ロックとヒップホップの蜜月はなぜ生まれたのか? 日本における音楽ジャンルの現在地
2025.01.05
イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる新連載「令和のネット絵学」。今回は、次世代(と中堅以降)に贈る提言。
クリエイター
この記事の制作者たち
イラストレーターを志す若者はこれからなにを見て、どのようにキャリアを築いていくのか。特に仕事を考える上では世代ごとに享受できる利益は変わる。それでも表現は続いていき、次の時代がつくられていく。
目次
- 身をたて名をあげ、やよはげめよ
- あなたが「夢を見ていた時代」はいつですか?
- 若者が表現者になるとき
- バブルが弾けた今、己の表現をいかに信じるか
- 次のイノベーションをどう待つか
- 夢から覚めても、銀の手は消えない!
ここのところ、世代について考える機会が増えています。イラストレーターさんと話していても、若い時期にどれくらい名声を積めるかというキャリア設計が議題に上がります。
「私は逃げ切れるかもしれない。でもこれからの若い人たちは不安だと思います」
そんな声を中堅以上の作家からよく聞きます。イラストレーターは国産ソシャゲが儲かっていたバブル時代にキャリアを積めたかどうか、が一つの転換点になると私は考えてます。その時にお金を稼ぎながら技術や仕事の勉強ができた人はラッキーだったでしょう。
バブルの時代にキャリアを積めた幸福な人間だけが逃げ切れて、生まれ損なった世代は困窮する──その構図はまるで年金のようだ、とも思います。今30代の私が年金をもらう頃に日本がどうなっているかはわかりませんが、これまで少なくない金額を取られてきた身からすると、やるせなさを感じます。
もちろんこの時代に生まれたのが良いか悪いかは一つの側面から計れるものではありません。それでもイラストを仕事にするという点においては、難易度は上がっていると感じます。
人が性格を形成する時期は、幼少期から10歳頃だと心理学の世界では言われているようです。クリエイティブにおいても、美意識や好みなどがそのタイミングで形成されてくると私も考えています。そして実際に社会に対して発信していくのは10代後半から20代となり、アウトプットが磨かれてくるのがこの時期です。
つまり表現者は、大きく分けて2段階の成長プロセスがあると私は考えてます。
イラストにおいての絵柄は、発信しながらつくられていくものです。人格形成の段階で好みは決まってきますが、それが自分の能力として身につきアウトプットとして転換されるまでには時間がかかるのです。
また、10代後半からインターネットで閲覧できる作品などを含めてインプット量は増えてきますが、これは発信する力量が整ってきたタイミングと一致します。もちろんサービスの規約上、未成年が利用できないなどの事情もあります。
人が表現を志すと、誰かに見てもらいたくなる気持ちが生まれることもあります。そして実際に自分の表現を発信する行為は、いわば「夢を見る(大志を抱いて目標に向かう)」状態とも言えます。
目標や憧れを持って、その表現に追いつきたくて努力する。現実的な諸問題やそれで食べていける可能性に怖気付くよりも、がむしゃらに研鑽する。特に10代後半や20代半ばまでは自分の美意識と具体的にとれるアクションが増えて、とても楽しく(または苦しく)なる時期です。
つまり、10代後半にどのような発信環境に身を置いたかによって、表現は大きく変わるのです。
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