特殊詐欺を賛美する最先端レゲエ 超格差国家ジャマイカを揺るがす不良“チャパ”の実態
2023.07.20
海外インターネットで一世を風靡する保護犬かぼすのミーム。
Dogeから読み解くイーロン・マスクの思想――長期主義の倫理観。
2023年4月4日、Twitterのロゴマークが何の前触れもなく一匹の柴犬に変わった。
大半の日本人Twitterユーザーはさぞかし困惑したことだろう。しかもその柴犬というのが、どこにでもいそうな、日本に住む「かぼす」と名付けられた一匹の飼い犬でしかない、とすればなおさらだ。
今年18歳を迎えるかぼす(♀)は、保育士の佐藤敦子(かぼすママ)によって2008年に引き取られた保護犬である。それ以前のかぼすは、ブリーダーの廃業によって他の19匹の柴犬とともに動物愛護センターに収容された後、動物愛護団体に保護されていた。一緒に連れてこられた柴犬のほとんどは殺処分されてしまった。
前の犬を亡くしてから2年が経ち、もう一度犬と暮らしたいと思った佐藤は、里親募集の広告でかぼすのことを知った。動物愛護センターに連れてこられてから16日後、かぼすは彼女の家族の一員となった。
その2年後の2010年2月13日、佐藤は自身のブログ(現「かぼすちゃんとおさんぽ。」)に、かぼすの写真を数枚掲載した。その中の一枚に、かぼすがソファに座り、眉を吊り上げながら少し驚いたようにカメラを横目で凝視している、どことなくファニーな写真が含まれていた。
この一枚の画像が、どういうわけかRedditや4chanなどの海外圏のインターネットを中心にミームとして異例のバイラル・ヒットを引き起こしたのだ。インターネットミーム解説サイト「Know Your Meme」が2020年に行った、2010年代に流行ったミームトップ50を決めるユーザー投票企画では、カエルのぺぺなどを抑え見事にかぼすのミームが一位の座に輝いた。
かくして、柴犬のかぼすは「Doge(ドージ)」という愛称のもと、テン年代を代表するミームのひとつとしてインターネット史にその姿を永遠に刻み込まれることとなった(ちなみに「Doge」とは「犬」を意味する英語「Dog」のスペルを故意にいじったもので、日本のインターネットにおいて「イヌ」を「イッヌ」、「ネコ」を「ヌコ」と表現するのと似たノリと思われる)。
目次
- Twitterのロゴが柴犬になったワケ
- イーロン・マスクに噂されるドージコイン価格操作疑惑
- 宇宙とAIにまつわるイーロン・マスクの誇大妄想的ビジョン
- 長期主義的な集団監視に向かうイーロン・マスクの実験場としてのTwitter
- 未来を先取りするミーム。どこ吹く風のかぼす
近年では、DogeミームはNFT(非代替性トークン)や暗号通貨の領域にまで浸透している。
2021年6月、ミームの元となったかぼすの写真がNFTのオークションにかけられた。結果、Doge NFTはおよそ406万ドルで落札され、ミームNFTオークションとしては史上最高額を記録した。
撮影者でかぼすの飼い主である佐藤はオークションの終了後、日本赤十字社やWFP(国際連合世界食糧計画)を含む世界中の慈善団体に売上金を寄付した。
この件について佐藤は、「かぼすが人々に愛されるミームとなるにつれ、私はかぼすが宇宙から特別な使命を与えられていると考えるようになりました。これらのNFTの立ち上げを通じて、世界中の困っている子どもたちを助けたい。子どもたちが笑顔になるお手伝いができれば、かぼすも私もとても幸せです」とインタビューのなかで語っている。
Kicking off tomorrow, an auction of eight Doge NFTs from their original owner @kabosumama in collaboration with KYM and @ourZORA will be up for sale. Learn more about the auction and see what all the buzz is about here: https://t.co/tGZr3nzE42 pic.twitter.com/9FE1XGBUig
— Know Your Meme (@knowyourmeme) June 7, 2021
2013年末には、Dogeはドージコイン(DOGE)として暗号通貨の世界にも参入していた。今回のTwitterのロゴ変更も、元をたどれば実はこの暗号通貨としてのドージコインが深く関わっている。
もともとTwitter社(現X社)のCEOイーロン・マスクはドージコインの熱心な支援者&伝道者として知られ、その名も「Dogefather」(ゴッドファーザーのもじり)なる異名まで頂戴していた。
2021年には、その名も「DOGE-1」と名付けられた小型衛星(キューブサット)をマスク有するスペースX社のファルコン9ロケットによって月に打ち上げる計画がマスク本人の口から発表された。計画によれば、「DOGE-1」は月の軌道を周回し、搭載されたセンサーとカメラで月の画像や空間情報を取得する。取得された映像は地球に中継され、そこからYouTubeなどの動画プラットフォームでストリーミングされる予定とのこと。
なお、本プロジェクトは複数の暗号通貨企業と提携しており、打ち上げの費用はすべてDOGEで賄われるという。マスクはTwitter上で、このプロジェクトによってDOGEは「宇宙で最初の暗号」になり、「宇宙で最初のミーム」になると高らかに誇示していた。肝心の打ち上げ予定日は今年の第三四半期とされている。
SpaceX launching satellite Doge-1 to the moon next year
– Mission paid for in Doge
– 1st crypto in space
– 1st meme in spaceTo the mooooonnn!!https://t.co/xXfjGZVeUW
— Elon Musk (@elonmusk) May 9, 2021
Twitterを430億ドルで買収したマスクが、2023年4月4日にTwitterのロゴマークをそれまでの青い鳥からDoge(かぼす)に突如変えた背景には、こうした文脈が存在していた(ちなみにこのとき、ドージコインの価格は30%以上上昇したという)。
マスク本人が冗談めかして言うには、以前Twitterのフォロワーから送られてきたリプライ「Twitterを買収して、鳥のロゴをDogeのロゴに変えてほしい」というリクエストに応えたまでだ、ということらしい──ちなみにマスクはそのリプライに対して「ハハ、そいつはヤベえことになるな(haha that would sickkk)」と返している(外部リンク)。
結局、柴犬のロゴは短い期間を経て元の青い鳥に戻った。しかし、暗号通貨の投資家たちの間でも、マスクのこうした身振りを好まない層は一定数いる。ドージコインの創設メンバーであるジャクソン・パーマーも、DOGE-1の打ち上げミッション発表に不満を抱いている一人だ。
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