野木亜紀子の世界 『アンナチュラル』『MIU404』から『ラストマイル』まで
2024.11.24
なぜインドネシアのVTuberシーンが注目され、隆盛しているのか。
改めてそれを分析するため、これまでの歩みとそこで行っていることを振り返っていく。
前編では、インドネシアがなぜ日本文化と親和性があって、どういった独自のVTuber文化を積み重ねてきたのかざっくりと紹介した。
ここからは、2022年に入り巻かれた種が芽吹き始めるところから始まる。
目次
- Kobo Kanaeruという超新星──インドネシアで記録的な成功を遂げたホロライブのVTuber
- ホロライブとにじさんじ、成功と失敗の分かれ目は何だったのか?
- タブーを踏み抜き大躍進 謎のエージェンシー「AKA Virtual」
- TikTok人気が炸裂したインドネシア、ショート動画の戦略が鍵
- VTuber運営だけではない、AKA Virtualの多岐にわたる技術協力
- 政治的運動にも参画 日本にない新たな一手
- アイドルとVTuberとの相乗効果
- 終わりに:経済成長続けるインドネシア、VTuber文化の要に
2022年、インドネシアのVTuber事情において、一番大きな変化が起こった。ホロライブIDからKobo Kanaeru(こぼ・かなえる)がデビューしたのだ。
Kobo Kanaeruが特に注目を集めた理由は、インドネシアのローカルに特化したタレントだったことが大きい。配信活動ではインドネシア語を主に使用し、国民ウケする身内ネタを取り入れ、ちょっと手を焼くような「かわいらしい問題児」キャラクターで人気を得た。
VTuberにおける配信者適性として、純粋すぎるより多少の毒やクセがある方が人を惹きつけやすいという意見がある。
Kobo Kanaeruもそうした視聴者が惹かれるような尖った個性を持ち、それが許されるような声と見た目を持っていたということだろう。Koboが開催したパーティー配信にはインドネシアで有名なYouTuberら豪華ゲスト陣が参加しており、その求心力がいかほどだったかを感じ取れるだろう。
Terkobo-kobo day 2 di Jogja.
Berkat lagu kobo beneran ngga ujan sama sekali.. makasi kobo#AeruSeni #kobobrok #mantrahujan #jogja pic.twitter.com/QSur67nvp1— KENOI : Nekonoi Katsu 🐾🐾 (@NekonoiKatsu) July 3, 2022
Kobo Kanaeruの人気をさらに後押ししたのが、音楽の力だった。Kobo Kanaeru本人が作詞作曲した「Mantra Hujan」はデビューと同時にリリースされると、瞬く間に100万再生を超えて広がった。
当時のホロライブがどれほど計算していたかは不明だが、東南アジアではTikTokを中心にショート動画の影響力が強く、Kobo Kanaeruの曲もそうして瞬く間に拡散されていった。
登録者数も急速に伸び、インドネシアでアバターを使って配信するYouTuberランキングで当時5位に位置し、現在では登録者数が260万人を超えている。この勢いが認められ、YouTubeでの2023年のインドネシアの話題イベントを紹介する動画にも、Kobo Kanaeruが登場することになった。
一方、盛り上がりの裏で望ましくないニュースもあった。「NIJISANJI ID(にじさんじインドネシア)」と「NIJISANJI KR(にじさんじ韓国)」が、本体のにじさんじに統合されることに。
所属タレントが卒業するわけではなく、結果が振るわなかったIDとKRの組織構造を再編してサポート体制を強化する狙いだったが、それでも結果的にはそれを節目に一定のタレントが卒業する形となった。
ホロライブとにじさんじの明暗が分かれた要因について、あくまで筆者の分析としては、運とサポート体制が影響したのではと考えている。
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