「望月けいは私であって私ではない」人生をかけて描く理想のクリエイター像
2021.08.30
望月けいさんが手がけた『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』キャラクター原案
クリエイター
この記事の制作者たち
8月8日から配信されているアニメーション映画『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』は、1953年に発表された手塚治虫さんの漫画『リボンの騎士』を原案としたリブート作品だ。
魅力的なアクションとキャラクター描写を得意とするアニメーター・五十嵐祐貴さんが監督をつとめ、亡国のプリンセスである主人公・サファイアの声優をラランド・サーヤさんが担当。
布陣からも並々ならぬ挑戦を感じさせる本作において重要な出来事の一つが、イラストレーター・望月けいさんの参加だ。
現代イラストシーンを代表する存在の一人である望月けいさんは、『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』でキャラクターデザイン原案を担当。これまでもゲーム作品などでキャラクターデザインを手がけてきたが、アニメへの本格的な参加は今回がはじめて。
その歴史的な機会にあたり、アニメ業界での確かな経験を持ち、望月けいさん自身も尊敬と信頼を寄せるイラストレーター・米山舞さんが協力。万全の体制で初となるアニメ作品でのキャラクターデザインに挑んだ。
今回は、望月けいさんにとっての挑戦の舞台を用意した張本人・五十嵐祐貴監督との対談が実現。“望月けいのアニメ初参加作品”──その重みを誰より意識していたのは、他ならぬ望月けいさん本人だった。
目次
- 稀代のイラストレーターによる、アニメ初参加作品
- 望月けいを動かした、米山舞の言葉
- サファイアの帽子をなくすという選択
- 『THE RIBBON HERO』で表現した人間の負の部分から生まれる魅力
- 何が正しいかを問い続ける──望月けいにとってのヒーロー
──望月けいさんは『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』がはじめてのアニメ参加作品となりましたが、どのような経緯で参加されることになったのでしょうか?
望月けい 元々アニメ文化は好きですし、描いているイラストもアニメから影響を受けている部分も大きいので、アニメのお仕事はずっとしたかったんです。
これまでもありがたいことにいくつかお声がけいただいていたんですが、どの作品に参加するべきか悩んでいた頃に、この作品のオファーをいただきました。
『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』メインビジュアル
五十嵐祐貴 『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』においては「『リボンの騎士』を題材に新しいものをつくる」というテーマがあったので、キャラクターデザインも新鮮味をもたせて、面白いことができそうな人にお願いしたいと考えていました。
何人か候補を考えていた中で、望月さんは可愛さとカッコよさを両立できる方だったので、一番合うのではないかと思いオファーさせてもらいました。
望月けいさん。2015年よりフリーランスとして活動を開始し、ゲーム、音楽、書籍など幅広い分野で活躍。破壊的な創造性で常に自身の世界の表現を更新し続ける。代表作に『Fate/Grand Order』バーヴァン・シー(妖精騎士トリスタン)、『刀剣乱舞』京極正宗、『第四境界』キャラクターデザインなど
五十嵐祐貴監督。1988年生まれ。『映像研には手を出すな!』3話で映像の6割の原画を1人で担当、『呪術廻戦』EDの1人作画などでアクションアニメーターとして人気を獲得。初監督作『スター・ウォーズ:ビジョンズ「のらうさロップと緋桜お蝶」』は物語描写とアクションシーンで国内外から高い評価を得た
──参加に至った決め手はなんだったのでしょうか?
望月けい どんな作品に参加するにしても“望月けいのアニメ初参加作品”として見られることになると思っていたので、しっかりそこに意味を持たせられる作品に参加したいと考えていました。
いくつかお話をいただいていた中で『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』に惹かれたのは、何より『リボンの騎士』を原案とした作品ということです。
もともと手塚先生の作品が好きで『リボンの騎士』も読んでいたので、のちに振り返った時に、アニメ初参加作品として全力を出せたと実感できるのはこの作品かもしれないと思いました。
監督とも直接話をさせていただき、原作への強いリスペクトを感じましたし、作品が目指しているものが私の大事にしている価値観と通じるところもあったので、ぜひご一緒したいと思ったんです。
望月けい 実は、以前から米山舞さんに「いつかアニメのお仕事がしたい」とは相談していて。その中で「けいさんのイラストは特殊でこだわりのある絵柄だから、参加するならそこを汲んでくれる作品がいいよ」とアドバイスをいただいていました。
『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』は私の絵柄と親和性が高く、監督をはじめ皆さんが初参加の私をすごくリスペクトしてくれました。まさに思い描いていたような作品に参加できて嬉しかったです。
──アニメでの経験も豊富な米山舞さんは、今回「キャラクターデザイン原案協力」としてクレジットされています。実際はどのような体制での参加だったのでしょうか?
望月けい 米山さんとは以前から絵のこと以外にもいろいろと相談させていただく仲で、「アニメに関わることで相談したいことがあったらなんでも相談してね」と言ってくださっていたんです。
今回、私がはじめてのアニメのお仕事ということで、普段と違って勝手がわからない部分もありますし、他のスタッフさんに迷惑をかけないか不安だったので、アニメの現場に詳しい米山さんに助言していただくことになりました。
今回は直接絵を描いていただく関わり方ではなく、デザインについてや普段のお仕事との違いについてなど、いろいろとアドバイスをいただきました。
五十嵐祐貴 具体的にはどんなアドバイスがあったんですか?
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