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  • 2021.07.02

「ゲーム実況を誰も理解できていなかった時代」を越えて

「ゲーム実況を誰も理解できていなかった時代」を越えて

ガッチマンさんは、2009年よりニコニコ動画で動画投稿を開始したゲーム実況者だ。

ホラーゲームを中心に、ゲームを解説しながら落ち着いたトークでサクサク進めるスタイルが人気を博している。ニコニコ動画を中心としたゲーム実況文化の歴史を紡いできた人物の一人として知られている。

現在は活動の場をYouTubeに移し、メインのゲーム実況チャンネルに加えて「ガッチマンV」としてのVTuber活動も開始した。

まずは自己紹介が基本だな

ブーム開始から数年で驚くべき速度で発展を続けるバーチャルYouTuber(VTuber)文化。1万人以上存在するVTuberの活動はバラエティ豊かだが、中でもYouTubeでのゲーム配信は盛んに行われている

プラットフォームや活動内容の近い界隈だからこそ、ゲーム実況文化から学ぶことも数多く存在するはずだ。

ガッチマンさんは、VTuberのゲーム配信の現在についてどう見ているのだろうか。

ゲーム実況者とVTuber、両者の未来はどのようなものになるのだろう。ゲーム実況の古豪がVTuber活動を開始して気付いたこと、活動を長年継続して見えた景色とは。私、佐藤ホームズの取材・執筆でお届けする。

目次

  1. 配信歴12年──ニコニコ動画からYouTubeへ
  2. 全体で盛り上げる、一人で突き進む
  3. 所属するのではなく、企業を動かす存在が増えていく
  4. ゲーム実況者不遇の時代を乗り越えた今

配信歴12年──ニコニコ動画からYouTubeへ

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ガッチマンさん(ガッチマンVさん)

佐藤ホームズ ガッチマンさんが配信活動を始めたきっかけはなんだったんでしょうか?

ガッチマン 本当に一番昔のきっかけまで遡って話すと、20年くらい前に2chでフラッシュ動画が流行ってたじゃないですか。僕はあれをつくってたんですよ。インターネットで何かをつくって投稿する原体験といいますか。

それからネットゲームを遊んで、ネットゲームのプレイ動画を上げるようになったんです。ニコニコ動画が流行ってからは、自分が好きなホラーゲームのジャンルを色んな人に見てもらいたい、ホラーゲームのストーリーも見てほしいと考えて動画をつくっていましたね。

ホラーゲーム実況がある程度人気が出て、そこからあれよあれよと活動を続けて、ニコニコ動画やYouTubeに動画を投稿して……気づいたらもう活動をはじめて12年目になります。

佐藤ホームズ まさかフラッシュ動画の時代から活動されているとは。元々ニコニコ動画に投稿されていましたが、YouTubeに完全移行したのは最近ですよね。

ニコニコ動画とYouTubeってかなり文化が違うと思うんですが、実際に移行したとき、戸惑いや慣れないことはありませんでしたか?

ガッチマン ニコニコからYouTubeへの移行は遅かれ早かれする必要があるとは思っていたんだけど、結構戸惑いましたね。

まず。ニコニコは古いゲームを懐かしむ文化があるというか、そういう傾向が強いんです。それに対して、YouTubeは最新作や新しめのゲームで実況のブームが起こっているような場所なんですよね。本当に全然違うんですよ

それにYouTubeではどちらかと言うと感情表現というか、リアクションが多めのスタイルでの実況が主流で。僕みたいな2週目プレイや解説プレイを行なっている人はあまりいなかったから、そもそもウケないんじゃないかなあとも思いました。

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佐藤ホームズさん 取材はVRChatで行われた。

佐藤ホームズ たしかに、ニコニコ動画だと、新作のゲームを早めにプレイするとむしろ叩かれることがありましたよね。これだけゲーム実況が当たり前になった現代では考えられないことですが。

