
「初めて吸った次の日から売人なった」京都で過ごした孫GONGの少年時代
「京都のヤクザの元組長の息子でラッパー」。 これまで、何も知らない人間に「孫GONG」という男を説明する時、決まってこう…
現在この記事の0%の位置です。
京都の極道の組長の息子で、売人からラッパーとなった孫GONG。
彼のホームタウンを歩く。ゆかりの場所、ゆかりの人物から、その素顔を探る。
孫GONGと、京都の街を歩く。時折恐る恐る声をかけてくる、若い少年やコワモテのファンらの握手や撮影に応じながら。
撮影に応じる孫GONG
「祭りの時とかヤバイすよ。京都の祇園祭、露店よりも俺の前にできる行列のが長い」
さすがに冷静なツッコミを入れたくなるが、屈託のない笑顔と曇りのないその目を見ながら話を聞いていると、不思議なことに本当にそうなんだろうと信じさせる説得力がある。
高校を辞めた孫GONGは、売人としての生業のほかにも偽ブランド品を売りさばいて荒稼ぎしていた。木屋町にほど近い新京極通は主に当時の溜まり場で、ゆかりの場所が多く存在する。
並んでいた女子高生をナンパしていた雑貨屋、今は仲間うちの隠れ家になっている某理容室、かつて偽ブランド品を販売していた店は今や似顔絵チェーンの店舗になっていた。
懐かしそうにそれらを眺めながら、孫GONGは思い出を語ってくれる。すっかり様変わりした街並みは、その目にどう映っているのか。
「京都は昔と比べて良くなってますよ。昔のが良かったとかない。良くしようおもて変わってってるんだから、絶対良くなってるはず。みんな、昔好きだったあの店がなくなったから昔のがよかったって言ってるだけ。ないもんねだりですよ」
京都タワーの刺青を入れるほど地元・京都を熱烈に愛する孫GONGの言葉としては、意外に思える。
「俺は、京都はどんどん進化してくれっておもてる。好きだから。好きなところがちょっと変わろうが、好きじゃないですか? どんなに(街並みが)変わろうが、俺はこの道歩くんが好き」
取材対象:孫GONG 撮影:横山マサト 取材・執筆:新見直
京都の極道の組長の息子として生まれ、売人を経て今ではラッパーとして活動する孫GONG。
孫GONGとヒップホップとの出会いは、地元の先輩だった。ガンジャにハマったのと同じ頃、先輩のラップに食らってフリースタイルラップを始めるようになった。
MCネームも、2人の先輩ラッパーから授かった”GONG”と”孫”という呼び名で構成されている。
売人になったのと同じ頃に、BACK BONE(背骨本舗)という地元のクルーに加入し、ラッパーとしての活動も続けていたが、「シャブでヨレててまともにラップしてへんかった」時代が長く続いた。
高校を中退した孫GONGは、先輩たちと「バッタもんの服を売りさばいて」いた。
ここから先はPremiumユーザーのみ
ご覧いただけます
あと4184文字/画像13枚
KAI-YOU Premiumは月額定額(1,100円)のコンテンツ配信サービスです。「KAI-YOU.net」の有料版という位置付けのもと、"ここでしか読めないポップカルチャーの最前線"をお伝えしていきます。
ただの天然、なだけではない「孫GONG」という男
かつてニコニコ動画で一斉を風靡したボーカロイドの文化。 「歌ってみた」や「踊ってみた」等の音楽の同人・二次創作だけでなく、そのキャラクター性を用いた創作群は…
2008年の音楽家デビュー作にして大ヒット作となったTVアニメ『けいおん!』の楽曲を手がけ、その後、自身のアーティスト活動「OxT」「MYTH & ROID」という2つのユニッ…
2020年末にはLiSAの「炎」がレコード大賞を受賞するなど、今なお大きな変化の最中にありかつてない熱気を見せるアニソンシーン。そして、そのすぐ近くで、すべてを過去に…