「趣味の様なイラストで楽してお金を稼ぐなんてとんでもない」という時代を越えて
2024.04.13
「comico」や「ピッコマ」「LINEマンガ」などの各種プラットフォームから拡散され、2020年代では日本のポップカルチャーにおいても注目のメディアミックスの資源となった韓国発の漫画形式・Webtoon(ウェブトゥーン)。
2024年初頭から韓国WebToon原作のTVアニメ『俺だけレベルアップな件』『外科医エリーゼ』が絶賛放映中。4月からは同じく人気作の『喧嘩独学』が放映される予定です。
「陰キャがこの子とデート!? だがクラスメイトに絡まれ敗北…」という漫画の広告を見たことがあるだろうか?
2023年には『彼女が公爵邸に行った理由』『帰還者の魔法は特別です』などが、その前には『神之塔』『ゴッド・オブ・ハイスクール』『外見至上主義』などが韓国Webtoonを原作に、日本でTVアニメとして制作・放映されました。
Webtoonはどのような環境で成長してきたのか。
韓国の現地で青少年期を過ごした筆者が、実体験をベースに解説します。
目次
- 改めて「Webtoon」とは何か──韓国における草創期
- 漫画の新たな表現形式としての「Webtoon」
- 漫画が弱い環境だからこそ生まれたWebとの親和性 “縦読み”を通した日常への浸透
- 人気作品の世界的拡散──メディアミックスのマルチな資源として
- おさえておきたい! Webtoon作品おすすめ25選
日本では 「縦読み漫画」と通称されるWebtoon。
スマートフォンでのブラウジング、スクロールに特化されたクリエイティブ/読み方は韓国で定着したとされています。
草創期はブログやネット掲示板などからはじまったとされていますが、2003〜2004年頃からNAVERやDAUMなどの大手ポータルサイトが事業として開始。そのプラットフォームが、今知られているWebtoon及び関連サービスの原型だと言えます。
現在では「NAVER WEBTOON」「KAKAOPAGE」のようなポータルサイト発のサービスを中心に、電子書籍サービス発の「RIDI WEBTOON」、Webtoonの有料化に貢献した専門サイト「LEZHIN COMICS」などのプラットフォームが韓国で有名です。
人気ジャンルは、初期はコマ割りしやすい4コマ漫画やギャグ、日常/エッセイ漫画などが主流で、それは今でも主軸です。
そして『純情漫画』『1001』のような作品によって長編にも挑戦されることになります。そして、ロマンスやファンタジー、アクションやホラー、スリラーにミステリーなど、ジャンルのプールは一気に拡大しました。
現在では(Webtoonと共に市場を拡大した)Web小説作品のコミカライズにWebtoonが用いられたり、“ロファン(ロマンス+ファンタジー)”ジャンルなども主流になっています。
日本でも「comico」を筆頭に「縦読み漫画」というワードでWebtoonプラットフォームが輸入されてきました。
ただ、韓国ではWebtoonが現代における漫画とほぼ同義で用いられる反面、日本は雑誌連載中心の出版体制がそのままデジタルに移行しており、Webtoonは「縦読み」という新鮮で独特なジャンルとして注目されている印象です。
2022年10月21日から23日にかけて開催された、漫画・アニメ業界のカンファレンス「IMART2022」(「国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima」)。
たしかに「縦読み」はWebtoonという形式を考える上で重要な特徴です。しかし、より重要なのは「縦読み」というフォーマットの縛りではなく、Webを介したコンテンツへの接近と親和性の側面にあると思われます。
現在において韓国における「漫画」の連載は、すなわちWebtoonの連載だと言えるほど、Webtoonは韓国漫画市場で絶対的な立ち位置にあります。
これには理由があります。
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