ガッチマン うん。当時はそういった風潮が強くありましたねえ。今では「古いゲームをやっても一切宣伝にならないから、新作を発売日にやってくれる方が良い」なんて話をメーカーさんから聞くこともあります。でも、当時は誰もそんなこと分からなかったですからね。

佐藤ホームズ あとニコニコとYouTubeとの違いで言うと、「ゲーム実況でお金を稼ぐこと」への考え方の違いはやはり外せないかなと思います。ニコニコは特に、その点に対して否定的な意見が多かったように感じます。

ガッチマン 僕らがニコニコに投稿していた時代は、ゲーム実況を商売にする、商売になるっていう考え方がそもそもなかった時代ですからね。YouTubeで広告収入を得ることも、今では当たり前になっていますが、当時はやはり認められませんでしたね。大きく変わった点だと思います。

佐藤ホームズ いまやVTuberだと、YouTubeの収益化記念でお祝いされたりしますもんね。

ガッチマン そう! そんなことを当時やったら、もうボコボコに叩かれますよ(笑)。

佐藤ホームズ そこからYouTubeに移行して、約1年前に「ガッチマンV」としてVTuber活動も開始されました。改めて、「ガッチマンV」を始められたきっかけはなんだったのでしょうか。

ガッチマン まず、去年の時点ですでにアバターは持っていたんです。なぜかというと、昔によく顔出しの仕事をしていたこともあって、街中で声をかけられ始めたんです。近所で娘の友達のお母さんとかが僕がどんな仕事をしているとか、探りを入れてきたりするんですよ(笑)。近所のゲーム屋さんで声をかけられてしまって、サインを求められたこともありました。

そういう状況が重なってしまって、そろそろ顔出しはやめていこうかなと思って。それでアバターを使うようになりました。

イベントでの顔出し出演もやめて、ゲーム実況はやるけど、コラボでは決まったメンバーだけで遊んで……これ以上新しい交流を広げていくのはプライベートのことも考えると難しいなと考え始めた時、ぽこピー甲賀流忍者!ぽんぽこオシャレになりたい!ピーナッツくん)とのお二人とのコラボがきっかけでVTuberの世界を知ることになったんです。

あまり驚かないガッチマンさんがいれば最恐ホラー全く怖くない説

ガッチマン 彼らの影響もあって、自分もアバターを持ってるし、VTuberの世界に飛び込んでみようかなと決心して、去年あたりから挑戦してみました。

佐藤ホームズ 「ガッチマンV」が始まってまだ1年ほどですけど、本当にVTuber同士のコラボに積極的で、多方面に交友関係が広い印象がすでに強くあります。でも、ゲーム実況者の繋がりにはむしろ消極的だったと。

ガッチマン うーん。昔からやってる身からすると、ゲーム実況者同士との繋がりというのは、本当に難しいんですよね。目に見える「派閥」なんかが具体的にあるわけではないんですが、僕は年齢もあって、新しい方からなかなか声をかけてもらえないし、やっぱり僕からも声をかけづらいんですよ。

でも「ガッチマンV」を新しく始めた時は、なにやらお祭りみたいな感じでみんなが声をかけてきてくれて──楽しい一年間でしたよ。

佐藤ホームズ 『バイオハザード ヴィレッジ』を語るコラボ配信も、凄く楽しそうに参加されていましたね。

V達はVILLAGEを語りたい !!【人生つみこ/兎鞠まり/花京院ちえり/ガッチマン】

ガッチマン 実況者として活動しているだけだと、ああいうのもできなかったですからね。ずっと一人でしたから(笑)。

ゲーム実況の世界って、基本自分が一番なんです(笑)。ライブ配信を主体に活動する人だと交流は生まれやすいけれど、結局は部屋で一人で喋って動画を収録する人ばっかりですから。そもそもコミュ二ティとしてコラボに積極的じゃないんですよね。

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