LGBTQ差別はなぜレゲエに深く根差してきたのか? ヘイト騒動に巻き込まれたMINMIインタビューも
2022.11.05
今年で11年目。2010年3月から日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル・DOMMUNEを運営する宇川直宏氏を直撃
※本稿は、2014年に「KAI-YOU.net」に掲載したインタビューを再構成したもの
「観測史上最大の台風が関東直撃するっていう予報が出ていますね、悪夢が蘇ったよ(笑)」。
開口一番そう語るのは、2010年から日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル・DOMMUNEを運営する宇川直宏氏。
これまで、グラフィックデザイナー、映像作家、VJ、文筆家、大学教授、ファッションブランドディレクター、クラブオーナー、そして現代美術家と、枠にとらわれることのない全方位的な活動を展開してきた。
その宇川氏が立ち上げたDOMMUNEは、開局以来、国内外のアーティストをゲストに、トーク&DJライブを日夜全世界に発信し続けるインターネット放送局として求心力を保ち続けている。
2020年にはリニューアルオープン後の渋谷PARCOの9階に移転、「SUPER DOMMUNE」として現在に至るまで番組の配信を続けている。
なお、2021年には、DOMMUNEが“作品”として評価され文化庁芸術選奨の文部科学大臣賞を宇川直宏氏自身が受賞している。
。令和2年、世界中のライブ・イベントが突如中止を余儀なくされたこの年に改めてそのような「作品」の価値が認められた。令和2年度(第71回)芸術選奨 文部科学大臣賞 贈賞理由より一部抜粋
本稿は、その宇川直宏氏に、2014年時点の貴重なインタビューとなる。
それは偶然にも、氏が厄災とどのように立ち向かってきたか、という記録にもなっている。
目次
- 2014年、DOMMUNEに何が起きていたのか?
- DOMMUNEにまつわる〝事故〟そして〝自然災害〟
- リアルタイムからアーカイブへ
- 1000人のDJが奏でるノイズと、無音の『4分33秒』
- 二宮金次郎に学ぶ、無名支援と行政改革
- 自らのカルマはお金と自然災害とノイズ
- 次なる挑戦は、テレビ史の統括!
覚えておられるだろうか。
東日本大震災に見舞われた2011年、DOMMUNEはその支援イベントとして前代未聞の超大型無料フェス「FREEDOMMUNE 0 <ZERO>」開催を企画するも、当日、台風に見舞われて中止を余儀なくされるという顛末を。
あの日、多くの人が開催地である神奈川に到着していたが、最終的に中止となり、現地で足止めを食らった人も多数いた。
そしてそのリベンジとして、2012年・2013年は会場を幕張メッセに移してどちらも数万人規模を動員し大成功を収める。
そして2014年、3331 Arts Chiyodaとコラボ。3本柱でのおおがかりなプロジェクトが展開されていた。
まず、3331での現代美術解析プロジェクト「DOMMUNE University of the Arts -Tokyo Arts Circulation-」の展示。秋田県のマタギ発祥の地と言われる隠れ里にあるトンネルで行った音楽イベント「根子フェス2014+DOMMUNE」。
そして最後の柱として、神田警察署前の廃墟で行う屋内フェス「DOMMUNE/KANDA INDUSTRIAL」の開催を目前に控え、本インタビューは実施された。
奇しくも、その開催日には観測史上最大の台風の直撃が予報されており、またしても台風による中止という最悪のシナリオが頭を過ぎる、その最中だった。
冒頭の「悪夢が蘇ったよ」という宇川氏の発言は、このことを指している。
──まず、今展開されているDOMMUNEと3331のコラボ企画についてお話をうかがいたいと思っています。
宇川直宏 まさに今、「KANDA INDUSTRIAL」の当日に、〝観測史上最大〟という、有り得ないほどおおげさでセンセーショナルな触れ込みで、ニュース/ワイドショーが煽りまくっている例の台風19号が接近していて、実はめちゃくちゃ焦ってます(笑)。
だって、マカオ人が名付けた今回の台風の「ヴォンフォン」っていう一見牧歌的なネーミング、スズメバチって意味らしいですよ、人間界がもし「みなしごハッチ」の世界であれば"殺略"を意味します。
──またも台風ですか……!
宇川直宏 そう、またなんですよ…! 雨男を楽々更新して自然災害男と化しています!
──最初の「FREEDOMMUNE」も、台風被害で当日に開催中止になりましたよね。嵐を呼ぶDOMMUNEですね。
宇川直宏 まさにそのとおりです。僕が屋根のない現場で興行を起こすと、必ず嵐が巻き起こりますね。もう、お家芸かっていう程に(笑)。
笑いごとじゃなく、あの時は海抜0mの海が広がる東扇島東公園が会場でしたからね。「これは“大自然”の側から我々人間に対して挑戦状を叩き付けられているぞ」と、とにかくDVを受けているような感情を抱きました。
日々、無償の愛とたくさんの恵みを与えてくれるあの美しい“自然”が、“大自然”へと豹変し、暴風雨と共にバイオレントな猛威をふるい現場を支配している。あの現場では大自然の猛威に畏怖の念を抱きながら現実を直視する以外、ちっぽけな我々人間にはまったく何もできなかったわけですよ。
要するに被災地支援を試みて、被災の疑似体験を自然の側から突きつけられたということです。なので、もちろん中止の決断を下しました。
実は、これはあまり知られていないかもしれませんが、去年(2013年)、YCAM(山口情報芸術センター)とコラボした「YCAMDOMMUNE」でも、メインのプログラムは、大雨洪水警報発令で停電になりました。
そう、ドリフの「8時だョ!全員集合」の停電騒ぎなどは、DOMMUNEでは日常茶飯事なのです。
今年2014年、開局5年目に突入ですが、僕らは毎日毎日、生の現場を正面から受け止め続けています。年に1度とか、月に1度とかではなく、僕らは日刊のメディアですから、つまり毎日なんですよ!
2プログラムを平日毎日、週末はブッキングやオファーをまとめていますから、つまりほぼ365日体制で、パーティーを遂行しているわけです!裏を返せば、人間、現世をまともに生きていると、雨の日、風の日、雪の日、嵐の日に必ず遭遇するはずで、毎日パーティーならば、嵐の日もあって当然! 晴れの日だけが祭りじゃない!
つまり森羅万象全て教訓というわけです!
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