Column

  • 2022.09.04

2021年“混沌”のVTuberシーン バーチャルとリアルが溶け合った一年を総括

古月氏による2021年VTuber総括──話題となったトピックから数々の引退まで。2022年に注目するべき動向とは?

※本稿は、2021年に「KAI-YOU.net」で掲載された原稿を再構成している

2021年“混沌”のVTuberシーン バーチャルとリアルが溶け合った一年を総括

クリエイター

この記事の制作者たち

2018年初頭からブームが続くバーチャルYouTuberVTuber)のシーン。

2020年の総括記事では「激動」と表現されていたが、2021年は「混沌」と言い表すことができるだろう。より大衆にVTuberの名が広まった年であると同時に、リアルとバーチャルの境目がより曖昧になった年であるとも感じる。

2020年の総括を読む

テレビ朝日系「超人女子戦士 ガリベンガーV」の放送時間が土曜日の深夜に再編、日本テレビでは新番組「プロジェクトV」の放送がはじまるなど、TVへの出演が以前よりも増した。

にじさんじでは葛葉さんのソロイベントや、ユニット・ROF-MAOの広告が渋谷駅をジャック。ホロライブとドン・キホーテがコラボキャンペーンを行うなど、VTuberがより生活と密着した存在になりつつある。

今回はそんな日本のVTuberシーンに起こった事象を踏まえ、以下の項目を解説しながら、2021年を総括していく。

目次

  1. コロナによるイベントの影響 そして復活への兆し
  2. 2021年に流行したVTuberのトピック VTuberの足は置くもの?
  3. ショート動画流行の波へ
  4. VOCALOIDシーンに新たな光、可不
  5. Clubhouseとスペースの登場
  6. Among Usは依然人気
  7. VTuberの幅を広げた『Apex』
  8. YouTuberがバーチャルYouTuberに
  9. バーチャルとリアルの境界の曖昧さはより進む
  10. バーチャルとリアルのその間で
  11. バーチャルとリアルが混ざりあった物語展開
  12. 衝撃的な活動終了が相次いだ2021
  13. それでも戸定梨香は頑張り続ける
  14. 2022年の注目動向
  15. VTuberよ 健やかで、表現豊かであれ

コロナによるイベントの影響 そして復活への兆し

まずは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けながらも、変化を見せつつあるイベントについて。

2021年も新型コロナウイルスによる影響は続いており、VTuberシーンにおいてはすでに多数イベントが中止・規模縮小を余儀なくされ、スタジオの使用やオフコラボなどに制約がかかり、影を落とし続けている。

テレビ朝日系「ガリベンガーV」の2周年記念イベント「みんなのおかげで2周年! ガリベンガーV大感謝祭 VTuberぜんぶ推しSP」のように、現地開催から配信イベントに変更されるイベントも少なくなかった。

【昼の部】ガリベンガーV大感謝祭

このイベントは、電脳少女シロさん、キズナアイさん、ミライアカリさんが出演することでも注目されたほか、アイドル部卒業のタイミングで行われたこともあり、北上双葉さん、金剛いろはさんのサプライズ動画が放映されるなど、日本のVTuberの歴史の節目のひとつになっていたと思う。

2021年が2020年と大きく違うのは、情勢が快方に向かうと、配信・現地を問わずイベントの数も増加しはじめたことだろう。

配信イベントは技術力向上やフォーマットの定着で、2020年よりも開催が容易になり、Z-aNやSPWNなどで配信し、YouTubeで冒頭のみ無料配信することが当たり前になってきた。

2021年は「TUBEOUT! FES」や「V-Carnival」をはじめ、VTuberが出演するイベントが多数開催(関連記事)。数日にわたって複数ステージで公演を行っていた。

