韓国音楽のアンダーグラウンドシーンは停滞している? 文化政策からは見えない歪みと光
2019.12.27
世界的に人気を博すK-POPアイドルたちが、近年e-Sportsシーンに急速に接近・合流している。
NewJeansは、10月から11月にかけて開催されるMOBAゲーム『League of Legends』の世界大会「League of Legends World Championship(Worlds 2023)」のテーマ曲「GODS」の歌唱を担当。
同楽曲のMVは、韓国チーム・DRXのDeft選手の活躍を辿る3DCGアニメに仕上がっている。
また、LE SSERAFIMは、FPSゲーム『オーバーウォッチ 2』とのタイアップを発表。10月27日(金)に公開される新曲「Perfect Night」のMVでコラボするほか、ゲーム内でメンバーをモチーフにしたカスタム・ゲーム・モードや、限定スキンなどが配信される。
一見、結びつきが薄いようにも思えるK-POPとe-Sports。2つのカルチャーが結びついた背景には、韓国の文化的風土がある。
目次
- e-Sports文化は、もはや“ショービジネス”の最前線
- 競技シーンで年々増し続ける、韓国の存在感
- e-Sports強豪国としての韓国を支える「PC房」文化
- プロゲーマーはK-POPと並び、韓国ポップカルチャーを代表する存在
※本稿は、2023年10月に「KAI-YOU.net」で配信された記事を再構成したもの
そもそも、e-Sportsシーンにおいて、「音楽」の果たす役割が年々大きくなっている。
例えば、イベントの告知に際し、インパクトのある動画を制作するケースが目立つようになり、それに使用するテーマ曲が用意されるように。
2021年、プロゲーミングチーム・Crazy Raccoonは主催する「CRカップ」のテーマソング「かさねうた」を制作。同楽曲の歌唱には、まふまふさんやSouさんなど、大会に出場する有名な歌い手やインフルエンサーたちが多数参加。
こうした事例や傾向はオンラインで配信されるカジュアルなイベントだけでなく、競技大会でも同様に見られている。
『LoL』の世界大会「Worlds」でも、決勝の前には毎年オープニングセレモニーにテーマ曲を担当するアーティストが出演。現在、韓国で開催中の「Worlds 2023」でも、NewJeansがパフォーマンスした。
会場の規模が年々拡大しているのももちろんだが、セレモニーはARや投影など、最新技術を駆使した演出を披露する場としても注目を集めている。
ゲームの試合内容だけでなく、開会式のパフォーマンスも注目される、総合的なショービジネスの最前線となっている。
なお、LE SSERAFIMも、『オーバーウォッチ 2』の開発・運営会社が主催するファンイベント・BlizzCon内「Community Night」で、コラボ曲「Perfect Night」を披露した(外部リンク)。
「Worlds」ではこれまで、Imagine DragonsやZeddといったアーティストがテーマ曲を担当していた。
しかし近年ではK-POPガールズグループ・(G)I-DLEのメンバーであるミヨンさんとソヨンさん、88risingのレクシー・リウさんを起用。彼らはゲーム内キャラクターのアイドルグループ・K/DAとして登場した。
このように、ここ最近は東アジアのアーティストがスポットライトを浴びる事例が増えています。アジア圏のアーティスト、とりわけK-POPが注目されるのはK-POP自体が魅力だからというのは当然だ。
しかしそれだけではなく、背景にはe-Sportsにおける東アジアの国々の存在感がある。
『LoL』はアメリカで開発・運営されるゲームだが、韓国や中国のチーム/プレイヤーが結果を残し、すでに世界中から強豪国として認識されている。
歴代の優勝チームは韓国と中国のチームが名を連ね、助っ人外国人として有力な韓国人プレイヤーが海を渡り、欧米チームでも存在感を示している。
このような結果を残している地域のアーティストがテーマ曲を担当するのは、自然の流れとも言える。
ではなぜ、e-Sportsで韓国や中国のチームが結果を残せているのか。
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