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  • 2024.12.21

JRPGの到達点と海外に広がる遺伝子たち──『サガエメ』『FFXIV』生んだ百花繚乱の2024年総決算

「今年こそが黄金期ではないか」とも言えるほど、多様な国産RPGが発売された2024年。

『サガ エメラルド ビヨンド』の戦闘システムと『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』のシナリオをピックアップしながら、国産RPGの1年を振り返る。

JRPGの到達点と海外に広がる遺伝子たち──『サガエメ』『FFXIV』生んだ百花繚乱の2024年総決算

スクウェア・ソフトやエニックスによって、90年代前後に勃興した国産RPG文化。当時は『クロノ・トリガー』や『ドラゴンクエストV』など、聞けば誰もが頷くような名作が山ほど生まれた時代であり、国産RPG黄金期とも称されることがある。

奥深くドラマチックなストーリー、手に汗握るコマンドバトル、魅力的なドット絵のキャラクターやモンスターたち、NPCと話したり武器防具を集めてキャラクターを強化したりするゲームデザインなどなど……。これらの設計は世界中のゲームファンに愛され、現在までに大量のフォロワー作品を生んでいる。

黄金期は遥か昔とはいえ、2024年に発売されたRPGを俯瞰してみると、「実は今年こそ黄金期ではないか」と言えなくもないほど、多種多様な作品が発売されていた。

スクウェア・エニックスのリメイクや移植、任天堂のセカンドパーティ、海外インディーズからSEGAの大作まで、とにかくあらゆるブランドからRPGが発売された年であった。それぞれを細かく見ていこう。

目次

  1. 2024年のRPG総決算 最も多様性に満ちた素晴らしきRPG YEAR
  2. レジェンドクリエイターが考えるまったく新しいバトルシステム 令和6年に更新されたコマンドRPGの真髄を見よ
  3. 多様化する社会をまとめあげるリーダー像 『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』のストーリー
  4. 海外に芽吹いた国産RPGの遺伝子たち ペルソナ、アトリエ、クロノ・トリガーの子どもたちを遊ぶ
  5. 国産RPGという呼称では表現しきれないほど芳醇な世界が広がった2024年のRPG群

まずは、筆者の独断で、国産RPGとその手のジャンルを意識しているタイトルを選出した。

海外のRPGを意識した『Dragon's Dogma 2』や、MMORPGである『ファイナルファンタジーXIV』なども入ってはいるが、下記タイトル群を参考にして、2024年のトレンドや、流れを汲み取っていきたい

2024年の主要な国産RPG作品

1月:
龍が如く8
2月:
GRANBLUE FANTASY: Relink
FINAL FANTASY VII REBIRTH
ペルソナ3 リロード
エクスアストリス
3月:
Dragon's Dogma 2
ユニコーンオーバーロード
The Legend of Legacy HD Remastered
4月:
百英雄伝 – HUNDRED HEROES-
サガ エメラルド ビヨンド
FINAL FANTASY XVI The Rising Tide《海の慟哭》
5月:
ペーパーマリオRPG
6月:
ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE
真・女神転生Ⅴ Vengeance
7月:
英雄伝説 黎の軌跡
ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
Dungeons of Hinterberg
8月:
聖剣伝説 VISIONS of MANA
魔女の泉R
9月:
REYNATIS/レナティス
10月:
メタファー:リファンタジオ
ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン
11月:
DRAGON QUEST III HD-2D Remake
マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!
12月:
FANTASIAN Neo Dimension

その他、「オクトパス・トラベラー」「キングダムハーツ」「モンスターハンターストーリーズ」シリーズなど多くのハードウェア移植もあったが、書き切れないため割愛させていただく。

これらの作品群のなかから、まずは今年のRPGについて全体的な所感を述べたのち、レジェンド・クリエイターが送る最高のコマンドバトルが味わえる『サガ エメラルド ビヨンド』、多様な社会の実現を描いたシナリオが光る『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』、そして海外で根付く国産RPGの3つの観点に絞って紹介したい。