「TUBEOUT!FES -2021 SUMMER-」舞台裏生配信

※TUBEOUT!FES -2021 SUMMERの舞台裏配信。普段見られない出演者同士のラフな会話を楽しむことができる。同イベントではこの配信も話題になった

「V-Carnival」は2日間で多くのVTuberが出演。AR技術を使用し、VTuberが現実のフジテレビ大階段をバックにトークする様子は特に話題になった。

このAR技術を使ったライブイベントは、にじさんじ主催のものでも目立った。

「にじさんじ AR STAGE "LIGHT UP TONES"」は、完全AR生バンドライブで、バーチャルライバーたちがリアルな動きで縦横無尽にパフォーマンスを披露。VTuberが活きている様子を前面に伝えた

にじさんじはソロイベントにも注力しており、月ノ美兎さんの「月ノ美兎は箱の中」(関連記事)、静凛さんの「Rin Shizuka Solo Event "Recollection"」(関連記事)、樋口楓さんの「Kaede Higuchi Live 2021 “AIM”」、葛葉さんの「Scarlet Invitation」と、1人のバーチャルライバーを核としたイベントを次々と打ち出した。

また、この傾向はKAMITSUBAKI STUDIOにも見られる。KAMITSUBAKI STUDIOでは、所属するバーチャルシンガーのユニットとしてV.W.Pを新設する一方で(関連記事)、個々のライブイベントを開催。

理芽さんの「ニューロマンス」、春猿火さんの「シャーマニズム」、ヰ世界情緒さんの「Anima」など、それぞれのワンマンライブを実施。これまでソロライブは花譜さんの「不可解」シリーズがメインだったが、今後は他のメンバーのイベントも強化されそうだ。

現地開催のイベントは、先述の通り、中止や規模縮小などの苦境に立たされたが、2021年下半期にかけては新型コロナウイルスの蔓延が落ち着いたことや、政府や地方自治体が事前に開催の可否を判断できる指針を立てたことで、徐々に開催数が増えつつある。

2021年に開催された象徴的なリアル音楽イベントとしては、名取さなさんの「さなのばくたん」と「VIRTUAFREAK」を挙げたい(関連記事)。

名取さなさんソロライブ「さなのばくたん」は、会場となったチネチッタ川崎の周辺を体験コンテンツとしてフル活用。

「#さな歩き」というハッシュタグを使い、Twitterで現地周辺の施設などを名取さんが巡るコンテンツを投稿し、現地に等身大パネルや名取さんが描かれた映画のパロディーポスターを配置することで、新しいライブの「場」のつくり方を提示していた。

【スマホで見るとより良い】名取さなお散歩アルバム【#さな歩き】

「VIRTUAFREAK」は閉館の迫る新木場agehaで開催されたバーチャルクラブイベントで、行政と会場ガイドラインに従い、大声での歓声・声援あり、収容定員50%以下でのイベント開催となった。

最初は躊躇いながら声を出していた会場が徐々に熱気を上げ、ポツリポツリと歓声や心の叫びが聞こえるようになり、今まで欠けていたアルコールや仲間との出会いを取り戻すとともに、箱が徐々に揺れだす様は、2年前の当たり前だった光景を思い出させてくれた。

クラブシーンとVTuberの音楽シーンは密接で、そのコミュニティを繋げた存在のひとつである「VIRTUAFREAK」は、今回の開催でラストダンスになった。

2022年は「VIRTUAFREAK」のようにVTuberがファンの歓声を聞くことができるのだろうか。新しい日常がVTuberシーンに訪れることを願いたい。

音楽以外のイベントも開催されている。VTuberを主題に名古屋パルコで大規模に展示スペースを構えたナゴヤVTuber展は、コロナ禍に見舞われながらも多数の来場者を記録。遠方からの来場者も少なくなかった。

そのほかイベント展示やコラボカフェ、限定グッズ販売のショップなどが実施された。神椿展(関連記事)などの展示系や、バーチャルスクランブル2などのポップアップショップは、コラボレーションする企業の規模感が大きくなっていた印象を受けた。

また中小規模のイベントはコロナ禍の影響が限定的なため、少なくとも2年前より頻度は落ち着いているが、多くのイベントが開催されていた。

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