個人勢として活動を始め、VTuber事務所・ぶいすぽっ！への加入を果たした夢野あかりをゲストにお招きしてお届けする大石昌良の対談連載「音楽にも物語を」。

第1回で「ゲームは見る専」を遂にやめ、自ら『VALORANT』を始めることを示唆した大石昌良。

ぶいすぽっ！夢野あかりを徹底分析 “アニソン界一の配信好き”大石昌良が惚れ込む才能

シンガーソングライターにアニソン作家、バンドマンと、様々なスタイルで、独自のクリエイティブを磨き上げる稀代のヒットソン…

続く第2回では、夢野あかりの配信を始めた経緯や、各種エピソードをたどりながら、そんな彼の夢野あかりオタクぶりが披露される。

ストリーマーとミュージシャン。違うジャンルで活動する2人が対話の中で見出した共通点とは？

目次

1. お兄ちゃんの鶴の一声が、デビューのきっかけ
2. 口にして、反省する日々……
3. 誰も客がいなくても続けられた人間だけが、今ここに立っている
4. 「あかりんは持ってた」
5. 夢野あかり・大石昌良の睡眠論
6. 無敵タイムが来るまで、ひたすら貯金する

お兄ちゃんの鶴の一声が、デビューのきっかけ

──夢野さんが配信を始めた経緯など、改めてお話をおうかがいしてもよろしいでしょうか？

大石昌良　あの話好きですよ。お兄ちゃんに勧められて始めた、みたいな。

夢野あかり　知ってくれてるんですね！

大石昌良　仮にもファンとしては、やっぱあかりんの起源は押さえておかないと。

夢野あかり　今あかりんファンの最前線を走ってますよ、大石さん。その話をしてたら一番先頭ですよ。

夢野あかりさん

夢野あかり　僕は配信始める前、焼肉屋さんで週7,8,9とかで働いてたんです。そういう風に長い期間働いてるうちに「何のために働いてるんだろう？」みたいに、ネガティブになってしまった時期があったんです。

大石昌良　ずっと「研修中」って札が取れなかったんですよね。

夢野あかり　そうなんですよ。一緒に入った子たちは、2,3週間で研修バッチが外れるんですけど、僕はミスが多すぎて店長に「お前は逆にこの研修バッチつけてないと、お客さんに怒られるかもしれないからつけとけ」って言われて、何ヶ月もつけてました。

大石昌良　僕はそれ聞いて、なんて一生懸命な人なんだろうなって思いましたよ。人が2時間、3時間でできることを、100日、200日かかるのがあかりん。

夢野あかり　研修バッチをつけながらも頑張って働いてましたね。お客さんからも「研修ちゃん」ってあだ名をつけられて定着してたんですよ。

でもやっぱり疲れちゃって結局焼き肉屋さんを辞めて、そこから映画鑑賞にハマったんです。映画を見るためにPS4を買って、Amazon Prime Videoとかいろいろ見てるときに、無料で遊べるFPSゲームが流行ってるって知って『Apex Legends』にハマりました。

そのときに、お兄ちゃんに「ゲームやってるなら、配信とかしてみれば？」って言われて、財布にあったお金を全部使って、その日にPCを買って配信を始めたんです。

大石昌良　すごくないですか？ あかりんの行動力もすごいし、お兄ちゃんの鶴の一声もすごい。お兄ちゃんは当時、ゲームのことについて結構知ってたんですか？

夢野あかり　それが全く知らないんですよ、お兄ちゃん。

大石昌良　でしょうね。配信のことをそんな知らないからこそ、そういうカジュアルな感じで言えたのかも。

夢野あかり　そうなのかもしれない。でも、本当にその一言で今があるので、お兄ちゃんに感謝してますね。お兄ちゃんのおかげで、今日大石さんとも話せてますから。

大石昌良　僕もお兄ちゃんに感謝してます。お兄ちゃんのおかげで、今あかりんと話せてるんですよ。

夢野あかり　大石さんがありがとうって言ってましたって伝えます。

大石昌良さん

大石昌良　今度菓子折り持っていきますと。そのお兄ちゃんの職業まで知ってるから、俺は何なんだろう……。美容師さんですよね？

夢野あかり　もう、僕の全部知ってるじゃないですか！ 僕がまだ本当に配信始めたての頃は、配信とか全然わかってなかったんで、お兄ちゃんはお客さんにも話してたみたいです。「これ、俺の妹だよ〜」みたいな。

大石昌良　そうなんですか。やば！

夢野あかり　ある日僕のことを知ってるお客さんが来て、僕の話で盛り上がったみたいなんですよ。それを聞いて「もう（妹だって話しちゃ）駄目だよ！」って。多分、同時視聴者数も3桁いってない頃だったと思います。

大石昌良　お兄ちゃんにはそこでリテラシーを仕込んだんですね。……全然どうでもいい話というか、自分のことが気持ち悪いなと思ったんですけど。