キズナアイ活動休止、4年ぶり天使復活──2022年VTuberシーン総括【懐古編】
2023.01.08
謎多きアーティストエージェンシー「NERD」にVTuber・おむらいす食堂が潜入!
NERD代表取締役社長インタビュー(星街すいせい:©︎ Studio STELLAR , ©︎ COVER)
クリエイター
この記事の制作者たち
バーチャルアイドル・星街すいせいさんのソロ活動をマネジメントしているアーティストエージェンシー・株式会社NERD。
2026年3月22日、星街すいせいさんの個人事務所「Studio STELLAR」設立と同時に本格始動し、バーチャルシーンの間で大きな話題を呼んだ。
所属アーティストには星街すいせいさんのほか、サウンドプロデューサー/コンポーザー /DJのTAKU INOUEさん、映像制作ユニット・擬態するメタなど有名クリエイターが名を連ねている。また、星街すいせいさんの「ビビデバ」MV、BUMP OF CHICKENの「I」、星野源さんの「Glitch」など、同社が携わった作品は数多くの人々を魅了してきた。
株式会社NERD
しかしその一方で、株式会社NERDは今なお謎多き存在でもある。“NERD=いわゆるオタク”を社名として掲げ、ひっそりとした空気をまとう姿は、作品を通じて与えるインパクトに反するようだ。
今回は、これまで多くを語ることがなかった株式会社NERDの実態に迫るべく、メディア初となるインタビュー取材を実施。
同社のCEO/エグゼクティブプロデューサーをつとめる髙橋政記さんに、会社設立に至るまでの経緯から、所属アーティストとの出会いや作品の制作秘話、さらには会社として目指す未来について語ってもらった。
目次
- NERD代表取締役社長・髙橋政記インタビュー
- 星街すいせいとTAKU INOUEの運命的な邂逅
- NERDが掲げる越境は、バーチャル/リアルの壁を越えることだけではない
- 社名に込めた使命「オタクカルチャーをポップにして、マスに届けていく」
- マネジメントとプロデューサー、2つの視点を持っているからこそ
──まず、株式会社NERD(ナード)の設立に至るまでの背景を教えて下さい。
髙橋政記 NERDは「エヌ・イー・アール・ディー」と読みます。通称で「ナード」と呼んでいただければ。
──すみません!
髙橋政記 初見殺しの会社名なので、全然大丈夫です。「ナード」とそのまま読むよりも、正式名称が「エヌ・イー・アール・ディー」の方が、なんかかっこいいなと(笑)。
髙橋政記:株式会社NERDのCEO/エグゼクティブプロデューサー
髙橋政記 前職では、TOY'S FACTORY(トイズファクトリー)でアーティストのプロデュースやマネジメントに携わっていました。それより遡ると、今に繋がるルーツは出身地の静岡にあります。
当時はデイサービスという介護関係の仕事でリハビリ職を担当していたんですが、それとは並行して、趣味でアーティストを招いたイベントの企画/プロデュースもしていたんです。
もともと音楽が好きだったんですよね。プレイヤーになりたいと思ってトライした時もあったんですけど、それはすぐに挫折して。
地元では、当時高校生だったDaokoやPUNPEEといったラッパー、tofubeatsのような音楽プロデューサー/DJ、04 Limited Sazabysのようなロックバンドに出演してもらって、ジャンルをまたぐようなイベントを企画していました。
その中で、レコード会社や音楽事務所からお声がけいただいて2017年にTOY'S FACTORYに社員という形で入社しました。そこが、音楽業界に入るきっかけになります。
──TOY'S FACTORYへ入社してからは、どんなことを手がけられていたのでしょうか?
髙橋政記 まず、Daokoのマネジメントを担当することからはじまりました。それこそ、自分がTOY'S FACTORYに入社したタイミングで「打上花火」(※)の制作がスタートしたんです。
右も左も分からない状態だけど、とにかく全部やりきることだけを考えていましたね。
※「打上花火」:Daokoさんと米津玄師さんとのコラボ曲。映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌。Billboardの年間総合ソングチャート「JAPAN Hot 100 Year End」において、2017年に3位、2018年に4位を記録。また、Daokoさんは本楽曲で「NHK紅白歌合戦」への初出場も果たしている。
髙橋政記 2018年には、自分を誘ってくれた先輩がTAKU INOUEをTOY'S FACTORYに引き入れて、マネジメントを担当することになりました。それが、TAKU INOUEとの出会いです。
その後は、anoを担当しながら、A&R(=アーティストの発掘/育成、楽曲の企画/制作、宣伝などに総合的に携わる職種)やマネジメント業務をしていました。
──その中で、NERDを立ち上げるきっかけがあったのでしょうか?
