LAM インタビュー「僕は天才ではない、だけど──」
2020.11.21
2017年から続くバーチャルYouTuberの隆盛。待てよ? 先駆者がいるな?
そうだ、石ダテコー太郎に聞きに行こう。
※本稿は、「KAI-YOU.net」にて2018年3月に配信された記事を再構成して掲載したもの
クリエイター
この記事の制作者たち
日に日に大きくなっていくバーチャルYouTuberたちが起こすビッグウェーブ。
2020年にはついに1万体を超えるキャラクターたちが生まれ、3Dキャラクターによるリアルな動きが目を惹く。人間のように表情を変えることや、アドリブな言動にすぐそばにいるかのような存在感を感じることができる。
そんなテクノロジーの進化と触れ合う中で、脳裏をかすめる一抹のデジャブ。我々は既にこれを知っている──そう、ダテコーだ。
ダテコーこと石ダテコー太郎監督作品は3Dキャラクターをリアルタイムで動かす手法をいち早くとっていた。実際『魔法少女?なりあ☆がーるず』で使用されていたシステム「KiLA」は、一部のバーチャルYouTuberにも採用されている。
まさしくダテコー監督は、このムーブメントの開拓者だったのだ。
そんな監督は現在のブームをどのように感じているのか、そして満を持して何に取り組もうとしているのか。時代を先取りすぎた男が見据える新たな潮流についてうかがった。
目次
- 「そう! これこれ!」
- 荒れた畑にしないために
- キズナアイに「やられたな」と思った瞬間
- 中の人を明かさない、それでいて実在するかのようなバランス
- キングレコードすらゲリラ戦法をとる時代に
──早速ですが、石ダテさんはバーチャルYouTuberをどのように知りましたか
石ダテコー太郎 キズナアイが登場したという話を聞いてからですね。あんまり生身のYouTuberを見るタイプではなかったんですが、バーチャルだったら少し見てみたいと感じました。
言い方悪いですけど、生身のYouTuberはアマチュアの「俺、ドヤ?」みたいな映像を見せられるのが苦痛で(笑)。でも、アニメキャラクターがそれをやる分には見ていられる。応援したい気持ちが芽生えるといいますか、なんだかそのキャラが頑張っている感覚は微笑ましい。
当時「KiLA」(※)チームとも、せっかくこういうCGのきぐるみを着れるシステムがあるなら、バラエティ的に「中身はおっさんです」って番組ができないかという話をしてたんですよ。
※きぐるみライブアニメーター・KiLA。生でVRキャラクターのアニメーションをつくる技術であり、石ダテ監督作品の『魔法少女?なりあ☆がーるず』でも用いられた。石ダテ監督は当初システムのプロデューサーとして関わっていた
石ダテコー太郎 そしたら実際出てきちゃったんで「そう! これこれ!」と思いました。キズナアイを発端に色んなキャラが出てきてますが、こういう風に多様化してくると面白いですよね。
──率直に、現在のブームはどのように感じられているんでしょうか。
石ダテコー太郎 楽しいなっていう個人的な思いはもちろんありますが、今はアニメの本数が多すぎて、みんな見るのがしんどくなってきてると思うんですよね。
そんな中、YouTubeでキャラクターの可愛さだけを短めの動画で見せてもらえるってすごい丁度いい。アニメを見るのは腰が重いけどキャラには触れていたいって人達にはとてもいい存在だと思います。
ビジネス目線でも、予算がかかる上に当たるかどうかもわかんないアニメより、予算も低くて制作に時間がかからないバーチャルYouTuberでキャラクタービジネスができるというのはとても魅力的だと思います。
──そういう手軽さが現在のブームに関係しているのでしょうか。
石ダテコー太郎 生身のYouTuberブームを受けてというのも当然あると思います──けれど、アニメを好きな人達は普通のYouTuberを見て、「うわぁ、クラスにこういう奴いたわ……」ってちょっと嫌だと感じるところもあったと思うんですよね。
そういう中でバーチャルYouTuberは「やっと俺達が応援できるのが出てきたじゃん!」みたいな。
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