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  • 2022.08.05

「これはVTuber文化への反逆である」VTuberシーンの仕掛け人が見据える10年後

今日に至るバーチャルYouTuberシーンの仕掛け人と言っても過言ではない重要人物。その彼が今、どんな考えの元、新たなプロジェクトを推進しているのか? その目に映るエンタメの未来図

「これはVTuber文化への反逆である」VTuberシーンの仕掛け人が見据える10年後

Activ8創業メンバーの1人で、2020年まで同社で活動していた松田純治さんへの独占取材。

これまでの経験を踏まえて、その後に松田純治さんが推進したものが、中の人があえて露出し、2次元と3次元を跨りながら成人向けのコンテンツをも提供するという一際変わったVTuberプロジェクト「ますかれーど」や「こねくとぴあ」だったことは非常に興味深い。

そしてそこには、松田純治さんの一貫した考えとその結果としてたどり着いた必然性、そして未来への先見性が含まれている。

これは、VTuberの話ではない。メタバースの話でもない。エンタメにまつわる未来についての話である。

目次

  1. 反逆としてのますかれーど
  2. 「俺の嫁」の消失と進化
  3. いやしといやらしは、「ラーメン二郎」
  4. バーチャルセックスと心のセックス
  5. 心が一体化するまでの3つのSTEP
  6. 10年後に来てほしい未来

反逆としてのますかれーど

––––松田さんは2020年からはバーチャルメイド喫茶『ますかれーど』の企画からプロデュースを担当されていました。2022年7月には『ますかれーど』を離れ、新たに2.5次元VTuberグループ『こねくとぴあ』プロジェクトも発表されました。

『ますかれーど』や『こねくとぴあ』は、VTuberでありながら、中の人も露出して活動を行われています。実写でASMR配信を行い、中の人の存在を隠さないという方針は、企業系VTuberとしてはとてもユニークな世界観です。これまでのプロジェクトとはまるで真逆の存在だと思いました。なぜこのプロジェクトを始めたのですか?

【祝】1期生デビュー1周年記念オフコラボ♡【#こねくとぴあ】

松田 VTuber文化への反逆です。もちろん、悪い意味ではなく。もともと、それまでに目指していたのは、人間ではないAIが私たち視聴者へと語りかけてくれる、そうした関係から繋がりを生むことでした。

にじさんじをはじめとするバーチャルライバーの活躍もあり、いつしかバーチャルYouTuberは、アバターを介して、中の人のパーソナリティを意識しながらコミュニケーションをとるVTuber文化へと変化していった。

前編でお話した通り、そうした時代の変化の中で、私たちのプロジェクトの受け止められ方も、私たちプロデュース陣が最初思い描いていた受け止められ方とは違っていったのは確かです。

今になって思えば、中の人への関心を止めることはできないし、おかしなことでもないだろうと。でも、私としては思うところもありました。だから、「そんなに中の人を追いたいのであれば、中の人も一緒に提供してあげよう」と思ったのが『ますかれーど』を始めたきっかけです。

『ますかれーど』のキャストたちは、実写でご主人様である視聴者のみなさんに配信を介してお給仕を行います。それを見て「これってVTuberなの?」とコメントやSNSで書かれると、しめしめ、と思うんです。それこそ、私が以前、自分が他のVTuberに対して思ったことなんです。「これがバーチャルYouTuberなのか?」と疑問に思ったあの感覚をみなさんにも味わってほしい。

中の人へ関心を持つことが当たり前になった今のVTuberのトレンドを極限まで突き進めることで「これはVTuberなんですか?」という問いをみなさんに突きつけたいと思っています。バーチャルライバーの登場によって拡がった「VTuber」の定義をもう1回ひっくり返したいと思っています。これが、私が『ますかれーど』や『こねくとぴあ』に至った経緯です。

––––なるほど、まさしく「反逆」。文化としてとても自然だと思います。ちょうど芸術の歴史の中でも、芸術の概念を塗り替える作品の登場によって、芸術の世界はアップデートされていきました。1917年マルセル・デュシャンは男性用小便器にサインをした「彫刻」作品である《泉》を美術展に出品することで、美術館に展示されれば芸術なのか? という問いを突きつけることで「芸術」概念を揺り動かそうとしました。

松田さんの『ますかれーど』や『こねくとぴあ』での試みも、同じく「アバターをまとって配信をすれば中の人が実写配信をしていてもVTuber」なのか? という問いを提案しているクリエイティブな活動だと思います。

「俺の嫁」の消失と進化

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––––『ますかれーど』や『こねくとぴあ』の特徴は、深い繋がりだと思います。オンラインサロンを運営されていて、キャストのみなさんとリスナーである「ご主人様」の繋がりはとても深く見える。そこでは、松田さんが前編でおっしゃっていた「キャラクターが自分の名前を呼んでくれる」とはかなり異なる「人間と人間」の親密な繋がりが生まれているように感じました。

キャラクター的なVTuberがリスナーに繋がるやり方と、中の人の存在が明らかにわかるVTuberがリスナーと繋がること、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか? 言い換えると、キャラクターとしてVTuberを愛することと、中の人としてVTuberを愛することはどう違うのでしょうか?

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