Interview

  • 2024.10.16

「ギャルはこうじゃなきゃ」という固定観念を壊せた──苺りなはむ×半熟卵っち×KOGYARU座談会

令和のストリート~ギャルカルチャーを鮮やかにキャプチャした展開でにわかに注目を集めているGALFY×ドン・キホーテシリーズから、新曲がドロップされた。

文筆家・つやちゃんによる楽曲レビュー・文化史観に加えて、参加した苺りなはむ、半熟卵っち、KOGYARUへのメールインタビューを掲載する。

「ギャルはこうじゃなきゃ」という固定観念を壊せた──苺りなはむ×半熟卵っち×KOGYARU座談会

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もともとヤンキーに人気のブランドだったファッションブランド・GALFY(ガルフィ)が驚安の殿堂ドン・キホーテとコラボレーションし進化、アップカミングなアーティストを呼び続々とテーマソングを公開している。

昨年リリースした「GALFY4」ではkamiyacyber milk ちゃんnyamura嚩ᴴᴬᴷᵁMANONという個性あふれる5人の女性アーティストが参加し、Masayoshi Iimoriのエレクトロニック&ハイパーなビートでマイクリレーを行う様子が話題になった。

活動領域としては近いがまだ目立った共作のない人選をセレクト&キュレーションする視点が絶妙で面白く、まさにタイアップ企画ならではの魅力を生み出している。

そんなGALFYシリーズから、先日ついに「GALFY5」がリリースとなった。参加アーティストはCY8ERの元メンバーでありプロデューサーとしても活躍する苺りなはむ、ギャル雑誌『egg』の専属モデルによって結成されたヒップホップユニット・半熟卵っち、さらに今話題の小学生ギャル集団・KOGYARUというとんでもない組み合わせに。

GALFY5 / 苺りなはむ & KOGYARU & 半熟卵っち(Prod.KOTONOHOUSE)

サウンド制作を務めたのはアニメやゲーム音楽からの影響を元にしたダンスビートを繰り出すKOTONOHOUSEで、まさに東京・渋谷カルチャーを象徴するような布陣が組まれた。

ヤンキーとギャルとオタクの合流地点としての痛車・デコトラ文化

CHOBIがディレクターを担当したMVも公開されており、そこでは渋谷の街を舞台にセンター街やカラオケでの人間模様、ド派手なネイル、さらに痛車までもが描写されている。キラキラした電飾やデコレーションされた装飾デザインが映される様は、「海外から見た東京」という視点を意識しているようにも見える。

GALFY5座談会_ゆなち(KOGYARU)オフショット

GALFY5座談会_ゆなち(KOGYARU)オフショット

実際、今年の春に来日したビヨンセが日本のデコトラに夢中だったというニュースは記憶に新しいし、その後に新星アイドル・f5veもデコトラに囲まれたMVで話題を呼んだ。Lil Uzi Vertはずっと痛車に注目しており、最近はラッパーのNENEも痛車を制作。マキシマムかつデコラティブ、そしてどこかナンセンスなデザインというのは、今ジャパンカルチャーの代名詞となって認知されているのだろう。

と、あえてデコトラと痛車を並列に言及したのは、それらが現在のジャパンカルチャーの象徴として非常に興味深い側面を表象しているからだ。痛車、その起源としてのデコトラは、今の時代においてヤンキーとギャルとオタクの合流地点として存在している

そもそも痛車という俗称の由来が「痛々しい」デザインの車と「イタリア製の車を自慢する」をかけたところから来ていると言われているが、そこには、自分の好きなナードなものをボースティングし誇る様子──つまり、オタク発の心情がヤンキーに転化されギャルに昇華されていく複雑な経路が見える

その背景には、オタクが市民権を得ていったこと、自分に自信を持ち好きなものを誇るというギャルマインドが支持を集めたこと、あるいは異なる文化圏を形成していたはずのヤンキーとオタクとギャルが「盛り」という足し算の美意識のもと、ゆるやかに重なり合ってきたことも大きいだろう。

「GALFY5」は、それら3つの文化圏の接合点として存在しているようにも見える。

だからこそ、本来ヤンキーに支持されていたブランドだったGALFYが、いまギャルやオタクカルチャーをも飲み込みつつ新たなストリートカルチャーをつくろうとしている動きは興味深い。

