韻に特化したホメオティック遺伝子「韻マン」インタビュー「韻への独占欲が芽生えてる」

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  • 2021.02.17 20:00:00

「俺は韻マン、韻が好きだからただ踏んでるだけ」。

貫き通した信念と韻への愛情が、大阪の少年を、誰にも似ていない「韻マン」というラッパーに押し上げた。

韻に特化したホメオティック遺伝子「韻マン」インタビュー「韻への独占欲が芽生えてる」

韻マン」。なんと無駄のない、そして不遜なネーミングだろうか。

「ラップをするっていうより、韻を踏んでた」。韻マンは自らの始まりをそう振り返る。

韻を踏む男は、今ではMCバトルの用語としてある程度広まった「語感踏み」を生み出した人物でもある。

Interview:韻マン「AIでは再現できない韻」とは?

並並ならぬ「韻」への強いこだわりが先行するあまり、MCバトルにおいてアンサーを返さないことさえある。

最初は「韻踏んでなくね?」と嘲られ、徐々にそのスタイルが浸透するも「韻だけじゃん」という批判に常にさらされ続けながらも、圧倒的な韻へのこだわりだけを貫き通すことで、自身の存在を徐々に認めさせていった韻マン。

百足はじめMCバトルシーンで「00世代」と呼ばれデビューから2年経たず「バトラー」として名声を高めた彼は、2020年からは本格的な楽曲活動を開始。

デビュー曲「Change My Life」でずば抜けたリズム感、リリック、フロウを見せつけ、新しい才能と存在感を強く印象付けた。YouTube公開後、1週間で100万再生を超える数字を叩き出した。

韻マン - " Change My Life "【Dir. by @Sekaiseifukuyameta】

強いこだわり、摩訶不思議な語彙力の秘密──地元・大阪で韻マンが明かす韻の話。

撮影協力:一二三屋

目次

  1. 武者修行の場は、ツイキャス
  2. USラップを取り入れた「語感踏み」 秘密は“音”
  3. “現場”に出たきっかけは、同期のアイツの一言
  4. 韻を突き詰めたらフロウになる。韻マンの韻哲学
  5. ディスじゃなくて韻で客を沸かせたい
  6. 韻マンの変態的こだわり

武者修行の場は、ツイキャス

背も高く、見た目のインパクトも強い韻マン。ステージでの捉えどころのなさとは裏腹にとても礼儀正しく、無邪気に笑う様子からは少年のあどけなさを覗かせる。

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現在19歳の韻マンが韻を踏み始めた直接のきっかけは、YouTubeで見かけたMCバトル動画だった。

2001年生まれの彼が過ごした中学生時代は、2012年に正式発足した「戦極MCBATTLE」や同年放送開始された「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」が盛り上がり始め、2015年には「フリースタイルダンジョン」も始まっていよいよMCバトルが大きなムーブメントに。

当時としては「むちゃくちゃ王道なんですけど」と前置きしつつ、大阪の中学生だった韻マンも、例にもれず周囲も含めてMCバトルにのめり込んでいった。

「ラップをやりたい」と友達に誘われて自分も始めるまでに、そう時間はかからなかった。

最初、GADOROさんのヴァースを丸パクリして友達をボコボコにしてイキってました。一瞬『めっちゃ上手い!』ってなったんですけど、(パクリだって)すぐバレて(笑)」

あくまで遊びの延長として、ラッパーのヴァースを真似して楽しんでいた。

ラッパーを志すつもりもなかったが、ラップ好きな友達たちの影響で、ヒップホップを聴いたりフリースタイルをやったりする中で、「俺もオリジナルでかましたい」と思うようになっていった。

「みんなにバレへんように、ツイキャスでラップを始めたんです。隠してたのは、急にうまなったら面白いかなっていうただその一心で(笑)」

MCバトルの大会などの「現場」とは異なる、ネット上のプラットフォームを舞台にした「ネットラップ」は、ニコニコ動画やツイキャスといった配信サービスで独自のコミュニティを形成していた。

高校生になった韻マンは人知れず、ツイキャスで武者修行に励んだ。

「ラグくて音がずれるけど、ツイキャスはツイキャスで個性があって、上手い人たちがいて。適当につくったアカウントでコラボしたりバトルしたりしてたんですが、最初は全然勝てなかったですね。

中でもめちゃめちゃ韻踏む人がおって──りるじき(現「KID LOW」)やTrue or 4-SE、COIL──その人らにも絶対負けなくないなと思って、一日中ずっと韻踏んでました。とにかく目についたもんから踏んだりして」

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一見飄々としているように見える韻マンだが、特に「韻」に対してはとことん強いこだわりを持っていることがうかがえる。

めちゃくちゃ韻固い人らだけど、絶対負けへんわ」。ツイキャスに刺激を受けてひたすらスキルを磨き続けた韻マンの才能は、徐々に開花していく。

「ラップ始める前に、自分が好きで踏んでたリズムで韻を踏んでみたら面白いと思って、自然に、オリジナルな韻の踏み方を自分の中で見つけたんです。それで『今日本で(この踏み方を)やってる奴は俺だけや』と思って、ツイキャスだけじゃなくて現場に出はじめました」

韻マンだけの韻の踏み方。それが、冒頭で述べた「語感踏み」だ。

いわく「踏んでるけど踏んでない」という語感踏みは、どのように生まれたのか。そもそも語感踏みとは何か。

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変態的なまでの「韻」へのこだわり 語感踏みの秘密は