

共に若くして商業的に活躍するイラストレーター、loundrawとれおえん。
全く真逆のアプローチをとる彼らは「イラストレーション」という手段をどう捉えているのか。

10代でイラストレーターとしてデビューし、2019年にアニメーションスタジオ「FLAT STUDIO」を設立したloundraw。
2020年にオンラインでの連続対談イベントとして開催された「FLAT STUDIO SESSIONS」では、所縁の深いクリエイターを迎えてそれぞれの創作手法や現代の創作環境を巡る議論が交わされた。
彼よりもさらに若い1996年生まれのれおえんを迎えた対談では、イラスト制作における「イメージボード」について紐解く。
「アズールレーン」はじめ数々の作品でイラストレーション・キャラクターデザインをも手がけるれおえんは、2020年には「FLAT STUDIO」に参加している。
2人の気鋭クリエイターは、その創作手法をどのように言語化するのか。
聞き手は、花譜やカンザキイオリらを擁する「KAMITSUBAKI STUDIO」を抱えるTHINKRのプロデューサーで、loundrawのマネジメントもつとめる石井龍。
ホスト:loundraw ゲスト:れおえん 司会:石井龍 執筆:ゆがみん
目次
- Photoshopはほぼ使わず、クリスタだけで作画する
- 「イメージボード」は機能? タグ付け?
- 気持ち悪さは「フックがある」アイデアへと繋がる
- loundrawとれおえんは、何を美しいと思うか──その美学の差異
- キャラクターや場所について、描く理由をすべて説明できる
Photoshopはほぼ使わず、クリスタだけで作画する
loundraw 今回、れおえんさんとお話すること、すごい楽しみにしていました。
れおえん loundrawさんのこと、すごい昔から知ってたんです。お会いできて感無量です。
僕は最近もずっとお絵描きしてます……。あとはバーチャルYouTuber(VTuber)の配信をすごく見ていますね。あと麻雀をはじめました。麻雀の文化、FLAT STUDIOにも持ち込みたいです。
──今回れおえんくんをお迎えしたんですが、この対談シリーズのコンセプトは「作るための考え方や姿勢を知る」というものです。れおえんくんは普段どんな環境でイラスト制作してますか。例えば、こだわりのツールなどはありますか?
れおえん 作業環境はモニター2枚、PC2台。液タブは新しく買った24インチのWacom Cintiq Pro。4Kのやつを使っています。
loundraw 良いですね、4K。世界が変わりますよね。
れおえん とにかくデカいのが良いんですよね。こだわりとなると……んー、無理やり言うと、ショートカットキーはキーボード操作一択です。キーボードくらいのキー数がないと追いつかなくて。
loundraw 僕よりも使ってるショートカットの数が多そうですね。僕は鉛筆と消しゴムツールだけショートカットで使っています。全部のショートカットを把握してるのが異次元に感じる(笑)。
れおえん ショートカットアプリとかを使っていた時期もあったんですが、誤動作やバグが怖くてやめちゃいました。ほとんど家でCLIP STUDIOを使ってます。
loundraw ほぼクリスタ(CLIP STUDIO)で描いてるんですか?
れおえん そうですね。ほぼクリスタだけで描いて、最後の色の調整や細々とした部分にPhotoshopを使っています。
loundraw そうなんですか! れおえんさんの描き方はPhotoshop由来なのかなと勝手に思っていました。
れおえん 僕も結構最近まで「やっぱPhotoshopには勝てないな」って思ってたんです。
ここから先はPremiumユーザーのみ
ご覧いただけます
あと7286文字/画像6枚
KAI-YOU Premiumは月額定額(税別1000円)のコンテンツ配信サービスです。「KAI-YOU.net」の有料版という位置付けのもと、"ここでしか読めないポップカルチャーの最前線"をお伝えしていきます。
気持ち悪さは「フックがある」
Series
連載

急成長するVR法人HIKKY 「バーチャルマーケット」誕生秘話
開催からたったの5度目にして、のべ100万人以上が参加する世界最大のVRイベントとなった「バーチャルマーケット」。運営する企業もまた非常にユニークで、ベンチャー企業…

プロe-Sportsチーム「REJECT」オーナー・甲山翔也インタビュー
プロe-Sportsチーム「REJECT」オーナー・甲山翔也。選手に年俸1000万円を支払い、渋谷の街頭ビジョンでCMを流す、現役大学生ながら豪気なオーナーだ。 六本木にオフィ…

韻マンインタビュー 韻に取り憑かれた男
その男の名は「韻マン」。韻を愛し、韻を踏むことのみにこだわってきた。時に批判にさらされながらも、こだわりだけを貫き通すことで、自身の存在を徐々に認めさせていっ…