映画『爆弾』を観た元刑事に聞いてみた「犯人と取調室での頭脳戦って本当にある?」
2026.01.21
ポップカルチャーは“人を感動させるコンテンツ”であると同時に“感動するためのツール”としての役割を期待される。こと、音楽については、後者の側面が大きい。
そのためには何より“共感”が必要不可欠だ。しかし、それはどのようにして獲得できるものなのだろうか?
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この記事の制作者たち
2019年2月をもって無期限休止となるまでの11年間、J-POPを代表する存在であり続け、主に10代・20代の女性から圧倒的な支持を受けてきたアーティスト・西野カナ。
同世代の女性アーティストの中でも飛び抜けて高い歌唱力もさることながら、特筆すべきは、デビュー以来ほぼすべての楽曲で自ら手掛けてきた“歌詞”の世界観だ。
楽曲の中で度々登場する「ケータイによるコミュニケーション」を描いた歌詞が若い女性を中心に共感を集め、着うた文化との親和性も高かった彼女は、いつしか“ケータイ世代の歌姫”と評されるようになった。
一方で、歌詞内容の幼稚さや語彙の乏しさ、あらゆる楽曲の中で「会いたい」や「会えない」といったフレーズを使い過ぎることなどが指摘され、ネット上では西野カナの楽曲の中で「会いたい」というフレーズが入った部分を集めたコピペが出回り、「ありきたりでひねりもない歌詞ばかり」と非難されるJ-POPの代表格として西野カナは嘲笑の対象となっていた。
しかし、そのように西野カナを嘲笑し続けても、彼女の書く歌詞が人気を得ているという事実に変わりはない。仮にもし、西野カナの歌詞が幼稚でありきたりでひねりもないものだとするならば、では「なぜそんなものがここまで人気になったのか?」ということについて考えを巡らせなければならない。
そもそも、彼女は数年前から「会いたい/会えない」とは歌っておらず、近年の楽曲では「ケータイ」も鳴りを潜めていた。
西野カナにとって「会いたい」とはなんだったのか? 大きな共感を呼び続ける西野カナの歌詞の特徴、西野カナの描く世界の変遷を紐解いていく。
※本稿は、2016年6月「KAI-YOU.net」で配信した記事を再構成したもの
目次
- 「会いたい」という感情を増幅する装置
- コメント欄に溢れる失恋ポエム
- 匿名性を突き詰めた歌詞
- 「ケータイ」との決別
- 西野カナが歌詞で描く大人で幸せな恋愛
西野カナは2008年にシングル『I』でメジャーデビュー。2009年にリリースした5枚目のシングル『遠くても feat.WISE』がレコチョク着うたランキングで1週間連続でトップ10入りし、大きくブレイクする。
遠距離恋愛の寂しさとケータイによるリアルなコミュニケーション描写をつづった歌詞が、ケータイを活発に利用していた当時の10代女性から多くの共感を得た。
2010年には、10枚目のシングル『会いたくて 会いたくて』が着うたフル年間ダウンロード1位に輝く(3位と4位にも西野カナの楽曲がランクイン)。ケータイによるコミュニケーションを描いた歌詞や、着うたのランキングにおいて圧倒的な人気を得ていたことから、彼女は“ケータイ世代の歌姫”と呼ばれるようになっていく。
そのヒットも手伝って、西野カナといえば「会いたい/会えない」という内容の曲ばかり歌う印象を持っている人も多い。
しかし、彼女が2016年時点までにリリースしたシングル曲28曲(両A面含む)の歌詞のうち、「会いたい/会えない」という言葉が入っている楽曲はわずか6曲にとどまっており、しかもそのうちの5曲が、10枚目のシングルまでにリリースされた初期の楽曲(〜2010年)に集中している。
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