VRChatの「お砂糖文化」が変容させる“親密性の速度”とリアリティ
2026.01.15
クリエイター
この記事の制作者たち
「VRChatって、結局何が面白いの?」──そんな疑問を投げかけられることがある。
VRChatのユーザー数は、ここ5年ほど基本的には右肩上がりだ。日本国内だけに目を向けても、2024年6月から8月頃にかけて配信者・スタンミさんのVRChatへの参加および精力的活動を見て起こった大規模な新規流入を背景に、最近では人気ワールドに限れば同時接続者数が数百人を記録することは珍しくなくなった。
VRChatの過去5年の同時接続者数推移/画像は<a href="https://metrics.vrchat.community/?orgId=1&refresh=30s" target="_blank">「VRChat API Metrics」</a>より
大規模な音楽フェス、現実では体験できない幻想的な景観の場所や、実際にある海外の観光地を再現した世界、他のコミュニティには見られない独特の文化......。外から見えるVRChatは、そんな派手な側面ばかり語られがちだ。
筆者も4年以上、VRゴーグルを被りVRChatという仮想空間で週100時間「生活」している。しかし、意外にも「そんなに長い時間、一体何をしているのか?」と問われると、それに正面から答えるのは難しい。
いつも派手なイベントに参加するわけでもなければ、常に何か目的をもって活動しているわけでもない。私の日常の大部分は、ただ、そこにいる誰かと「話す」ことで満たされているからだ。
物理的な距離も、時間の壁も軽々と超えて実現する「出会いと会話」。このシンプルだが強力な体験こそ、VRChatが私を惹きつけてやまない最大の理由だ。
本記事では、これまであまり語られてこなかったVRChatの「地味だけど本質的な魅力」を、4つの具体的なシチュエーションを通して解き明かしていく。
VRChatをはじめる際に、事前にVRChatで遊んでいるリア友や、別ゲームのフレンドなどがいる人は非常にラッキーだ。一人でVRChatをはじめた際に、まず最初のハードルとなるのは「友達探し」だからだ。
「家の近くの飲み屋で友達を見つける」と言えば、そのハードルの高さがわかるかもしれない。しかし、それを乗り越えて、だんだんと自分を打ち明けられるコミュニティを築いていければ、VRChatはあなたの生活に欠かせない一部となる。
「日本語話者向け集会場「FUJIYAMA」JP」で手を振る筆者
まずは、「[JP]Tutorial world」や「日本語話者向け集会場『FUJIYAMA』JP」「Japan Talk Room 日本人向け談話室 [ JTR JP ]」など、人気の「集会場ワールド」に訪れてみよう。
特に、こうした人気の集会場には、初心者向けの案内をすることが好きなユーザーも多い。はじめたばかりだということをアピールすれば、彼らの会話に混ぜてもらったり、操作方法などをレクチャーしてもらったりできるかもしれない。
「[JP]Tutorial world」では基本的な操作方法などを有志のユーザーが教えてくれるケースも多い
最初の会話のきっかけはいろいろだ。難しく考える必要はない。まずは、ただ挨拶をしてみる、手を振ってみるだけでもいい。そのなかで、興味のある話をしているグループがあったら、思い切って会話に混ざってみたり、あるいはVRChatをはじめた目的やわからないことがあれば、それらを聞いてみたりするのも、会話のきっかけづくりになるだろう。
こうしたパブリックインスタンス(誰でも入れる部屋)には、同じ時期にはじめた初心者や、一期一会の出会いを求めて訪れているベテランまで、様々な人がいる。
筆者も、最初の1~2週間ほどは、知り合いもおらず、当時人気のパブリックインスタンスで、入れる会話の輪がないか探っていた。そこからできたコミュニティが最初の「居場所」となり、4年たった今でも付き合いがあるフレンドもいる。
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