キズナアイ活動休止、4年ぶり天使復活──2022年VTuberシーン総括【懐古編】
2023.01.08
※本稿は、Webメディア「KAI-YOU」にて2026年10月に公開された記事を再構成したものです。
「それは、すべての境界がなくなる日。」という壮大なテーマを掲げるファッションショーと音楽ライブの複合イベント「X VORDER RUNWAY」が9月27日に開催。VTuber、ゲーム/アニメキャラクター、リアルアーティストが、界隈や次元を越えて千葉・幕張メッセに集結した。
バーチャル界からは、Studio STELLAR/ホロライブ・星街すいせいさんやKAMITSUBAKI STUDIO・花譜さん、HIMEHINAといった音楽活動で知られる面々に加え、にじさんじ・星川サラさん、ぶいすぽっ!・橘ひなのさん、Crazy Raccoon・赤見かるびさんなど大手グループの人気タレントたちが出演。また、KAWAII CLUBさんも名を連ねた。
リアルアーティストには、水曜日のカンパネラの詩羽さんとナナヲアカリさんというインターネットと縁の深い2人が揃う。
これまでにもリアルとバーチャルのアーティストの共演は見られたが、本イベントが特異なのは、さらにゲーム/アニメキャラクターが参加することにある。2027年2月に発売を控える『ペルソナ4 リバイバル』からは久慈川りせ、「ストリートファイター」シリーズからはなんと春麗が参戦。
そしてスペシャルゲストとして、「アイドルマスター」発のアイドルプロダクション・765プロダクションから天海春香、如月千早、星井美希、アニメ『【推しの子】』からB小町まで登場。その顔ぶれだけでも、「X VORDER RUNWAY」の振れ幅の大きさがうかがえる。
「X VORDER RUNWAY」キービジュアル/画像は公式サイトより
タイトルに“RUNWAY”の文字があるように、今回のイベントは単なるライブではなくファッションショーでもある。前述した出演者たちが幕張メッセに実際に設けられたランウェイを歩むというのも見どころのひとつになっている。
そのランウェイを飾るにふさわしい今回だけのステージ衣装を手がけたのは、イラストレーターのMika Pikazoさん。同じ意匠をベースにした(いわゆる)共通衣装ではなく、それぞれの個性に沿った衣装を全員分デザインした。
その異様なまでの力の入れようで成し遂げんとするのは、あらゆる境界を廃した奇跡のクロスオーバー。誰も夢にも思わないほどの異次元の共演は、幕張の地でいかなる化学反応を巻き起こしたのか。
情熱とテクノロジーが交差し、バーチャルとリアルが交錯した夢幻のごときイベントの様子をレポートしていく。
目次
- ファッションショーと音楽ライブの融合「X VORDER RUNWAY」
- 花譜、星街すいせい……バーチャル界の歌姫たちが彩るステージ
- 星川サラ×久慈川りせ、アイドルとしての本領を全開に発揮
- 水曜日のカンパネラ・詩羽×VTuber・赤見かるび──リアルとバーチャルが交錯
- HIMEHINA&橘ひなのがB小町の曲を歌うサプライズも
- ジャンルも次元もすべてを越えて──<新しい宇宙>がはじまる
- 「X VORDER RUNWAY」セットリスト
【画像】「X VORDER RUNWAY」ライブフォト(全25枚)
ホールに広がる巨大なステージはただでさえ圧巻だが、中央から伸びる花道が、今回のイベントを象徴するような存在感を放っている。このランウェイがどのように活用されるのか。ジャンルを超えて集った出演者たちはどんな夢のステージを繰り広げるのか。未知なる光景への期待が高まる中、ついにショーの幕が開く。
キュートでクールなVサインをキメながら<I'm a V>の宣言と共にステージへ現れたのはHIMEHINAだ。ハードなダンスサウンドでオープニングから特大のインパクトを放ち、一気にフロアのテンションを最高潮へ導く。
だがここからが「X VORDER RUNWAY」の真骨頂。ステージ中央に星街すいせいさんが現れると、なんとそのままランウェイを進んでいく。
「X VORDER RUNWAY」ライブフォト
世界を股にかけるバーチャルアーティストユニットのライブが繰り広げられる最中、バーチャル界のディーヴァ(=歌姫)がランウェイを華麗に歩む──今回のイベントのコンセプトを一撃で知らしめてみせる。
星街すいせいさんのドレスは、ビビッドカラーと漆黒の大胆なコントラストが映えるデザイン。見るサイドによって印象が正反対に変わるという、これ以上なくランウェイの第一走者たるファーストルックに相応しいものとなっていた。
