『モンスト』10年の重み、ネット文化と音楽の融合『プロセカ』──同接ランキングが示す勢力図
2023.10.05
クリエイター
この記事の制作者たち
2017年からABEMAで始まった『ラップスタア誕生』。
LEON a.k.a. 獅子(Leon Fanourakis)や¥ellow Bucks、ralphにeyden、そして2023年の覇者であるShowyVICTOR──次世代のラッパーを発掘するというコンセプトのもと、事実これまで優勝者の中から、シーンにその名を轟かすスターたちを生んできた。
企画者でありオーガナイザーであるのは、ラッパーでMAGUMA MC’sとしても知られるRYUZOである。
地元・京都で、自身が設立したR-RATED RECORDSで、同郷のANARCHYを発掘してプロデューサーもつとめてきた。現在は、渋谷でレコード・バー「BLOODY ANGLE」やクラブ「MADAM WOO TOKYO」を経営している。
音楽活動の一線から退いているRYUZOの手広い活動。見えてきたのは、ヒップホップを貫いてきた彼のブレない“場所づくり”へのこだわりだった。
若きラッパーへの提言、ヒップホップ論争についてもその胸中を語る。
目次
- 自分の役割は、『ラップスタア誕生』という場所を用意するだけ
- 審査員に直訴も「ちゃんと意味のあるものにするから」
- 約3500人のラッパーをふるいにかける「本当に、頭狂いますよ」
- リアルであること、求められ演じること。ラッパーに要求されるバランス
- 人間味が全部「面白い」に繋がるのがヒップホップ
- 「みんな、勘違いせんといてほしい」
──改めて、「ラップスタア誕生 2023」お疲れ様でした。過去最多3457名のエントリーで、大盛況の中で終了となりましたが、オーガナイザーとしての手応えはいかがですか?
RYUZO まず、「ラップスタア誕生」を俺の番組という風には思ってなくて。ヒップホップファンとして「ああいう場所があったら面白いな」と思って番組づくりをしているだけなんですよね。
オーガナイザーである俺がやれることって、あの番組を用意することでしかない。あの場所は、ビートメイカーに審査員、スタッフみんなに協力してもらってできているので。あとは何より、参加してくれるラッパーの力。才能のあるラッパーが応募してきてくれて、奇跡を見せてくれる。
だから自分自身の手応えというよりも、むしろ「本当に楽しかったです、ありがとう!」しかないです。
──RYUZOさんはあくまで枠組みを用意していると。番組側が盛り上げるために不要な演出や仕掛けを行う、ということもありませんね。
RYUZO 『ラップスタア誕生』という番組には、嘘がないんですよ。運営はただスケジュールを決めて人を集めて、それを実行してやってるだけなんで。だから今回の盛り上がりは、ShowyVICTORやKay-on、Spadaや7ちゃん、AMOをはじめ、参加してくれた全員の力だったと思います。
RYUZO もしこれでビジネスをしようとするなら、番組をどうにかして金にして、そっから上位のラッパーをプロデュースしてデビューさせて……ってやりたがると思うんですけど(笑)。実際、プロデュースするなら出資したい云々の話もあるんすよ。
でも今のところ、そうするつもりはなくて。俺は日本・海外問わず、ただ“ヒップホップ好きなオッサン”として自分のコネクションを使って一個のプラットフォームをつくっただけやと思ってるんで。
──今回3457 名という驚異的なエントリー数に加え、ファイナリストに残ったのもニューカマーから知名度のあるラッパーまで、その出自は大きくバラバラでした。ラッパー人口の増加や多様性をより強く感じたのですが、RYUZOさんはどうご覧になっていますか?
RYUZO 絶対に今、ヒップホップがホットなんですよね。ヒップホップが一番、この狂った時代に合ってるんやと思うんですよ。
俺らの時代では、サッカーとかロックとかの色んなジャンルに、色んな才能が散らばっていた。それに比べてヒップホップは「あー、チェケラッチョやろ?」みたいな風に見られていて、そもそもカッコいいもんだとも思われてなかったんですよ。俺たちの場合は、それをカッコいいもんだと証明するところの戦いから始まっていた。
それが今や、ヒップホップはめちゃくちゃカッコいいもんだと皆が認めているわけじゃないですか。だから若い才能がこぞってヒップホップに集まってきてるんちゃうかって思います。
漢 a.k.a. GAMIも言ってたけど、昔はヒップホップって本当に、公に言えないほど狂った人たちの集まりだった(笑)。それが今や、カルチャーやシーンが大きくなればなるほど巻き込まれる人間も増えていって、無茶をするような人は淘汰されていくようになってきた。楽曲を売りたいってなったら配信すればいいし。ここまで環境が整ってるってすごいですよね。素晴らしい時代っすよ。
──そうしたヒップホップの盛り上がりは、番組を重ねる中でも感じましたか?
RYUZO そうですね。あとコロナの時にもう一段階、グッと人気が上がってきたんちゃうすか? みんな家で曲を聴いていましたからね。
ヒップホップってあらゆるスタイルを全部ひっくるめて「ヒップホップ」って呼べるじゃないですか。ロックみたいにハードコアやパンク、カントリーとかジャンルがわかれていないから、どんなスタイルでもヒップホップになって、色んなルートで売れることができる。
──ジャンルとしての度量の深さが、多様性のある時代にマッチしているのでしょうか。
RYUZO そう。だから例えばRYKEY DADDY DIRTYや舐達麻もいれば、Awichやguca owl、WILYWNKAやTohjiもいる。こうやって今後も、色んなタイプのラッパーがヒットを飛ばしていけるから面白いっすよね。
──その功労者でもあるMAIN JUDGES(審査員)として、今回はAKLOさん、Awichさん、R-指定さんの3名が前回開催の2021年からの続投でした。また、新たにWILYWNKAさん、Ralphさんといったフレッシュなメンバーを迎えています。審査員の方々を決める基準などはあるのでしょうか?
RYUZO こんな言い方は失礼かもしれないけど、他人を審査しても良いレベルの人たちという基準で選んでます。だから俺は審査しないんですよ、そのレベルじゃないと思っているし。
この人やったら審査をしても文句言われない、一流のMCやなっていう人がまず前提で、その上で……ちゃんと収録に来てくれそうな人(笑)。
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