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2024.01.19
クリエイター
この記事の制作者たち
日本発の文化として国外のファンのみならず、各国のタレントも続々と生まれているVTuber。
このムーブメントの東南アジア圏における一角として盛り上がるタイを掘り下げる今回の特集記事。前編では現地の底力を知るつむじさんの視点を借りて、まずは現地のポップカルチャー事情も俯瞰しながらVTuberの盛り上がりを探った。
後編となる今回はタイ国内における3大事務所のひとつ、PixelaProjectの代表であるAtaruさんへのインタビューを行った。
当事者から見たタイのVTuberの勃興から今日に到るまで、そしてこれからの動向を探る。
目次
- 広告ディレクターから転身 PixelaProject代表・Ataruインタビュー
- 「VTuber」という真新しさに数ヶ月で慣れてしまった
- PixelaProjectの立ち上げ……タイでの人気の秘訣とは?
- 新規ファンを得るためのタレント育成術 トレーニングとキャラ構築
- 可能性と難しさが同居する、発展途上のタイVTuber
- タイの特性を活かす鍵は、発展的ローカライズ
現在PixelaProjectの代表を務めるAtaruさん。
VTuber事業者としてのキャリアの歩みは、前編でも触れたように2019年にKADOKAWAが現地企業との合弁で打ち出したVTuberタレント・Yu Estella Kirameki(YuChan)の運営に携わったことだった。
「それまでは広告ディレクターや大学での非常勤講師として働いていたのですが、友人からのオファーでYuChanのプロジェクトにプロデューサー/ディレクターとして関わることになりました。それまでも興味こそあれ、直接VTuberに仕事として関わるのはこれが初めてでした」(Ataru)
今日に至る日本でのVTuber人気の一因には、コロナ禍によるテレワークなどオンライン環境での生活様式の一般化が追い風として働いたこともある。この生活環境の変化はタイも同様で、行動制限が起こったことから自宅で楽しめる各種オンラインコンテンツが人気を博することに。
タイのVTuberにおける実質的な先駆者となったバーチャルアイドルのAisha、そして彼女に追随する形で活動を開始したYuChanも、コロナ禍での変化に先駆けるタイミングでのデビューということで、まずはバーチャルYouTuberのパイオニアであるキズナアイを手本にすることでスタートした。
個人レベルでも様々なチャンネルが立ち上がったが、当時の段階で企業が手がけたのはAishaとYuChanのみ。いずれも、3Dモデルで短い動画を投稿するスタイルだった。
「当時はまだVTuberという存在自体も少なかったので、すべてがトライ&エラーの日々でした。タイ国内でもほぼ同時期にスタートしたAisha Channelくらいしか成功例がないような頃だったので、視聴者を集めるためには何をするべきか試行錯誤するのは楽しかったですね」
しかし、VTuberの活動スタイルは次第に、3DモデルからLive2Dへ、動画投稿からライブ配信を主軸としたものへと移り変わっていった。
Live2Dモデルの台頭後、VTuberの制作コストははるかに下がって手軽になった。配信もしやすくなったことで接触時間も増えていき、その分人気も高まっていった。
誰もがLive2Dに切り替える中、すでに相応の制作コストを費やしていたYuChanは、運営体制的にもスタイルを大きく変更してその流れについていくのは困難だった。結果、YuChanのプロジェクトは苦戦。Ataruさんは2020年の時点で既に離れていたが、2021年12月にはプロジェクト自体も停止した。
ただし、当然タイのVTuberシーンが途絶えたわけではない。やがて2020年後半から20213年の序盤にかけて、今のタイでVTuberシーンを盛り上げる3大事務所であるPolygon Project、Algorhythm Project、PixelaProjectが立て続けに設立されていった。
YuChanの運営経験からは、Ataruさん率いるPixelaProjectの運営に活きる教訓も多く得られたという。
「まず役に立ったのは、VTuberを立ち上げる際の、最初にするべき動き方について。そしてどんな人々が私たちのコンテンツを見ているかという学びもありました。オタク層をターゲットにするということで私自身のような大人のファンを想像していたのですが、実際は視聴者の多くがティーンエイジャーでした」
AtaruさんたちYuChanチームは、日本テイストのアニメルックのキャラクターでタイ風のコメディをやろうと試みた。自国向けのローカライズである。最初の数ヶ月は、新しい試みということでかなりうまくいったという手応えがあった。
しかし、デビューから2〜3ヶ月ほど経って、「VTuberである」という真新しさに慣れてしまうと、視聴者の半分以上はVTuber以外の他のコンテンツへ移ってしまった。
その離脱をいかに防ぐかが安定したファンの獲得に直結するという教訓が、後のPixelaProjectにも活かされることになる。
Ataruさんが2021年に立ち上げたPixelaProjectは現在6グループ、27人のタレントを抱えるタイ有数の事務所へと成長している。ここに到る人気を得るには、早いタイミングで日本とは違うタイでのコンテンツ嗜好に気付いたことが大きいと語る。
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