自信と気品にあふれるウォーキングでトップまで辿り着くと、爽やかにターンしてステージへと戻っていく。まさしくファッションショーな流れに見惚れていると今度は星川サラさんがオンステージ。
「X VORDER RUNWAY」ライブフォト
星川サラさんの衣装は、キュートでポップな本人のカラーを色濃く反映させたルック。
長い髪とリボンを揺らしながら跳ねるような歩みで、衣装の魅力を数千倍にも膨らませる。ウィンクまでキメて地鳴りのような大歓声を巻き起こすと、続いては橘ひなのさんが登場だ。
「X VORDER RUNWAY」ライブフォト
ピンクとブラックのテーマカラーに合わせた衣装は、胸元に物々しく手錠が下がっている一方、スカートに配されたホワイトが清楚感も演出。カッコよさと可愛さを絶妙に同居させながら、初披露とは思えないほどに馴染んでいる。
息もつかせぬ怒涛のラインナップ、次に飛び出すのは赤見かるびさん。
赤見かるびさんはネイビーブルーの洗練さとフリルのファンシーさが調和した大人っぽいルックで登場。いつになく真剣な表情で見守るオーディエンスの胸をときめかせる。ランウェイのトップに辿り着けばしっかり可愛いポーズも見せてくれた。
「X VORDER RUNWAY」ライブフォト
ランウェイとドレスが、出演者たちの普段とは異なる魅力を引き出していく──そんなファッションショーの醍醐味をこれでもかと味わわされる中、ステージではHIMEHINAがパワフルなパフォーマンスを繰り広げているのだからたまらない。
そして、満を持して田中ヒメさんと鈴木ヒナさんの2人がランウェイへと躍り出る。それぞれのアーティストカラーを反映したピンクとブルーの衣装は、パフォーマンスに対応したアクティブなスタイル。
「X VORDER RUNWAY」ライブフォト
リボンやフリルなどのディテールが可愛らしさを添え、硬軟織り交ざるHIMEHINAのスタイルに即したルックに仕上がっている。2人は、仲良く楽しそうに歩きながら衣装をお披露目した。
そしてラストには、これまで登場したモデルたちが勢揃い。HIMEHINAのパフォーマンスに合わせ、広いステージをいっぱいに使ってダンスを披露し、夢のクロスオーバーを繰り広げる。
「X VORDER RUNWAY」ライブフォト
最後は<惚れたら死ぬぞ?>の決め台詞でオーディエンスの心臓を撃ち抜き、ド派手なオープニングを飾ってみせた。
ここから先は、KAI-YOU Premium会員限定です
残り文字数
5,978 文字
残り画像枚数
18 枚
記事の続きでは、以下のトピックをお楽しみいただけます
他3トピック
※初回登録の方に限り、無料お試し期間中に解約した場合、料金は一切かかりません。
様々なジャンルの最前線で活躍するクリエイターや識者を中心に、思想や作品、実態に迫る取材をお届け
様々な記事の中から編集部で厳選したイチオシ作品をご紹介
「KAI-YOU Premium」 3代目編集長/ラッパー
現代の日本の音楽シーンを語るなら、ボカロ文化は不可欠。2020年代のボカロ曲において、音楽的な独自性はどこにあるのか? 柴那典さんが「MAJ2025」受賞候補曲から考えます。
ライター
『ブルーアーカイブ』の青い色彩設計、そしてエデン条約のストーリー。この2つを柱に日本のサブカルチャーがアジアにどんな影響を与えたか、韓国でどう花開いたかを紐解きます
ライター
ぶいすぽっ!所属の蝶屋はなびさん。普段から前向きな姿勢を崩さない彼女のひたむきさはどこから来ているのかうかがいました。格ゲートークも充実!
編集
語られざる、違法な海賊版トレーディングカードゲームの歴史。世界広しと言えども、この解像度でその歴史を紡げる人は、SF作家・ゲームコレクターである赤野工作氏しかいない。
編集
結局、同人誌って違法なの? 実在する「VTuber」の二次創作、もしかして肖像権侵害や侮辱罪に当たっちゃう? 令和版、同人文化への最新の法的動向を弁護士に根掘り葉掘り聞いてます。
編集
日本語ラップを、構造的に理解する──音楽としてでもライフスタイルとしてでもない、新しいヒップホップの解釈を提示してもらっています。
編集
オタク/ラップのトップランナーだからこそ語れる“ニコラップ”の世界。懐かしいだけじゃなく、今に接続される話になっています。
ライター・編集者
減らないVTuberの活動休止について、根本的な原因を九条林檎さんに聞きました。推しのVTuberがいる方は、ぜひ読んでもらいたい内容です。