Vol.4 進化するバーチャルカルチャーの現在と未来
2019.09.26
アメリカのVTuberエージェンシー・VShojoから独立を発表したアイアンマウス。
彼女が語る英語圏のVTuberシーン、偏見や自身の抱える難病への思い。
クリエイター
この記事の制作者たち
VTuberのグローバル化が一部で進む中で、確たる人気を獲得したVTuberがいる。アメリカのバーチャルタレントエージェンシー・VShojoから独立を発表したアイアンマウス(Ironmouse)さんだ。
2024年には、映像配信プラットフォーム・Twitchのサブスクライブ数(チャンネルの有料会員)で世界1位を獲得し、さらに配信プラットフォームを分析するWebサイト・Streams Chartsの調べでは世界3位に輝いた。
今回はそんなVTuber/配信者として世界を牽引するアイアンマウスさんに、Twitch Japanチーム協力のもと、単独インタビューが実現した。
分類不能型免疫不全症(CVID)という難病を抱えながらも、「サバソン」という配信方法で人気を獲得したアイアンマウスさんはどのように世界を駆け抜けてきたのか? インタビューを前後編で公開する。
※本インタビューは、配信企画「サバソン(Subathon)」の寄付金の流失が判明する前に実施されたものです。
※分類不能型免疫不全症 原因がいまだ特定できていない病で、頻回の罹患傾向に加え、感染が重症化しやすい特徴を持つ抗体産生不全症のひとつ。(出典: 難病情報センター、関連リンク)。近年、国立東京医科歯科大学が原因遺伝子を発見したとの報告がされており、研究が進められている(関連リンク)。
目次
- 闘病と孤独と戦う内に思いついた配信活動 キズナアイからの影響
- 英語圏VTuberシーンの変化「何にでもなれるのがVTuberの素晴らしいところ」
- アイアンマウスが直面したVTuberへの偏見
──VTuber活動を始めたきっかけを改めて教えてください。
アイアンマウス 私がVTuberを始めたきっかけは、正直にいうと当時寂しくて、友達がほしいと思っていたからです。私は分類不能型免疫不全症という病気を患っていて、どうしても隔離した生活を送らないといけません。外出をすると感染をしやすい病気なので、当時すごく寂しくて。
家に1人でいて、仕事も出来ないので、何か出来ないかと考えたときに「配信 ストリーミングだったらできるし、多分友人もオンラインでつくれるんじゃないか」と思いつきました。当初は顔出しで配信しようと考えていて、心配する気持ちもあったところ、友人がキズナアイさんのことを話しててくれて。
その時の私は「キズナアイさんはすごく有名で、彼女みたいな人はかなり高い技術を使って活動をしているから、私にはできないだろう」と思っていました。
けれど、友人が「FaceRig※という安いソフトがあって、それだったらキズナアイさんのような活動ができるよ」と教えてくれたので、それがVTuberを始めるきっかけになりました。ただ、その時の友人は「VTuber」という単語は使っていなかったですね。
※FaceRig ウェブカメラを用いて、操作者の動きに合わせてCGキャラクターを動かすことが出来るフェイストラッキング用ソフト。すでに開発終了しており、後継ソフトのAnimazeが登場している。
──キズナアイさんに影響を受けたということですが、どんな活動、どのようなところに魅力を感じたのでしょうか?
アイアンマウス キズナアイさんのパフォーマンス全般が好きですし、彼女の活動を見るのはとても楽しかったです。特にキズナアイさんの好きなところは、ゲームをされている時の面白いリアクションと歌ですね。
キズナアイさんは、当時(編注:顔出しで活動する)配信者ならできても、VTuberには無理だろうと思われていたことを成し遂げていたので、とてもインスピレーションを受けました。
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