サイバーパンクとVTuber 技術に覆われても表出してしまう人間性が魅力になる
2022.09.15
クリエイター
この記事の制作者たち
正午に一同が集合し、3rdアルバム『Walk Through the Stars』の爆音上映とインタビュー前半の収録を終えた時点で、時計の短針は四を指していた。
一旦の休憩と相成り、スマホを片手に外へ向かう者やグミを貪る5歳児など、それぞれの時間を過ごす。
いつの間にか、スタジオの外階段にある喫煙所は満員だった。nerdwitchkomugichan、玉田デニーロさん、コイデシュンペイさん──ピーナッツくん以外の全員が集まっている。他愛のない話と音楽の話、紫煙が辺りを漂っては消えてゆき、やがて──やはりと言うべきか、話題はピーナッツくん一色になる。
あの歌詞の解釈がどうのこうの、「次回作はどうなるんだろう?」なんてことまで、止めどない言葉が宙を飛び交う。特に熱っぽく語り合う3人がいて、つくづく、彼らはピーナッツくんが好きなのだと思った。こっちまで笑顔になるぐらい、眼もキラキラと輝いている。
そして思い出す。ついさっきピーナッツくんが「僕の本音もかなり込められた曲でして」とつぶやいた「Walk Through the Stars」という曲には、こんな歌詞があった。
知り合いとかマジいらない
ぼくにはマジいらない
友達を作りたい
ほんとのこと話したいよピーナッツくん「Walk Through the Stars」より
ピーナッツくんは何を思ってこの歌詞を綴ったんだろうか?
すぐそこで楽しげに話している3人は、彼の何を見てきたんだろう?
時計を見た。そろそろ頃合いだ。「じゃあいきますか」と、誰ともなく言って、喫煙所からスタジオへ続く扉を開けると、視界の先にピーナッツくんがいた。「後半もよろしくナッツー!」。聞きたいことは、まだまだたくさんある。
オシャレになりたい!ピーナッツくんとnerdwitchkomugichanによる、セルフ楽曲解説がスタートです。
目次
- 1.「Roomrunner!」
- 2.「Fulltracker」
- 3.「Makeup」
- 4.「KidsRoomMan」
- 5.「KFC」
- 6.「PEEPEE」
- 7.「TotaKK」
- 8.「Tamiflu」
- 9.「respawn」
- 10.「Youngpixar」
- 11.「PetbottleRocket」
- 12.「Walk Through the Stars」
- 13.「DR_0000_0212.wav」
──ここからは全曲解説ということで、改めてよろしくお願いします。では「Roomrunner!」から順にいきましょう。アップテンポでアルバムのトップバッターらしい曲ですが、どうやってつくられたんですか?
ピーナッツくん アルバムの一発目に何か勢いが欲しいよねってことでつくった曲ナッツ。
komugichan 一曲目なんですが、実は一番最後にできた曲なんです。つくることを決めた次の日にはビートを送って、その翌々日くらいにラップが返ってきて、それでもうほぼ完成だったよね。
──この曲を聴いて、1stオンラインライブ「NUT TO YOU」のOPムービーにあった、ピーナッツくんがひたすら走っているアニメーションを思い出しました。すごい勢いと疾走感を感じます。
ピーナッツくん イメージ的にはあんな感じですね。とにかく汗をかいてる感じを出したかったナッツ。あとは『カービィのエアライド』のシティトライアル(ゲーム内の対戦モード。歌詞ではcity trial)とか、造語の“エアライダー”とか言ってるんですけど、懐かしいゲームやインターネットの雰囲気を出したくて入れた歌詞です。
──何のことなんだろうと思ってたんですが、『カービィのエアライド』のシティトライアルだったんですか。全然関係ないですけど、ゲームキューブ屈指の名作なのでリメイクしてほしいですよね。
komugichan ほんまそうですよね!
ピーナッツくん 一生やってましたね〜!
komugichan 友達のカービィをハイドラで一生轢いてましたね。ドラグーンでどこまでも飛ぶのも楽しかった。
ピーナッツくん あと動画にもしましたが、当時ルームランナーを買ったばっかりだったのもあって、こんな曲になりました。ルームランナーで走りながら聴くとほんとすごい良いですよ。おすすめナッツ。
komugichan ピーナッツくん初のワークアウトミュージックですね。
──次の「Fulltracker」ですが、「Roomrunner!」に続いてテンションの高い曲です。歌詞を見るに、PCなどのガジェット、あるいはVRやバーチャルの世界について歌った曲なのかなと思ったんですが。
ピーナッツくん そうですね。さっきも話しましたが、僕の原風景やいま見えている景色を歌ってほしいとkomugichanに言われてたので、部屋のなかでごちゃごちゃしている身の周りの機材について歌いました。
──本作はいわゆるマンブルラップ(あえてはっきりと発音しないラップのスタイル)で歌った曲がいくつかありますが、「Fulltracker」はそれが特に顕著です。これまでにない試みですが、これはkomugichanがディレクションしたんでしょうか?
komugichan いえ、実はラップやフロウに関してはまったくディレクションしてないんです。ビートの意図もあまり伝えてないぐらいで、むしろピーナッツくんがどう打ち返してくれるのかを楽しみにしていました。
玉田デニーロ 「どうですか?」って聞かれた時に意見を言うぐらいだったね。
komugichan これは後でお話しますが、歌に関して何か言ったのは「PetbottleRocket」ぐらいかも。もっとできるなって時は言いますけど、基本的に問題ないので。
──そもそもピーナッツくんのラップのレベルが高い?
komugichan そうですね。リリックに関しても口出ししていません。僕はラッパーではないので、ラップの経験値はピーナッツくんのほうが圧倒的に高いのも理由です。その点に関しては信頼しています。
ピーナッツくん 等身大の僕で全曲歌いました。その中でも「Fulltracker」は特に力を抜いた感じになったので、マンブルラップっぽくなったんだと思います。
──スキルフルなラップになっています。あと、ぽんぽこさんがびょんびょん伸びていた2Dから現在の3Dになって、この前の「ぽんぽこ24」では高性能なフルトラッキングを使った企画も多かったですが、こうした環境のグレードアップの変遷も歌詞から感じました。
ピーナッツくん ラッパーが成り上がってどんどんお金持ちになってくみたいなバイブスをVTuberとしての僕が歌ったら、機材のグレードアップの話になったナッツ。フルトラッキングする時は本当に『GANTZ』みたいなスーツを着ますからね。テンションが上がるんですよ。
──やはりVTuberにとってフルトラッキングのシステムを持つというのは、一つのステータスなのでしょうか?
ピーナッツくん そうですね。flexしたナッツ!
──最後に余談ですが、つい最近、もちひよこさん、ミミックさん、フェアリスさんとVRChatのワールドで遊ぶYouTubeチャンネル「パラレルウォーカー」が開設されましたよね。
ピーナッツくん はい。でもあれはぽんぽこさんが勝手にやってるので、僕もよくわかってないナッツ!
komugichan そうなんだ(笑)。
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