KMNZ衣装手がけた「モリオン航空」インタビュー VR時代のファッションとは
2021.07.13
クリエイター
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VRChatは恋愛文化が盛んだ。一部の調査では、VRChatを含むソーシャルVRで、「恋をしたことがある」経験は40%に上り、ヘビーユーザーに至っては76%もの割合で恋愛体験が報告されている(外部リンク)。
そうした文化を象徴する言葉として「お砂糖」という用語がある。もともとは、女性向け同人誌の界隈でラブラブなカップルやシーンについて語ることを「砂糖を吐く」と表現していたことから派生したとする説が有力だが、いつ頃からどのような語源で使われはじめた用語なのかはよく分かっていない。
しかし、「砂糖のように甘い関係性」というニュアンスだけはコミュニティ内の共通了解となっており、VRChatの文化において話題の中心になることも多い。
だが、一方で「お砂糖」の対義語として「お塩」という言葉もあるように、そこで行われている実践は現実の恋愛以上に複雑で脆い。VRChatユーザーはお砂糖文化を通じて何を得て、何を失うのか。本稿では、一般VRChatユーザー2名へのインタビューを通じ、お砂糖文化が見せる一側面をルポする。
目次
- 「お砂糖」という言葉との出会い
- VRChatは人間関係の加速装置である
- バーチャルでの関係性は、“現実”に敗北してしまう
- お砂糖は「苦い鏡」として機能する
そもそも「お砂糖」とは何なのか。冒頭でも紹介した通り、そこに明確な定義はない。むしろ、そこから連想される「甘い」というニュアンス以外には、個々のユーザーが抱いている含意も異なる。むしろ、その曖昧さが「お砂糖」という言葉を要求する。つまり、マジックワードだ。
筆者は2021年3月にVRChatをはじめてから、人並みにお砂糖の経験を持つ。付き合っていた期間はバラバラだが、現在に至るまで4人ほど。今は、VRChatをきっかけに知り合った恋人がいる。
私にとって「お砂糖」とは、新しい言葉だった。「彼女/彼氏」という言葉と異なり、異性カップルと同性カップルとの間に隔たりを感じさせない「お砂糖相手」という言葉にVRChatならではの先進性を感じていた。それに、これまで現実での恋愛経験がほとんどなかった自分にとって、お砂糖カップルは憧憬の対象だった。
はじめてのお砂糖相手ができたのは、VRChatをはじめて半年ほどが経った時。同じ時期にVRChatをはじめたコミュニティの中で、お砂糖文化が度々話題に出はじめ、半ば好奇心から親友とも恋人ともつかない曖昧な関係がはじまった。結局、彼とは遠方だったこともありオフラインで会うことはなく、関係は半年ほどで終わった。
その後も、人間関係が自然と進展していくなかで、お砂糖相手ができたタイミングは何度かあった。オフラインでよく遊ぶ仲にまで発展した相手もいる。けれど、(これも人によっては異なる印象を受けるかもしれないが)「お砂糖」という形象は、VRChatと強く結びついている。現実での関係性も含めて恋愛対象として意識しはじめた途端に、関係性に求めるものが「お砂糖」ではなくなる。だから、現在は「お砂糖」という言葉に頼らない恋愛を求めている。
筆者にとって「お砂糖」とは、恋愛文化への入口だった。VRChatという空間と、そこで急速に育まれる様々な人間関係──その延長線上に自然と立ち現れてくる「恋愛」。対象が異性であるか同性であるかは重要な問題ではない。人と人との間に生まれる特別な親密性が恋愛だ。
「お砂糖」関係の特異性は、まずその関係性の進展速度にある。
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