LAM インタビュー「僕は天才ではない、だけど──」
2020.11.21
アニメや漫画のキャラクターにストリートファッションをまとわせる。ジャンルを越境する二物衝突なイラストは、強い個性でもある。
※本稿は、「KAI-YOU.net」にて2019年に配信された記事を再構成して掲載したもの
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ストリートライクなファッションを着たアニメキャラクターやバーチャルYouTuber(VTuber)のイラストが人気の、20代前半の気鋭イラストレーター・ryoga。
ryogaの描くイラストは対局に位置するアニメやVTuberといったオタクカルチャーと、ヒップホップなどのストリートを感じさせるファッションを組み合わせ、唯一無二のスタイルを築いている。
その創造力の源泉を探る。
──イラストを始めたきっかけは何だったんでしょうか?
ryoga 絵を描くこと自体は幼いころから好きだったのですが、高校生の頃に始めたTwitterで有名なイラストレーターの方などの絵を見て憧れを抱き、デジタルイラストを描き始めました。時期は2015年の高2の頃で17歳だったと思います。
高校ではデザイン科に入学し、芸術やイラスト、ロゴや建築系の技術など広く浅く学んできました。現在は芸術系の大学に進学し、平面的なデザインや技術、技法などをより深く学んでいます。
アニメ調のキャラクターなどの描き方やコツ等は一切教わっておらず、完全に独学で描いてきました。
──現在の制作環境はどのようなものでしょうか?
ryoga 高2の頃にデジタルイラストを描き始め、現在は液晶タブレットで制作しています。アナログの時期は作品をつくるというよりは落書きがほとんどで、デジタルに移行してから作品といえるような絵を描いてきました。
デジタルの作画では、イラストを描く際のソフトの操作方法やペンタブ用のペンの描き味、筆圧の感覚に慣れるのに苦労しました。
──制作される上で、最も意識していることは何ですか?
ryoga イラストだけど、その画面の中に実際に存在していそうな強い存在感を出すように意識し、イラストに見える反中で質感やライティングをリアルに描くようにしています。
──ご自分にとって転機となった作品、あるいはご自身として最も気に入っている作品を選んでいただくことはできますか?
ryoga 転機となった作品は、『ポプテピピック』のポプ子とピピ美にストリートライクなファッションを着せた作品です。Twitterに上げたところかなりバズったので、こういった絵に需要があるんだとわかり、今書いているようなスタイルになりました。
Team Epic pic.twitter.com/vsmFoRwu81
— 𝕣𝕪𝕠𝕘𝕒 (@ryoga_ill) March 11, 2018
今のスタイル以前は、キャラクターイラストではなくコンセプトアートを主に描いていました。
ryoga 気に入っている作品も、今の絵のスタイルになったきっかけの『ポプテピピック』のイラストですね。コミケで出したVTuberにストリートライクな服を着せたイラスト本の表紙。
それから、最近書いたオリジナルキャラクターのイラストとLilのび太、そのテーマで描いたしずかちゃんのイラストです。
──今、注目されている、あるいは憧れているクリエイターはいますか?
ryoga イラストに関しては、すごく多くのクリエイターから部分的にいろいろ影響を受けているので、誰かひとりとなると難しいですが、自分がデジタルイラストを描きたいと思ったきっかけのクリエイターはRyota_Hさん(@Ryota_H)です。
今では絵柄がまったく違うのですが当時はファンタジー系の絵柄が今より好きで、TwitterでRyota_Hさんのイラストを拝見し、憧れてデジタルイラストを描き始めたんです。
──そうだったんですね! ファンタジー系のタッチだったというのは意外です。
──ヒップホップの世界観を感じるのですが、お好きなんでしょうか?
ryoga 親の影響でR&Bやm-floを幼い頃からよく聞いていたので、その頃からヒップホップ系の音楽は大好きでした。保育園や幼稚園の迎えの車内でよく流れてた気がします。その流れで今もヒップホップを中心に聴いてます。
もともと、それらのアーティストのファッションに興味があり、MVなどを見ていました。絵を描き始めた当初からというよりは、最近になってその方たちのファッションや雰囲気などを作品に落とし込み始めました。
m-floのVERBALさんは、音楽だけにとらわれず、自身と妻のYoonさんで創設・経営されているブランド・AMBUSHをはじめ、他のいろいろなクリエイターの方といろいろなクリエーションをされており、時代にとらわれない前衛的な姿勢などにとても憧れています。
──ちなみに、注目しているラッパーはいますか?
ryoga 海外の好きなラッパーもいますが、J-HipHopシーンで選ぶと、JP THE WAVYさんは、自分のスタイルが色濃く出ていて、なおかつ声に圧があってイケメンです。中でも彼のCHIL系の曲調が好きです。SUSHIBOYSにも注目しています。特にFARMHOUSEさんは曲のテーマが面白くて斬新すぎて好きです。
最近のVaporwave的な雰囲気になってから特に好きになったのはWeny Dacilloさんです。自分の好きなゲームをテーマにした曲が多く、8bitの雰囲気を取り入れているVaVaさんも自分の好みに刺さってます。
あと、ZORNさんはイクメンでイケメン。顔面が強いし、歌詞に入れるモチーフが毎度ぶっ飛んでる上にわかりやすくどこをとってもラッパーとして強すぎると思います。強いといえばYo-Seaさんは声がエロくてかっこいいし、顔面もエロ強い。アンニュイな曲の雰囲気がたまらないです。
Jin Doggさんのダークでパンチのある声が好きです。MVの表情のつくり方や身振り手振りが俳優ばりで存在感が半端なくて好きです。
他にもまだまだ注目しているラッパーがいるので、すごく悩みますね(笑)。
──ガチでお好きな感じが伝わってきます(笑)。VTuberもお好きですよね。
VTuberと言っていいかはわかりませんが、鳩羽つぐと亜空間こねるに特に注目してます。
ゲーム実況やファンと交流しているVTuberも好きなのですが、この2人は中の人の存在をまったく感じない完全にバーチャルな個体として、ネット空間をインスタレーションしているような、VTuberの枠組みから逸脱した存在のようで今後の活動を楽しみにしてます。
はじめまして✨亜空間こねるだよ✨旅行会社の手違いでアンドロイドに受肉したけど無事に地球に来れたよ⚡️これからよろしくね☺️ pic.twitter.com/EvhNViWne4
— 亜空間こねる⚡️次元少女 (@dimegir) 2019年4月1日
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