる転機になった感じですかね。
その後、デザイン方面で私の仕事をお手伝いしたいという方がいらっしゃって、それなら法人名義をつくろうということで会社を立ち上げたのが、現在代表をつとめているKOMEWORKSのスタートです。
──デザイナーとしてお仕事しているうちに、シナリオライターとしても活動することになったと。例えば、デザイナーとしては『ひだまりスケッチ』や『ご注文はうさぎですか?』のロゴや単行本の装丁、シナリオ作品ではアニメ化もされた『蒼の彼方のフォーリズム』(「あおかな」)などを手がけられていますよね。
木緒 そうですね。「ひだまり」の蒼樹うめさんとは前職のお仕事の時に知り合いまして、そこから芳文社さんとご縁ができて以来、いろんな作品の装丁をおかげさまで担当させていただいてます。
「あおかな」は世界観から全部つくったこともあって、自分の中でも非常に印象深い作品ですね。この作品以降、スポ根で明るくて可愛らしくてみたいなところが自分の得意な作風のイメージとしてご相談をいただくことも多くなったかなと。シナリオは個人で受けて、デザインの仕事は法人の方でやるという感じですね。
──シナリオを書き始めたきっかけも、なかば無茶ぶりのようなものだったとか?
木緒 2003年頃の美少女ゲームって業界自体がまだまだ未成熟で、とにかく「できる奴がやれ」みたいな空気がどこのメーカーさんにもあって。
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