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  • 2020.04.01

ゲーム攻略という文化は、危機に瀕している

「ゲーム攻略サイト」というインターネット黎明期から存在したサイトが、IT業界のバズワードとなって久しい。

今後さらにゲームは発展していくだろう。そうなった時、我々はどのようにして、ゲームを取り巻く状況環境と付き合っていけばよいのだろうか?

ゲーム攻略という文化は、危機に瀕している

クリエイター

この記事の制作者たち

現在、インターネット上で長く続いていた有志たちによるゲーム攻略文化が節目にある

攻略本の代替としてインターネット黎明期に攻略サイトが生まれ、wikiが生まれ、いまでは動画で攻略情報やテクニックを解説する人が現れ、そしてスマートフォンの隆盛の下で、企業によるゲーム攻略サイトが数多く生まれた。

しかし、そんな企業によるゲーム攻略サイトの問題点を指摘する声が、ゲームファンにこそ多い。

今回、匿名を条件に取材を承諾してくれた某ゲーム攻略サイトの管理人もその一人だ。連載後編では、攻略文化と共に長年歩んできた彼の視座をメインに掲載する。

彼は、このままでは「攻略サイトの運営が『禁止』されるかもしれない」という危機感を持ち、警鐘を鳴らした。

前編はこちらからご覧ください。

気づいたら、企業系サイトが脅威になっていた

──ゲームというエンターテイメントは、規模が大きい一方で、タイトルごとの流行り廃りも激しいジャンルだという認識です。アクセス数などにゲームタイトルの時流や勢いはダイレクトに反映されますか?

はい。新作の発売直後はアクセス数が一気に高まり、その後ゆるやかに減衰していきます。

特にスマホ時代になってからは、傾向がより顕著になっており、体感では昔より倍以上衰退していくのが早い印象です。

──スマートフォンでのインターネット閲覧が全盛となった現在ですが、(PCユーザー全盛期と比べて)流入元やユーザーによるサイトの使い方に変化を感じたことはございますか?

昔はユーザーが少なく固定客の割合が多かった影響もあるとは思いますが、いわゆる「ブックマーク」をして固定サイトにアクセスするということが減ったように思います。

また、昔はトップページにアクセスしてからコンテンツを探すことが多かったのですが、今は検索エンジンなどから直接各コンテンツのページへと流入される。そのため、検索エンジンの影響がとても大きくなっていますし、どこのサイトか意識しないで使われている印象もあります。

──企業系の攻略サイトの存在を意識、認識しだしたのはいつごろのことでしょうか?

「GameWith」など企業サイトの存在は、開設された初期の頃からネットニュースなどを通して存じておりました。

──企業系の攻略サイトからコンテンツを剽窃されているという疑念や確信を持ったことはございますか。最初にそう思ったのは何年前のことでしょうか。

3年ほど前に、自分のサイトの私の書いた「文章」を検索エンジンに入れてみたところ、まったく同じ文章のサイトが表示され、盗用されていることに気がつきました。

──ゲーム攻略サイトで最大手とされる「GameWith」は創設から6年ほどで上場するまでに至っています。それだけ「ゲーム攻略サイト」というジャンルは人を集め、実際に売り上げに繋がるものなのでしょうか?

ゲームはアップデートや新作が発売され続けますから、幅広いゲームを扱う限り需要が絶えない点が大きいのではないでしょうか。人々は常に新しい情報を求めているので、記事のネタが尽きません。マンパワーのある企業は参入しやすいのかと思います。

──個人や有志による攻略サイトと、企業系の攻略サイトはどのような点が違うと思いますか? あるいは類似していることや、お互いの良いところや悪いと感じる部分などを教えていただきたいです。

企業系は競争の中に存在しているので、盗用の件もそうですが、(検索をあらかじめ獲得するためにまだ情報も入手できない段階で)「調査中」のページを作成したりと、SEO重視でゲームやプレイヤーへの愛をまったく感じないことが多いです。

一方で、需要を的確に読み取る力は強く、必要なページを細かく用意していると感じます。マンパワーはありますから、個人サイトではなかなかできないような数のページを作成されています。

──企業系のゲーム攻略サイトはパズドラに端を発するソシャゲのヒット、そして「GameWith」の成功以降、さらに爆発的に増えていった印象です。管理人様の目線で、企業系の攻略サイトの影響力や勢いを感じたエピソードや印象深い出来事などはございますか?

実は私は、ほかの攻略サイトをあまり見る習慣がないので、これまで実際の勢いを肌で感じるようなことはありませんでした。

ただ、私のサイトと同じタイトルのゲームを扱うようになってからは、検索すると企業系サイトのほうが上位に出るようになり、気づくころには脅威になっていました。

上述の通り、盗用されたり、無価値な作成中のページでも上位に出ることから、SEOのあまりの強さと、価値のある情報をきちんと表示しれくれるわけではない、検索エンジンの無力な側面にようやく気づいたという感じです。

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