GALFY5座談会_オフショット1

左から、半熟卵っちのerica・瀬戸ももあ、KOGYARUのゆなち、苺りなはむ

雑誌『egg』の精神を継承する半熟卵っちに、さらにその下の世代を代表するKOGYARU、そしてギャルカルチャーと隣接しつつもアイドル~ゆめ/病みかわいい文化にも深く関わってきた苺りなはむという人選も絶妙だ。

本記事では、実際にGALFYというブランドや今回の曲「GALFY5」について演者側がどのように捉えているのかを知るべく、苺りなはむ瀬戸ももあerica(半熟卵っち)、ゆなち(KOGYARU)の4人に話をきいた。

※以下は、4人へのメールインタビューをもとに記事構成したもの

目次

  1. ヤンキーとギャルとオタクの合流地点としての痛車・デコトラ文化
  2. ギャルとヤンキーが交差したGALFY
  3. ギャルのトレンド、どこにある?
  4. ギャル文化の未来をつくってる
  5. ギャルはこうでなければならない、という固定観念をとっぱらえた
  6. 自分らしさとの融合、みんなのオリジナル「GOAT」
  7. 流動的にうごめくストリートカルチャーの現在地

ギャルとヤンキーが交差したGALFY

──皆さんの中で、GALFYってどういうイメージですか?

瀬戸ももあ(半熟卵っち) やっぱり、昔ヤンキーの人たちが好きだったイメージかな。

ゆなち(KOGYARU) パンチパーマをかけて金のネックレスをつけてセカンドバッグを持ったような人が着てるみたいな。だけど、今はギャル含めて色んな系統の人が着てるイメージ。

erica(半熟卵っち) 服が好きだったり、オシャレをわかってるな~って人が着てる。

苺りなはむ いかつくて、ストリートで、レトロでカワイイ感じだよね。

GALFY 24AW LOOK1

──なるほど。ゆなちさんの言う通り、最近のGALFYにはギャルっぽいイメージがついてきてるってことですか?

瀬戸ももあ(半熟卵っち) そうなのかな。私は、ギャルよりはヤンキーのイメージだった(笑)。

ゆなち(KOGYARU) でも、ギャルのイメージはあると思う!

erica(半熟卵っち) 奇抜な服が好き、っていう人が着てるよね。ということは、ギャルも入ってるんじゃないかな。

苺りなはむ うん、派手で個性的なデザインがギャルっぽい。

──実際に着てみて、今のGALFYの服で好きなポイントを挙げるとするならどこでしょう。

苺りなはむ シンプルなスタイルでも派手に見せてくれるところかな。

ゆなち(KOGYARU) アニマル柄とダメージ加工が好き!

瀬戸ももあ(半熟卵っち) やっぱワンちゃんのアイコンでしょ。あと、今回から出たキッズサイズがももにはちょうど良いんだよね。

erica(半熟卵っち) わかる。幅広い世代の子が着れるようになったよね。大人がキッズサイズを着ると、ミニ丈になって好き。

ギャルのトレンド、どこにある?

GALFY 24AW LOOK_瀬戸ももあ(半熟卵っち)

瀬戸ももあ(半熟卵っち)

──皆さんは、自分のどういうところがギャルっぽいと思いますか? 自分のことをヤンキーとは思ってないですよね?

瀬戸ももあ(半熟卵っち) ヤンキーではない! 見た目は全部ギャルだけど。

erica(半熟卵っち) うん、ヤンキーだと思ったことはない。私は発言がギャルっぽくていいよねってよく言われる。ネイルの長さやヘアスタイルの奇抜さで日々ギャルを表現しているから、そういうところもかな?

ゆなち(KOGYARU) 私もヤンキーではない。見た目はめっちゃギャル。

苺りなはむ 私は、マインド的な意味だったら実はヤンキーっぽいところはあるかも。自分のスタイルを貫いて、周りの目とか全然気にしないところとか特に!

ギャルっぽいところもそれに似てて、自分を隠さないで思いっきり表現するところです。音楽もファッションも、誰かの真似じゃなく、自分の好きなものを選んで楽しんでるとこ

GALFY 24AW LOOK_苺りなはむ

苺りなはむ

──ちなみに、今ギャル界隈では何が流行ってますか? もしくは、皆が関心あることでもいいですけど。

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