Interview

  • 2023.11.07

VRで収益10万円以上のユーザーは僅か7% 「VR調査」で知るバーチャルのリアル

VRで収益10万円以上のユーザーは僅か7% 「VR調査」で知るバーチャルのリアル

クリエイター

この記事の制作者たち

バーチャル美少女ねむさんとマルタ大学(マルタ共和国)の人類学者・Mila(リュドミラ・ブレディキナ)さんによるアンケート調査プロジェクト「VRライフスタイル調査2023」のレポートが公開された。

これはソーシャルVRのユーザーの生活実態を明らかにし、定量的に分析するための大規模アンケート調査プロジェクト。

2021年に公開された調査から2回目のレポートとなる今回、国内VRサービス・clusterのシェア増大や80%のユーザーが自分専用のアバターを利用していること、サービスや地域によってコミュニティの様相が大きく異なることなどが確認できる。

この記事では、2人の独占インタビュー取材を交えて内容を紐解いていく。

※2023.11.09 調査レポート名が変更となったため、記事もあわせて修正いたしました

目次

  1. 日本を中心に全世界のユーザーからの回答を掲載「VRライフスタイル調査2023」
  2. AIボイスチェンジャーの利用や恋愛パートナーの状況まで「VRライフスタイル調査」で明らかに
  3. VRにおける2年間の変化 3つのポイント
  4. メタバースが現実に影響を及ぼす事例は、増えてきている
  5. 今後メタバースで収益を得るユーザーは爆発的に増える
  6. 一般層に広まるには解決しないといけない課題が山積み

日本を中心に全世界のユーザーからの回答を掲載「VRライフスタイル調査2023」

バーチャル美少女ねむさんとMilaさんは、2年前にも「VRライフスタイル調査2021」と題した調査を実施。

日本だけでなく世界のVRユーザーを対象に調査を行い、国・地域ごとの傾向の違いを分析した。

「VRライフスタイル調査2023」

2回目となる今回は質問項目を追加。日本を中心に全世界のユーザーから計2,007件の回答が寄せられた。

レポートではこれらの回答を、「ライフスタイルとコミュニティ」「アイデンティティ」「コミュニケーション」「経済」「ファントムセンス」の5つの項目に沿って分析。

80ページに及ぶ内容が公開されている。

AIボイスチェンジャーの利用や恋愛パートナーの状況まで「VRライフスタイル調査」で明らかに

次のページではお2人のインタビューを交えながら注目の調査を見ていくが、ここではまず、5項目ごとに概観していこう。

VRでのライフスタイルとコミュニティ

「ライフスタイルとコミュニティ」では、サービスとしてVRChatNeosVR、cluster、バーチャルキャストが利用される状況に変化はなし。

「VRライフスタイル調査2023」ライフスタイルとコミュニティ

一方で、日本での女性ユーザーの割合は回答全体の15%と、前回の調査よりも6%増えるなどの変化も見られる。

「VRライフスタイル調査2023」女性ユーザーの増加

VRでのアイデンティティ

「アイデンティティ」の項目では80%が自分専用のアバターを利用していること、「AIボイスチェンジャー」の利用が広まっていることがうかがえる。

「VRライフスタイル調査2023」アイデンティティ

また、音声変換ソフトの利用目的として女性から「匿名性の確保」という需要があることも明らかになった。

「VRライフスタイル調査2023」

「VRライフスタイル調査2023」のアバターはやはり人型の形態をとっているものが人気の傾向

VRでのコミュニケーション

「コミュニケーション」では、ソーシャルVR内での恋愛についても紹介。

「VRライフスタイル調査2023」コミュニケーション

インタビュー部分でも詳しく触れているが、恋愛パートナーがVRだけでなく物理的な現実においても恋人であると答えた割合が、以前の調査から9%も増加していることが明らかになった。

VR上での恋愛パートナーがいる場合、現実でも恋人であると答えた割合が41%に

VRでの「経済」動向

今回新たに加わった「経済」動向の調査項目では、18%がソーシャルVRへ年間10万円以上の支出をしていることがわかった。

「VRライフスタイル調査2023」経済

逆に、まだ収益基盤としてはソーシャルVRはそこまで機能していないことも調査からは見えてきたが、将来的にソーシャルVR関連の活動の収入を主軸に生活していきたいと回答しているユーザーは全体の34%に上っている。

全体の26%が、ソーシャルVRでの収入がある。ただし10万円以上の収入を得ているユーザーはわずか7%

VRでの「ファントムセンス」

「VRライフスタイル調査2023」では「ファントムセンス」──VR体験中に視覚以外の感覚を擬似的に得る現象についても調査している。

「VRライフスタイル調査2023」ファントムセンス

プレイ時間が長いほど触覚を感じる人の割合が増えていくが、1000時間を超えると、ファントムセンスを感じるユーザーが全体の半数に達して、それ以上は頭打ちという傾向が判明している。

つまり、どれほど長時間、VR上で生活したとしても、2人に1人はファントムセンスを感じないという結果に。

次項からは、調査をおこなったバーチャル美少女ねむさんとMilaさんへ、今回の「VRライフスタイル調査2023」についての所感やポイントをうかがっている。

VRにおける2年間の変化 3つのポイント

──まずは、「VRライフスタイル調査2023」の結果を振り返っての所感をうかがえますか?

ねむ 「コミュニティ」や「経済」といった項目を追加したことで、現在メタバースを生きている住人が一体どんな社会をつくりつつあるのか、その手がかりを得ることができました。それが今回の一番の成果です。

「VRライフスタイル調査2023」

プラットフォームや地域によってコミュニティがどのように変化するのか可視化することができ、メタバース内の経済についても、現時点での実情から「将来的に人々が本当にそこで稼いで生きていきたいと思っているのか」どうかまで、詳細に明らかにすることができました。

私自身にとっても発見の連続で、80Pを超える長大なレポートになってしまいましたが、驚きと興奮に満ちた分析は本当に楽しい作業でした。きっとみなさんにも楽しんでいただけるのではないかと思います。

Mila 私はそこに、ユーザーの行動に進化が見られることを付け加えたいと思います。人々はメタバースを社交や生計を立てる場所として考え始めており、これはソーシャルVRが一般的になりつつあることを示していると私には思えます。

──2年前に公開された第1回のレポートから最新レポートでの変化について、特に注目するべきだと考えるポイントがあれば教えていただきたいです。

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「VRライフスタイル調査2023」についてねむ&Milaへインタビュー