Interview

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  • 2021.06.03

「リアルの方が偉いと考えがちな人は多い」リアルとVRクラブの店長対談

もし実空間と仮想空間を行き来するクラブイベントを開催するなら。

それぞれのクラブを代表する二人が導き出した結論とは。

「リアルの方が偉いと考えがちな人は多い」リアルとVRクラブの店長対談

コロナ禍をきっかけに日常的に行われるようになったクラブやライブハウスによるライブ配信。

clubasia店長の鈴木将氏とGHOSTCLUB主宰の0b4k3氏とが、実空間と仮想空間の立場からDJ配信についての意見を交わした。

前編を読む

もし二人がコラボしてイベントを開催するなら?」仮想空間と実空間。異なる領域に存在するそれぞれのクラブ。運営の苦労や重要点について意見を交わしながら出した二人の結論とは?

目次

  1. 仮想空間では箱の空気感や熱量を如何ようにも変えられる
  2. 仮想と現実、クラブ運営の課題
  3. 「配信をするとお客様がそれで満足して来なくなるんじゃないか」
  4. クラブイベントのコンセプト、情報発信の必要性
  5. それぞれの”クラブらしさ”の化学反応
  6. それぞれが連携してハイブリッド・イベントを開催するなら?
  7. リアルとVR、お互いのカルチャーの接続
  8. 等しく変わらないカルチャーとしての息遣い

仮想空間では箱の空気感や熱量を如何ようにも変えられる

──リアルのクラブとバーチャルのクラブというそれぞれの立場がありますが、鈴木さんがもしバーチャルでクラブを運営するのであれば、どんなクラブにしますか?

鈴木 クラブは別に音楽が全てではなく、それよりもむしろそこに集まる人やお店にいる僕に会いに来るなど"交流の場"としての役割がものすごい大きいと思っています。

だからアバター同士で接して会話ができるVRならではの点は本当に面白いし、コミュニケーションできるのはひとつの楽しみ方だと思うので、音楽だけに特化した何かをやろうとは思わないですね。

そういった点を踏まえて考えると、僕がVRのクラブを運営するのであれば、バーカウンターがあるフロアで一緒に何かのゲームができるとか、ダーツをやるとかVR上で楽しめる音楽以外の要素は入れたいですね

実際にクラブの現場でこういうことをやろうと思うと意外に難しいので、音楽だけではなく違う楽しさを盛り込み、人とコミュニケーションできる空間にできたらいいなと思います。そうすれば、良い音楽がかかっているフロアへの移動も楽しめるし、ひとつの場所として複合的な要素を持たせられる。そういう、現実にできないことを盛り込んでいけたらいいですね。

0b4k3 VRのクラブの中には既にダーツやビリヤード、ボードゲーム等が置いてあるような場所もありますね。

VRChatのクラブの音響は基本的にはヘッドセットから音声が出力されるので、現実のクラブのような大音量や内臓まで響く低音を感じることはできません。そのため、どうしてもDJのプレイがBGMになってしまい、フロアのほとんどのお客さんは会話しかしていない状況になってしまうことが多いんです。つまり、クラブではなく交流の場としてしか機能していない場合があるんですね。

実は以前のGHOSTCLUBも会話がメインのクラブでした。当初はそれで良いのかなと思っていたのですが、段々と考えが変わって音楽に集中できるクラブにしたいなという気持ちが強くなっていきました。そこで、思い切ってある時期を境に会話ができないような設定にしてみたんです。

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