半グレやCBD事業者は「医療用大麻解禁と大麻使用罪新設」をどう考える?
2023.11.25
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2022年10月21日から23日にかけて豊島区で開催された、漫画・アニメ業界のカンファレンス「IMART2022」(「国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima」)。
セッションには、アニメや漫画の制作や流通を担う企業の代表らが登壇。紙媒体から電子媒体への移行や新たなプラットフォームの登場など、変化する業界についての知見を交換した。
アニメ『チェンソーマン』で注目されたスタジオ・MAPPAの担当者による講演や、韓国発の漫画文化・Webtoonを制作するスタジオの代表たちによる、日本の業界が抱える問題点についてのセッションなど、様々な講演が行われた。
本稿では、日中韓それぞれの国のWebtoon市場や流通について、各国の有識者が意見を交わしたセッション「Webtoon販売セッション: 海外との比較から考える日本市場の課題とこれから」をレポート。
韓国の漫画文化に関する深い知識を持ち、翻訳者・ライターとしても活動する宣政佑さん、株式会社ビリビリの新規事業室責任者・金春成さん、KADOKAWAのタテスクコミック部部長兼ブックウォーカー執行役員の寺谷圭生さんが登壇。
Web文化や出版・漫画産業などについて広い知見を持つライター・飯田一史さんが聞き手役をつとめている。
本稿は、2023年1月にKAI-YOU.netで掲載されたものを再構成したもの
目次
- 企画と販売力の弱さ、日本のWebtoonが抱える課題
- 作家がインフルエンサーに 本場韓国のWebtoonシーン
- 「誰もが何らかの形で表現者になれる」のがWebtoon
- 韓国でWebtoonが生まれてきた経緯
- BiliBili担当者が語る中国のWebtoonシーン
- アプリの中にSNSや動画機能が内蔵、ファンの熱量が離脱しない仕組み
- KADOKAWAの「持続可能な市場づくり」を目指したWebtoonへの取り組み
- 漫画自体が動く時代に、中国で広がる新たな動き
- 日本Webtoon市場の最大の課題「投資金額の桁が違う」
- 世界の動きに目を向けることが、国内の市場をとらえるヒントになる
セッションが始まると飯田一史さんはまず、「日本のWebtoonは、中国、韓国の作品やWebtoon以外の日本漫画(※)と比べて、広い意味での『販売力』が弱い」と投げかけた。
※本稿では、Webtoonではない、雑誌等に連載されコミックスとして出版される横開きの日本の漫画を便宜上「日本漫画」として記述する。
世界では、Web小説などメディアミックスの起点となる原作を巡るIPの争奪戦が起きている。Web小説プラットフォーム上での競争に勝った作品がマンガ化/Webtoon化されるか、あるいはNAVERの「挑戦漫画」のようなWebtoonの自由投稿プラットフォームで人気になった作品が勝ち上がって公式連載になる。
そのため、売れる見込みのある企画をそもそも厳選した上で、予算をかけて公式連載に進んでいる。日本漫画の場合も、正式な連載の前には、読み切りといった形でテストを行い、企画段階でふるいにかける仕組みが存在している。
しかし、日本のWebtoonにおいては事情が異なり、現状(※)では、プラットフォームに参加しているスタジオが自ら原作から制作したオリジナル作品がそのまま市場に流通していることが多い。企画のスクリーニングが不十分な状態で作品を世に放つのであれば、なおさら売るための販売力が必要になる。そのため、このセッションで「販売」をテーマとしていると飯田一史さんは説明した。
※本稿で「現状」「今」と言った場合、すべてIMARTで本イベントが開催された2022年時点を指す。その後、状況が変わっている点もあることは留意されたい。
今の日本のWebtoonには、有効なプロモーション手段としては、プラットフォーム側が打っている広告くらいしか存在していない。
もし、あるWebtoon作品が連載開始時に広告に採用されたとして、それでランキングに入ればある程度売れ続けることができるが、広告を打ってもらえる対象にならなければ、あるいは打ったとしても読者に刺さらなければ、それ以上は露出の機会が限られており、苦戦を強いられることが少なくない。
日本漫画であれば書店や街頭広告、TikTokといったSNSでのプロモーションやアニメ・グッズ化などのIP展開によって新たな顧客へリーチできるが、日本Webtoonは映像化をはじめとする二次展開はまだまだこれからという段階。アワードや影響力のあるメディアも少なく、ユーザーからのリアクションもアプリ内のコメント欄程度しかなく、話題づくりという面でも課題が多い。
日本の市場が持つ課題点を整理した上で、飯田一史さんは、韓国Webtoonでは『外見至上主義』『喧嘩独学』のパク・テジュンさんや『女神降臨』のヤ・オンイさんのように、作者がインフルエンサーとして有名になり、テレビなどへも出演していることを紹介。
他に「韓国では作品の認知度を上げるために行われていることや仕組みはありますか?」と問いかけたところ、宣政佑さんは「韓国でも街頭広告や作家によるSNSでの拡散など、取られている手法自体に大きな差はないです」「アワードよりも、ドラマをはじめとするメディア化の方が効果が高いですね」とコメント。
間違いなく今の作家の方がSNSの使い方は上手いが、日本でも漫画家がテレビに出ることがあるように、韓国でも紙の漫画が主流だった時代から漫画家がテレビやCMに出演することはあって、元からそういったメディア露出は行われていたと語った。
宣政佑さんは、Webtoonに関する日韓の環境の違いとして、韓国のNAVERではチャレンジ(挑戦漫画)という形式で作品を投稿でき、Daum(現在のKAKAO)でも投稿作品に対して編集が付く体制を取っており、自由に作品を投稿できる環境が整っていることを挙げた。
KAKAOは元々大手Web小説サイト「KakaoPage」を運営していたため、現在多くのヒットを生み出しているWeb小説の人気作をWebtoon化するという手法にいち早く着手したことも補足している。
飯田さんもこれに同意し、日本のLINEマンガでも「LINEマンガインディーズ」という仕組みはあるものの、Naver WebtoonのアプリではLINEマンガと違って自由投稿の「挑戦漫画」(インディーズ作品)への導線が画面の中心にあり、切り替えも容易にできる点に触れ「(日本でも)本当に(作家・作品を)育てたいなら、もっと目立つところに自由投稿作品や新人の新連載をおいてほしい」と問題意識を指摘した。
飯田さんは続けて、シェア機能についても、韓国のサービスではコマを切り抜いてコメント欄やSNSでシェアでき、シェアされた側はすぐに当該話数をWebブラウザを通じて読めるようになっているのに対し、日本のアプリでは特定の話をシェアしようとしても、作品全体の紹介ページに飛ばされる仕様になっており、ユーザーが盛り上がりをつくれるようになっていないと指摘。
この違いについて宣政佑さんは、Webtoonという文化はインターネットのカルチャーであり、その文化が生まれた韓国では根底にインターネットの持つ「誰もが何らかの形で表現者になれる」という思想が活かされており、実際に黎明期からコメント欄などが整備されていたのだと説明した。
実はこのコメント欄の整備は、Webtoonの収益モデルにも起因していた。
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