ネットで隆盛するTRPG 事務局が明かす、版元に迫られる二次創作への対応
2022.10.02
KADOKAWAとはてなが共同開発する小説サイト。その初代編集長の胸中。
※本稿は、2016年6月に「KAI-YOU.net」で掲載されたインタビューを再構成したもの
クリエイター
この記事の制作者たち
大手出版社・KADOKAWAと、国内最大級のブログサービス「はてなブログ」などを運営する株式会社はてなが、2016年2月にオープンした小説投稿サイト「カクヨム」。
誰もが自由に小説を投稿できるだけではなく、『涼宮ハルヒの憂鬱』『冴えない彼女の育てかた』などの人気作の二次創作コーナーや、ユーザー同士のレビュー機能やランキングの実装なども行われ、はてなのノウハウを活用した読みやすいインターフェイスで、すでに数多くのユーザーに親しまれている。
そんなカクヨムの初代編集長をつとめた萩原猛氏は、このようなカクヨムの現状をどのように見ていたのか(2017年2月からは河野葉月氏が編集長に就任)。
運営の思想や「編集」という仕事への向き合い方、そしてカクヨムや小説業界の今後についてまで、赤裸々に語っていただいた。
目次
- カクヨム発足前夜
- 今の小説のつくり方に危機感があった
- なぜ「はてな」とつくったのか?
- カクヨムそのものが“雑誌=文化”に
- カクヨムならではのビジネスモデル
- 「編集を手放す」ということ
- 純文学でもエンタメでもない作品
- さまざまな作品に触れる機会をつくるために
- 創作の基本は二次創作にもある
- プロも参戦、業界からの評価は?
- 読者はWebサイトに帰属意識を持つ
- ラノベ市場は過渡期を迎えている
──2016年2月末にローンチした小説投稿サイト「カクヨム」ですが、2016年6月現在のユーザー数やPV(閲覧数)を教えてください。
萩原猛(以下、萩原) 会員は毎日数百人単位で増えていて、5月中に6万人を超え、月間PVは5月の時点で5000万を超えました。
──順調に推移していますね。そもそも、カクヨムの成立の経緯とはどういったものなのでしょう?
萩原 まず、「ユーザー発生型」という新しい小説のつくり方が、今後の主流になっていくだろうと予測していた出版社の人間はかなりいたと思います。
でも、例えばトヨタのような製造業に比べると、出版社は1社の規模が小さい。その中で、僕らがイメージする規模感の小説投稿サイトをつくり上げるのは難しかったんです。
そんななか、2013年にKADOKAWAとして(連結子会社9社を)合併したことで会社の規模が大きくなり、また何より、同じ志を持つ人がひとつの場所に集まることができた。
そうした状況が全てかみ合い、また会社としても、UGC(ユーザー作成コンテンツ)から生まれた小説を「新文芸」と名付けて強化していく戦略をとる中で、自分たち出版社がUGCサイトを持つべきだという認識が共有されました。
──カクヨムの話自体は、合併の前からあったのですか?
萩原 集まって具体的な話をしたのは合併の後です。
私自身、合併前に所属していた富士見書房時代からWeb小説の書籍化を手がけていましたし、富士見書房のサイト内に書き下ろし小説の発表の場を設けるといった試みをしていたので、やりたいという意欲はもともとありました。
私だけでなく、ほかのスタッフも全員、そういう理想は持っていたと思います。

──KADOKAWAはレーベルを数多く抱えていますが、カクヨム立ち上げの際にレーベル間の衝突などはなかったのでしょうか?
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