きっかけは「祖母の介護」日本のVTuberが中国で築いたシンデレラストーリー
2021.12.26
VTuberはその進化の規模と速度の前代未聞さゆえに、そのブーム発生と、その後の異次元の発展の理由を明確にするのは非常に困難であり、明確な答えを持つものは少ないだろう。
日本のブームを目の当たりにし、アメリカでエージェンシーを立ち上げた男たちが語る、日米のVTuberの違いとは。
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平成の終わりに空前絶後の大ブームを巻き起こし、令和の現在に至るまで発展を続けるVTuber(バーチャルYouTuber)文化は、基本的には日本国内でガラパゴスな進化を遂げてきた。しかし今再び海外シーンに熱が宿り、ホロライブEnglishのメンバーであるGawr Guraが史上最速でチャンネル登録者数100万人を達成するなど、国内シーンから見ても無視できない勢いを見せている。
そんな日本で起きた突然変異を目の当たりにし、アメリカでも同じことができるはずと考える男たちがいた。
それが今回お話をうかがうアメリカ初のVTuberエージェンシー「VShojo」創業者のJustin IgnacioさんとPhillip Fortunatさんだ。世界最大級の配信プラットフォーム・Twitchの創設メンバーでもあるJustinさんは日本での生活の中で、VTuberブームに遭遇。そこで生まれたパッションに突き動かされるままモーショングラフィックス動画制作において伝説的な存在であるPhillipさんと共に「VShojo」を設立した。
「VShojo」は、Projekt Melodyさんやチャンネル登録者数100万人以上のNyatasha Nyannersさんといった、すでにシーンで活躍していた強力なインフルエンサーを中心に結成された才気あふれるタレント集団。YouTubeのみならずTwitchでも活動を展開し、シーン全体に新たな風を吹かせる存在として注目を集めている。
より過熱する日本のシーンをどう捉えているのか、そしてライブストリーミング界に置いて豊富な経験と知見を持つJustinさんは、VTuberという全く新しいカルチャーに何を見出したのか。文化としてビジネスとして、可能性の原野に踏み込む「VShojo」が抱く未来のビジョンを語っていただく。
取材対象:Justin Ignacio 執筆:オグマフミヤ 編集:小林優介
目次
- TwitchでもVTuberブームを起こせると思った
- VTuberは、“スーパーインフルエンサー”になりうる?
- アメリカのVTuberたちの収益化方法
- Twitch創業者の見る日本のVTuberシーン
- ブランドにとって重要なこと
──日本では、2016年にキズナアイさんが登場。2017年に電脳少女シロ、ミライアカリ、輝夜月らが次々と活動を開始し大ブームとなり、それをきっかけにVTuberシーンが形成されていきました。VTuberを認識したのはいつ頃でしたか?
Justin Ignacio(以下Justin) 2018年のはじめ頃にYouTubeでシェアされていたキズナアイさんの動画を見てからですね。実際にその時の履歴が画像で残っていますよ。
──そこから「VShojo」を立ち上げるまでの経緯をうかがえますか?
Justin 元々、ライブ配信という産業の中で趣味と仕事を両立させたいという思いがあったんです。Twitchを辞めてから数ヶ月間、秋葉原の近くに住んで日本の文化を楽しんでいたのですが、同時にYouTubeで日本のVTuberの成長を目の当たりにしました。
そして、アメリカでも適切な指導ができれば、Twitchなどのプラットフォームで日本と同じくVTuberのブームが起こせると感じたんです。
2020年の初頭に、Twitch上で成長する可能性を秘めた英語圏のVTuberタレントに声をかけはじめました。最初にProjekt Melodyに声をかけ、彼女のTwitch立ち上げを支援しました。
Salutations everyone! And welcome to my not fun, super normal, paint drying celebration. Nothin to see here folks.
♥️♥️♥️♥️♥️♥️♥️https://t.co/7hfpzb37Fs pic.twitter.com/qmam9fYBBg— Projekt Melody 🥞 VSHOJO (@ProjektMelody) February 7, 2021
Justin その時に、彼女が所属するコミュニティには他にも有望なVTuberがいることに気付き、より多くのVTuberの成功を支援するために、VTuberのエージェンシーとなる会社を立ち上げることを思いついたんです。
その後2020年の8月にチームの計画、初期メンバーの人選を最終決定し、デビュー発表に向けての作業など、会社の基礎を築いていきました。
──Twitchの創業者としての目線から、アバターでの配信やコミュニケーションにどのような可能性を感じたのでしょうか?
Justin 2015年、ゲーム配信プラットフォームのSteamにウェブカメラを使ってキャラクターになりきることができるFacerigが登場しました。それ以来、私はアバターベースのストリーマーに魅了されてきました。
Justin 最初期の例では、『Counter-Strike: Global Offensive』のライブ配信で人気になった配信者であるNummylolなどがいます。 将来的には、アバターを使ったコミュニケーションは生活やエンターテイメントの様々な側面にまで広がり、より身近なものになっていくのではないかと思います。
CS:GO streams have evolved http://t.co/EU4YDY9OzY pic.twitter.com/uem9r2tjSJ
— theGunrun (@theGunrun) September 21, 2015
Justin Live2Dなどのモデルを作成し、人間の動きと同期させるツールによって、今後さらにキャラクターではない生身の人々がミーム化されていくかどうか、興味深く見ています。
恐ろしいものが完成した
Not bad for my first Live2D rig pic.twitter.com/YONAClo4HT— ハイガイ - グッズ販売中! (@highgai) February 9, 2021
──経営者としては、バーチャル市場のどのような点にビジネス的な価値を見出していますか?
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