Yan Sekuの頭の中──Tajyusaim Boyz脱退から千葉雄喜プロデュース、逃げ出した空白の4年
2024.03.15
イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる連載「令和のネット絵学」。
第3章では、イラスト講座の最前線と、日本における美術教育について。
さらに読むと役立つ、イラストレーター必携の実践的なブックガイドも!
イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる新連載「令和のネット絵学」。
第3章では技術面をさらに深掘りして、イラストのノウハウ、描き方を伝える人達に着目していこう。
クリエイターが求める技術とはより良い表現を発信するためのものだ。表現を学ぶ手段や量は大幅に増え、そこだけである規模の市場になっている。
目次
- ノウハウは、売れる
- YouTubeにX、3Dモデルにフィギュア…多角化するイラストを学ぶメディア
- イラスト技術の進歩を支える、教材やプラットフォームの高度化
- 2ちゃんねるや「ヒトカク」から始まった、イラスト講座の歴史
- コンテンツのミーム化を定着させた、ニコニコ動画とpixiv
- ソシャゲバブルによる洗練化 クオリティーへの飽くなき渇望の幕開け
- アニメーターの持つ体系的なスキルを開陳したノウハウ本の登場
- 着彩、ライティングへの理解が捗る名著たち
- なぜ? 再評価される西洋絵画
- 大陸系の美術教育と、日本における美術教育
- 「美大は就職を考えると行く意味が全くない」のか?
- 「技術は表現のためにある」という大前提を忘れず、健やかに
コロナ禍に入ってから、生活や仕事の環境が大きく変わりました。人々の意識下での大きな変革に「自己投資」があります。
これからの仕事がどうなるかわからないので、自分に時間やお金をかけていこうという考え方です。医療美容や歯科矯正など、自分磨きにお金を使う人も増えてます。
イラストについても市場が盛り上がっており、人気クリエイターの作画解説を動画で学べるColosoやCLASS101など、新しいWebサービスが誕生しております。
イラストに限らず、ノウハウは売りやすいコンテンツです。情報商材についてはNFTやAIなど新しい技術が出てくる度に、「儲かる!」「今がはじめどき!」など似たようなパッケージで量産されます。それらのビジネスが流行るのは「儲かる」や「モテる」など人々の欲求に応えているからです。政府も副業を推奨しているので、環境的にも売りやすいと言えます。先が見通せない経済の中ではこういった訴求はより強く刺さります。
イラストのノウハウも最近は上達だけではなく、営業などプロとしていかに食べていくかに焦点を当てた企画も増えています。こんなことを書いている、私自身、拙著に『イラストでお金を生み出す秘訣』という営業系の本を出しています。
イラストの描き方、講座は様々なメディアで展開することができます。今はYouTubeが人気で、この分野の雄はさいとうなおき氏でしょう。さいとう氏は私が高校生の頃(約20年前)から追いかけているイラストレーターで、当時から凄まじい画力の持ち主でした。
Xでも下田スケッチ、アニメ私塾、Kawaii Sensei、加藤公太など、絵の描き方に関するアカウントはとても人気です。絵の描き方は外国語学習などと異なり、1枚の画像でも多くの事柄を説明できるので、短文のポストだけでも大きな学びに繋がることもあるからです。
SNSだけではなく、イラスト学習を手助けするツールは無数にあります。最近だと3Dのポーズモデルも人気で、立体的な人体構造を把握する大きな手助けとなっています。
モデル人形はBANDAI SPIRITSの「ボディくん / ボディちゃん」シリーズが非常に優秀で、私も頭身別に2体所持しています。
20年前のイラスト学習といえば、書籍を買うか、専門学校に行くかなどが主な選択肢でした。自宅学習の場合は基本的に書籍一択となります。その種類も多くはありません。
現在はノウハウコンテンツが無数にあるだけでなく、3次元や動画で学べるようになっているのは本当にメリットが大きいです。モチーフの描画は「立体をどう解釈するか?」という点が重要になるので、平面を模写するだけでは理解を深めることは難しいのです。
今でも美大受験において、モチーフのデッサンを重視しているのはこのためです。実体を見て、ライティングなどの要素をどのように解釈するかを評価しています。
動画では時間軸も表現できます。アクションシーンを描く時など、この概念は特に重要です。人物の予備動作や重心移動など演技を考える上では静止画像ではなく、動画の方が理解しやすいからです。
このようにインターネットの高速化とスマートフォンアプリの高度化は、学習においても多大なる恩恵を私達に与えてくれています。
インターネットにおける、イラスト講座の正確な起源は定かではありません。当時はイラストというジャンル自体がマイナーだったので、漫画文脈から派生していると私は考えています。
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