髙橋政記 例えば、アーティストのMVをつくる際、制作プロダクションの映像プロデューサーに発注するのが一般的です。
依頼を受けた映像プロデューサーがディレクター(映像監督)をアサインし、協働で企画・演出プランを立案したり、スタッフを手配したりします。その後、上がってきた提案に対してレコード会社側が監修・判断を行う、といった流れが通例です。
ただ、制作プロダクションに発注することで割かれるコストを考えた時、「自分が映像プロデューサーをやった方が、限られた予算内で良いものがつくれるのでは」と考えるようになりました。
そういった経緯で、実写作品であれば監督やカメラマン、アニメーション作品であれば監督やキャラクターデザイン、原画などのスタッフを、ポートフォリオサイトやSNSを通して自分で集めて、自分で企画を回すようになって。
映像プロデューサーとして映像制作に携わるようになったら、いろんな方から制作のお声がけをいただくようになって……それを機に、2023年5月にNERDを立ち上げました。
──NERDにおいて、髙橋さんはCEOでありながらエグゼクティブプロデューサーでもあります。具体的な業務内容として、どんなことをされているのでしょうか?
髙橋政記 昔はPM(=プロジェクトマネージャー)のように制作進行管理などを含めてまるっと企画に携わることが多かったんですが、今はプロジェクトを最大化できるような「チームづくり」を主に行っています。
例えば、アニメMVの制作プロジェクトだったら監督、キャラクターデザイン、演出……一つひとつのピースがちゃんとハマった時にはじめて成果が最大化すると思っていて。
アーティストマネジメントに関しても、制作進行や宣伝担当など、一番良いかたちのチームづくりをすることが自分の役割だと考えています。
──チームづくりといえば、会社を設立するにあたって、社内のメンバーとはどのように関係を築いてこられたのでしょうか?
髙橋政記 COO/クリエイティブディレクターの大澤創太の話をすれば、出会いはTOY'S FACTORY時代でした。
自分より年下のマネージャーやA&Rが担当しているアーティストも含め、ブランディングの仕方や「どういう風に売り出していくのがいいか」を考えるために、他社のスタッフさんを交えてディスカッションする場を隔週で設けることになって。そこで出会ったのが、当時コンテンツスタジオ・CHOCOLATEにいた大澤でした。
自分はあまり言語化が得意な方ではない抽象的なタイプの人間なのですが、大澤は言語化が凄まじかったのを覚えています。
それを機に交流が生まれて、2022年には大澤からMidnight Grand Orchestra(=星街すいせいさんとTAKU INOUEさんの音楽ユニット)にモスバーガーのタイアップ案件「MIDNIGHT GRAND MOS BURGER」の相談をしてくれました。そこからまたコミュニケーションをとるようになりましたね。
髙橋政記 自分と大澤は美学的な部分で近しいところも多く、以降、一緒に星街すいせい「ビビデバ」やtuki.「晩餐歌」といったMVのプロデュースや広告関連の作品など、多岐に渡って手がけてきました。その後、2025年に大澤が独立し、NERDにジョインするという流れになります。
──大澤さんとは強いシンパシーを感じ合う仲だったんですね。
髙橋政記 そうですね。お互い、タイプの違う人間でありながらも「良いと思うクリエイティブの方針が同じ方向を向いていた」というところですごくシンパシーを感じましたし、大きなシナジーを産めていたのではないかなと思います。
他のメンバーについても、もともと自分と一緒にanoのマネジメントを担当していたり、映像作品をつくる際にご一緒したりと、過去に仕事をした繋がりで集結してくれている状況です。
公式サイトに記載している9名から若干増えていますが、今でも少数精鋭で運営しています。
中には、マネジメントデスクでありつつ、コレオグラファー(振付師)の肩書きを持つメンバーもいます。表に出る活動をしていたバックグラウンドがあったことから、チャレンジの場を与えてみようという狙いです。
本来なら専門家へ外注するところ、あえて「できるけどやっていない人」がチャレンジすることで、クリエイティブとしても突き抜けるものがあると考えています。裏方でありつつも、それ以外の仕事にもチャレンジする場があるのは、珍しい体制でもありますね。
そういった意味で、NERDはクリエイティブプロダクションとアーティストエージェンシーを行き来しています。
──所属アーティストと出会った経緯についても教えてください。
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