「Maltine Records」tomadインタビュー インターネットの音楽史

Interview

  • 2019.03.15 10:00:00

音楽は無料となった。SoundCloudやBandcampには日々、第一線で活躍する世界中のアーティストが、無料であることが信じられない楽曲を放流し続けている。

日本でも10年以上前から、音楽を無料で配信する“ネットレーベル”なる集団が勃興してきた。その10年の歩みは、日本の音楽シーンの歩みとも符号する。

「Maltine Records」tomadインタビュー インターネットの音楽史

インターネット上で、無料ダウンロードで楽曲をリリースし続けるネットレーベル・Maltine Records(マルチネレコーズ)が、2015年をもって設立から10周年を迎えた。

クリエイティヴ・コモンズによるダウンロード音源のコンスタントなリリースという試みや、レーベル主宰のイベントも精力的に行ってきた同レーベル。

これまでにtofubeatsさんやbanvoxさんをはじめ、第一線で活躍するアーティストを多数輩出し、現在の音楽シーンに大きな影響を与えるなど、日本最大級のネットレーベルとして不動の地位を築いてきた。

そんなレーベルの主宰者・tomadさんは、インターネット以降の音楽消費の変化にいち早く着目してきた人物だ。

いかに音楽を多くの人に広めるか”。彼の思い描いてきたビジョンと、ネット文化や音楽シーンを俯瞰してきたMaltine Recordsの10年の歴史について。

※本稿は、2015年7月「KAI-YOU.net」で配信した記事を再構成したもの


ネット音楽シーンをつくり上げた10年

──Maltine Records10周年おめでとうございました。レーベルを立ち上げられてから、これまでを振り返ってみていかがですか?

tomad 突然ネットから現れたアーティストが実際に人気になっていく過程を見てきたり、最初は50人くらいしか集まらなかった主催イベントにも、今では1000人もの人が観に来てくれるようになりました。

ある程度、音楽やネット文化が好きな人だったら、マルチネの名前を聞いた事ある位までになったのかなという実感はあります。長い道のりだったけど、着実に大きくなってきた。

──2012年時点では「まだ振り返る状況じゃない」ということをtomadさんはおっしゃっていました。今回改めて取材をお引き受けていただくことになりましたが、3年の間にどんな変化があったのでしょうか?

tomad Maltine Recordsというレーベルはもともと、身内や友達同士の集まりで少しずつ広がっていったという部分が大きくて、そういう感覚を大切にしていました。でも2010年頃からだんだんと、ネット以外のいろんな音楽のシーンで活躍する、マルチネから巣立って行ったアーティストが登場してきた。

アーティストの知名度が上がるにつれて、一緒にMaltine Recordsというレーベル自体も次第に大きくなってきて。海外公演ができるようになったりして。ネットレーベルというものが、ある種の音楽シーンをつくり上げてきたことが、ようやく色々見えてきたんですよね。

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Maltine Recordsの“個性”

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