MCバトルの“答え”と、今シーンを支える“観客”の正体 「口喧嘩祭 vs 戦極MCBATTLE」レポ
2024.12.20
「今年こそが黄金期ではないか」とも言えるほど、多様な国産RPGが発売された2024年。
『サガ エメラルド ビヨンド』の戦闘システムと『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』のシナリオをピックアップしながら、国産RPGの1年を振り返る。
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スクウェア・ソフトやエニックスによって、90年代前後に勃興した国産RPG文化。当時は『クロノ・トリガー』や『ドラゴンクエストV』など、聞けば誰もが頷くような名作が山ほど生まれた時代であり、国産RPG黄金期とも称されることがある。
奥深くドラマチックなストーリー、手に汗握るコマンドバトル、魅力的なドット絵のキャラクターやモンスターたち、NPCと話したり武器防具を集めてキャラクターを強化したりするゲームデザインなどなど……。これらの設計は世界中のゲームファンに愛され、現在までに大量のフォロワー作品を生んでいる。
黄金期は遥か昔とはいえ、2024年に発売されたRPGを俯瞰してみると、「実は今年こそ黄金期ではないか」と言えなくもないほど、多種多様な作品が発売されていた。
スクウェア・エニックスのリメイクや移植、任天堂のセカンドパーティ、海外インディーズからSEGAの大作まで、とにかくあらゆるブランドからRPGが発売された年であった。それぞれを細かく見ていこう。
目次
- 2024年のRPG総決算 最も多様性に満ちた素晴らしきRPG YEAR
- レジェンドクリエイターが考えるまったく新しいバトルシステム 令和6年に更新されたコマンドRPGの真髄を見よ
- 多様化する社会をまとめあげるリーダー像 『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』のストーリー
- 海外に芽吹いた国産RPGの遺伝子たち ペルソナ、アトリエ、クロノ・トリガーの子どもたちを遊ぶ
- 国産RPGという呼称では表現しきれないほど芳醇な世界が広がった2024年のRPG群
まずは、筆者の独断で、国産RPGとその手のジャンルを意識しているタイトルを選出した。
海外のRPGを意識した『Dragon's Dogma 2』や、MMORPGである『ファイナルファンタジーXIV』なども入ってはいるが、下記タイトル群を参考にして、2024年のトレンドや、流れを汲み取っていきたい。
2024年の主要な国産RPG作品
1月:
『龍が如く8』
2月:
『GRANBLUE FANTASY: Relink』
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』
『ペルソナ3 リロード』
『エクスアストリス』
3月:
『Dragon's Dogma 2』
『ユニコーンオーバーロード』
『The Legend of Legacy HD Remastered』
4月:
『百英雄伝 – HUNDRED HEROES-』
『サガ エメラルド ビヨンド』
『FINAL FANTASY XVI The Rising Tide《海の慟哭》』
5月:
『ペーパーマリオRPG』
6月:
『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』
『真・女神転生Ⅴ Vengeance』
7月:
『英雄伝説 黎の軌跡』
『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』
『Dungeons of Hinterberg』
8月:
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』
『魔女の泉R』
9月:
『REYNATIS/レナティス』
10月:
『メタファー:リファンタジオ』
『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』
11月:
『DRAGON QUEST III HD-2D Remake』
『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』
12月:
『FANTASIAN Neo Dimension』
その他、「オクトパス・トラベラー」「キングダムハーツ」「モンスターハンターストーリーズ」シリーズなど多くのハードウェア移植もあったが、書き切れないため割愛させていただく。
これらの作品群のなかから、まずは今年のRPGについて全体的な所感を述べたのち、レジェンド・クリエイターが送る最高のコマンドバトルが味わえる『サガ エメラルド ビヨンド』、多様な社会の実現を描いたシナリオが光る『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』、そして海外で根付く国産RPGの3つの観点に絞って紹介したい。
2024年の国産RPGはまさしく百花繚乱という一言に尽きる。
それは多くのディベロッパーやブランドから発売されたという意味でもあり、様々なジャンルが出揃ったという意味でもある。
まず『龍が如く8』は『ドラゴンクエストⅢ』を敬愛する春日一番が主人公を張り、コマンドRPGタイプの戦闘システムを取っている(その『ドラゴンクエストⅢ』の最新リメイクと同年に出るというのも面白いが)。
RPGに育てられた少年がRPGの戦闘システムで敵と戦うというのは、ジャンルの成熟を感じさせる。
なお、SEGA傘下のRPGでは、ATLUSの『メタファー:リファンタジオ』とヴァニラウェアの『ユニコーンオーバーロード』がどちらも好評を博しており、SEGAのRPGイヤーであったことも注目点だ。
また、筆者には、一時はスマートフォン向けのソーシャルゲームに覇権を奪われた国内のRPGジャンルにおいて、家庭用ゲーム機の気運が戻ってきたのがここ数年であるという実感がある。
そのスマートフォン向けRPG界の雄である『GRANBLUE FANTASY』から家庭用RPGのスピンオフ『GRANBLUE FANTASY: Relink』が出たのも見ておきたい。
(上記の流れが起きた理由はいくつか推測できるが、スマートフォンの性能が上がったことで各社が豪華なソーシャルゲームを発売するようになり、以前のように低予算で作品を制作できなくなってきたことや、Nintendo Switchの大ヒットによってSwitch向けのゲームをリリースするプロジェクトが走るようになったことが大きいだろう)
とはいえ「アトリエ」シリーズのソーシャルゲーム『レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~』が発売されたのも2024年であり、家庭用とスマートフォン向けゲームとの交換はかなり有機的に起きているという印象だ。
本作のスピンオフは家庭用向けに2025年発売するほか、シリーズ最新作『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』も発表されており、コーエーテクモゲームスのRPGも活発である。
Switch世代の終盤を思わせるなかで、任天堂のセカンドパーティたちが開発したRPG群も気になるところだ。『ペーパーマリオRPG』は(任天堂らしくない……と思わせつつ実は「ピクミン」シリーズなどでは恒例の)ピリ辛なブラックユーモアが光り、確固たるファンダムを生んでいる。
また、相変わらずスクウェア・エニックスのリメイクやリマスターも豊作だ。『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』『ファイナルファンタジーVIIリバース』『ドラゴンクエストⅢ』と、DQ・FF・サガの超大作リメイクが全部出揃うという、とんでもなく豪華な年であった。
一方で「キングダムハーツ」シリーズや「オクトパストラベラー」のように、過去の話題作を細かく移植している。
『サガ エメラルド ビヨンド』『聖剣伝説 VISIONS of MANA』『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』のように、長く遊ばれているIPでしっかりと最新作をリリースすることも忘れずにおこなっており、さすがはJRPGの総本山たる風格を見せている。
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