2024年のRPG総決算 最も多様性に満ちた素晴らしきRPG YEAR

2024年の国産RPGはまさしく百花繚乱という一言に尽きる。

それは多くのディベロッパーやブランドから発売されたという意味でもあり、様々なジャンルが出揃ったという意味でもある。

まず『龍が如く8』は『ドラゴンクエストⅢ』を敬愛する春日一番が主人公を張り、コマンドRPGタイプの戦闘システムを取っている(その『ドラゴンクエストⅢ』の最新リメイクと同年に出るというのも面白いが)。

RPGに育てられた少年がRPGの戦闘システムで敵と戦うというのは、ジャンルの成熟を感じさせる。

『龍が如く8』の戦闘システム/画像は筆者提供のスクリーンショット

『龍が如く8』の戦闘システム/記事中の画像はすべて筆者提供のスクリーンショット

なお、SEGA傘下のRPGでは、ATLUSの『メタファー:リファンタジオ』とヴァニラウェアの『ユニコーンオーバーロード』がどちらも好評を博しており、SEGAのRPGイヤーであったことも注目点だ。

また、筆者には、一時はスマートフォン向けのソーシャルゲームに覇権を奪われた国内のRPGジャンルにおいて、家庭用ゲーム機の気運が戻ってきたのがここ数年であるという実感がある。

そのスマートフォン向けRPG界の雄である『GRANBLUE FANTASY』から家庭用RPGのスピンオフ『GRANBLUE FANTASY: Relink』が出たのも見ておきたい。

(上記の流れが起きた理由はいくつか推測できるが、スマートフォンの性能が上がったことで各社が豪華なソーシャルゲームを発売するようになり、以前のように低予算で作品を制作できなくなってきたことや、Nintendo Switchの大ヒットによってSwitch向けのゲームをリリースするプロジェクトが走るようになったことが大きいだろう)

『GRANBLUE FANTASY: Relink』

『GRANBLUE FANTASY』のスピンオフ『GRANBLUE FANTASY: Relink』

とはいえ「アトリエ」シリーズのソーシャルゲーム『レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~』が発売されたのも2024年であり、家庭用とスマートフォン向けゲームとの交換はかなり有機的に起きているという印象だ。

本作のスピンオフは家庭用向けに2025年発売するほか、シリーズ最新作『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』も発表されており、コーエーテクモゲームスのRPGも活発である。

Switch世代の終盤を思わせるなかで、任天堂のセカンドパーティたちが開発したRPG群も気になるところだ。『ペーパーマリオRPG』は(任天堂らしくない……と思わせつつ実は「ピクミン」シリーズなどでは恒例の)ピリ辛なブラックユーモアが光り、確固たるファンダムを生んでいる。

また、相変わらずスクウェア・エニックスのリメイクやリマスターも豊作だ。『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』『ファイナルファンタジーVIIリバース』『ドラゴンクエストⅢ』と、DQ・FF・サガの超大作リメイクが全部出揃うという、とんでもなく豪華な年であった。

一方で「キングダムハーツ」シリーズや「オクトパストラベラー」のように、過去の話題作を細かく移植している。

『サガ エメラルド ビヨンド』『聖剣伝説 VISIONS of MANA』『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』のように、長く遊ばれているIPでしっかりと最新作をリリースすることも忘れずにおこなっており、さすがはJRPGの総本山たる風格を見せている。

『サガ エメラルド ビヨンド』ファイナルトレーラー

そしてスクウェア・エニックス関連では、ゲームクリエイター・河津秋敏氏の最新作『サガ エメラルド ビヨンド』も取り上げておきたい。

国産RPG黎明期の80年代から活躍し続けてきたレジェンドクリエイターでありながら、最新作でもいまだに「独壇場」や「連携範囲」といった誰も思いついていないような新しいシステムを考案できていることに脱帽せざるを得ない。

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