Interview

  • 2026.06.23

“AIメタルバンド”がフロアを沸かせる現在──NEON ONIが提示するAI音楽×身体性の可能性

これはSF世界の物語ではなく、今まさに現実の音楽シーンで起きている物語だ

“AIメタルバンド”がフロアを沸かせる現在──NEON ONIが提示するAI音楽×身体性の可能性

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生成AIが生み出した架空のメタルプロジェクトから、肉体を持つ現実のミュージシャンが集結した「実体のあるバンド」へ──

そんな前代未聞のパラダイムシフトを体現しているのが、世界中のメタルリスナーのみならず、多くの音楽ファンやAI分野からも熱い視線を集めるポストAIバンド・NEON ONIだ。

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NEON ONI

コンポーザー/プロデューサーのKAGEさんが、音楽生成AI「Suno」を用いて制作した楽曲をインターネット上に公開したことからはじまったこのプロジェクト。

BABYMETALBring Me The Horizonらの系譜を継ぐヘヴィかつキャッチーなサウンドとダークな世界観はAIでつくられた。瞬く間に海を越えて話題となり、当初は“本物の日本のバンドだ”と信じ込むリスナーが続出するなど、大きな議論を呼んだ。

その後、AI生成であることが公に明かされると、実際に楽器を演奏する実力派メンバーを迎え入れ、リアルなライブシーンへと殴り込みをかける。世界最大級のメタルフェス「Wacken Open Air」への出場権をかけた日本予選のファイナリストに選出されるなど、確実に現実のステージを揺らしはじめている。

KAI-YOUは、KAGEさんに加え、Lisaさん(クリーンボーカル)、Nickさん(リードギター)、Miacatさん(リズムギター)ら、NEON ONIのメンバー4名にインタビューを敢行。

プロジェクトをリアルへと突き動かしたファンへの想い、生身のプレイヤーたちが感じたAI楽曲の衝撃、そして「AIと人間の融合」がもたらす音楽の未来まで、彼らが追求する新しいメタルのあり方を探った。

目次

  1. 音楽生成AI・Sunoとの邂逅から生まれた「裏カワイイメタル」
  2. とにかく「ファンを失望させないために」
  3. 生身のプレイヤーが集結──AI楽曲が放つ「可能性」
  4. 音楽は最終的に「人がどう表現するか」
  5. 賛否両論のリアルなライブシーンへ──「ポストAI」が目指す未来

音楽生成AI・Sunoとの邂逅から生まれた「裏カワイイメタル」

──まずは「NEON ONI」というAIメタルプロジェクトの成り立ちについて教えてください。

KAGE 若い頃はいくつかのメタルバンドでリードボーカルをつとめ、失恋や世界情勢、ニヒリズムなどをテーマに多くの楽曲を書いてきました。

ある日、自宅を掃除している際に昔の歌詞を見つけ、音楽生成AIの「Suno」を使ってその曲をリメイクしてみたのがこのプロジェクトのはじまりです。他のジャンルの楽曲も遊び感覚で制作していました。

その頃、BABYMETALの「SONG 3」をよく聴いていたのもあり、「このスタイルで楽曲をつくったらどうなるのだろう」と興味が沸いたんです。そこで、用意していた歌詞を日本語に翻訳して調整しました。

BABYMETAL x Slaughter To Prevail - Song 3 (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

KAGE その曲は「仮面を被り続ける二面性」をテーマにしたものだったのですが、Sunoが意図せず「don’t forget ur mask(仮面を忘れるな)」というフレーズを生成して。その不気味な美しさに強く惹かれましたね。

その後、公開した楽曲がインターネット上で多くのリスナーから反響を呼び、プロジェクトが自然と広がっていったという流れです。

──やはり、BABYMETALからの影響が大きかったのですね。他にはどのような音楽的ルーツがあるのでしょうか。

KAGE BABYMETALのほかには、Bring Me The Horizon、Linkin Park、そして花冷え。から強い影響を受けています。

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──メタルや音楽好きのコミュニティからは「(BABYMETALが定義づけた)『KAWAII METAL』の影響下にあるバンド」として評価されることも多いですが、それについてはどう捉えていますか?

KAGE BABYMETALには影響を受けていたので、当初は自分でもそのようなジャンルなのかなと考えていました。

しかし、歌詞のディープさやビジュアルのアイデンティティを踏まえ、業界の知人から「裏カワイイメタル(Ura-Kawaii Metal)」と定義されたんです。現在ではその表現が一番しっくりきていますし、NEON ONIの唯一無二のスタイルとして定着しています。

──AIを用いた具体的な生成プロセスについて、明かせる範囲で教えてください。

KAGE 生成プロセスについては独自に構築したワークフローがあるため、詳細は現時点では非公開としています。ただし、単純なプロンプト(指示文)を入力するだけで成立するような、イージーなものではないということだけは明言しておきたいです。

──楽曲のビジュアルや歌詞のコンセプトには、どのようなイメージが反映されているのでしょうか。

KAGE ビジュアルや歌詞のイメージは、漫画家・伊藤潤二さんの作品やビデオゲーム『サイレントヒル』、『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』といった日本のダークな作品から多大な影響を受けています。

楽曲の不気味さや不安感を構築する上で、これらの世界観は欠かせません。

歌詞のコンセプトで言えば、「SATORi SEDAi」は世界情勢に対する感情、「ニヒリズム」は人生の反復や閉塞感、そして「U R nOt aLoNe」では母への想いを表現しています。

NEON ONI - SATORi SEDAi (LYRIC VIDEO)

とにかく「ファンを失望させないために」

──活動初期はAIによる楽曲であることは明らかになっていませんでした。ストレートにお聞きしますが、はじめからAIによって聴き手を「騙す」つもりがあったのでしょうか?

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