想像の余地を残す“ドット絵”の可能性 たかくらかずき × m7kenji
2021.11.18
日夜YouTubeやニコニコ動画に数多の作品が投稿され、バイラルメディアが注目を集め、SNSでそれがシェアされてゆく現在。
人類の前に映像作品が姿を現してから約120年が経ち、映像と人との距離が最も近づいてる時代に、映像作家は映像とどう向き合うべきなのか?
エッジの効いた作風から「鬼才」「クセ者」と呼ばれ注目を集めている映像作家・大月壮さん。
格ゲーとHIPHOPを融合させた世界初のMCバトルシステム「STREET CYPHER 2」の開発や、KLOOZさんや上坂すみれさんをはじめとする様々なアーティストのMVを制作してきた。
インタビューにあたって、映像との出会いから、作品に色濃く見えるゲームからの影響、インターネットや現在のメディア環境までをうかがった。
クセ者らしく一筋縄ではいかない予想外の返答と、その行間からにじみ出る、ものをつくることの楽しさをぜひ感じてもらいたい。
※本稿は、2014年3月「KAI-YOU.net」で配信した記事を再構成したもの
目次
- 僕はインターネット上では海賊だった
- 個性はただの情報にすぎない
- ツールとしてのインターネットと、影響を受け続けてきたゲーム
- 真のオリジナリティはないけど、オリジナリティを感じる「何か」はある
- おもしろいをつくり続けるための環境整備
──映像作家としてお仕事をされていますが、そもそものきっかけは何だったのでしょうか?
大月 僕が高校2年くらいの時に、兄貴が親にマックを買ってもらったんです。っていうのも、母がフラワーアレンジメント教室の先生をやってたんですが、兄貴が「これからはホームページの時代だ! 俺がつくってあげるよ」って言って、母をだまくらかした(笑)。
その結果、我が家にMacがやってきて僕も触るようになりました。母は早々にインターネットにハマって「薔薇の香り」っていうハンドルネームで活動してました(笑)。
兄貴はちょっとギークで変わってて、小学生の頃から簡単なプログラムを書いてたんです。僕は子どもの頃、彼がつくった謎のレースゲームとかで遊んでました。
ゲームはやっぱりずっと好きで、中学校の時には『マリオペイント』で遊んだりしてたんだけど、同じ感覚でマックに当時入っていた「クラリスドロー」っていうソフトで絵を描いたりしてました。
そうやって遊んでるうちに高3の受験期になっていて、進路を考えたんですけど、どこの大学にも行けないような成績で。そんな時お正月にテレビを見てたら、3DCGを使ったパルコのCMが流れて、衝撃を受けたんです。
当時も『バーチャファイター』や『トイ・ストーリー』など3DCGを使った作品はあったんですけど、そのCMのCGはこれまでに見たことのない個性的なものだった。その時「なんかこれおもしろい、スゲーつくりてえ!」って思って調べたら、それをつくったのが谷田一郎さんだということがわかりました。
それでさっそく谷田さんが載ってる本を買いに行ったんです。そこで入手したのが『DIGITAL BOY』という雑誌。インターネットカルチャー全般を扱っているようなもので、3DCGだけじゃなくって、ハッキングとかテクノやトランスについても触れていて、ニューエイジ感があったなあ。
谷田さんのほかにも、宇川直宏さん、田中秀幸さん、タナカカツキさんといった方々が載っててめちゃおもしろくて、それが僕の初期衝動でした。
その時に大月さんが購入した『DIGITAL BOY』1996年3月号
──初めからデジタル作品に魅了されたんですね。でも実際それを自分でつくろうと思うと、色々なソフトが必要になってきますよね。高校生には荷が重い気もします。
大月 そこなんですよ。僕は3DCGをただつくりたかったんだけど、調べるとみんな最初にPhotoshopってものを使ってるってことがわかったんです。そこでこれが、どうも基礎らしいって気づいた(笑)。あと静止画を取り込むための、スキャナーというものがあるということもわかった。それをさっそくお年玉で買いました。
ソフトは色んな調達の仕方をしたなあ。
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