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2026.04.23
クリエイター
この記事の制作者たち
芸術活動を支援する「骨董通り法律事務所」所属の寺内康介弁護士の協力のもと、連載中の「クリエイターのための法律Q&A」。
3月19日(木)に本連載をまとめた書籍『ポップカルチャーを愛し続けるための法律入門 どこから盗作?どこから中傷?』(ウェッジ)が刊行されることに合わせ、特別な新章を届けたい。
第8回のテーマは、ステルスマーケティング──いわゆる「ステマ」だ。
『ポップカルチャーを愛し続けるための法律入門 どこから盗作?どこから中傷?』書影/画像はAmazonより
もし「書籍の刊行に合わせて公開されたこの新章こそ、ステルスマーケティングになるのでは?」と思った読者がいれば、一度自分に問いかけてみてほしい。あなたは「どこからステマ? どこから正当な広告・宣伝活動?」という疑問に答えられるだろうか(そしてもちろん、この記事はステマには当たらない)。
2023年10月、景品表示法(※1)の改正によってステルスマーケティングが新たに規制対象となった。施行からおよそ2年が経過し、「PR」や「広告」と明記されたコンテンツをインターネット上で目にする機会も増えてきている。一方で、エンタメ・カルチャー業界の内側を少し覗けば、「これってステルスマーケティングじゃないのか?」と首をかしげたくなる慣行も、未だに根強く残っているのも実情だ。
では、現行法では「ステルスマーケティング(ステマ)」と「正当なPR活動」の線がどこに引かれているのか。また、PR案件を引き受けるクリエイターやインフルエンサー、あるいはPR案件を発注する企業や広告代理店は、どういった点に気をつければよいのか。
規制の全体像から実務上の判断基準、さらにはエンタメ・カルチャー業界特有のグレーゾーンまで、クリエイターが知っておくべき論点を取り上げていく。
(※1)景品表示法(景表法):正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。消費者が商品やサービスを選ぶ際に誤った判断をしないよう、不当な表示や過大な景品を規制する法律。昭和37年(1962年)に制定された。
目次
- Q. そもそも景品表示法とは何か?
- Q. なぜステルスマーケティングが規制されることになったのか?
- Q. 具体的に何が規制されたのか?
- Q. クリエイター/インフルエンサーは何に注意すべきか?
- Q. 音楽系メディアの「タイアップ」無表記はなぜ黙認されているのか?
- Q. 企業所属を隠して“インディペンデント”を謳うのはステマか?
──今回のテーマに入る前に、まず「景品表示法」という法律の全体像を教えてください。
景品表示法は、大きく2つの規制に分かれています。「景品規制」と「表示規制」です。いずれも、消費者が商品やサービスを選ぶときに誤った判断をさせることを防ぐための法律です。消費者が見てどう受け取るか、という視点が判断の基軸になります。
景品規制は、過大な景品によって消費者を引きつけ、品質の劣る商品を買わせることを防ぐものです。かつては「ハワイ旅行プレゼント」のような高額景品もよく見ましたね。こうした景品を言わば「おとり」にして、品質のよくない商品を買わせるといった行為が問題になっていました。そのため、商品に過大な景品がつけられないよう、商品につけられる景品の価格(商品の何倍までなど)を決めているのがこの「景品規制」です。
一方、実務的により微妙な問題になりやすいのが表示規制です。表示規制はさらに3つの類型に分けられます。
1つ目が「優良誤認」で、商品の品質や内容を実際よりも著しく良く見せること。2つ目の「有利誤認」は価格などの取引条件を実際よりも著しく有利に見せること。そして3つ目が、内閣総理大臣の告示によって個別に指定される「不当表示」です。
この「不当表示」は、「優良誤認」や「有利誤認」といった規制ではカバーしきれないが、それでも規制すべき問題がある場合に「告示」という形で追加指定できる仕組みになっています。不動産のおとり広告、有料老人ホームに関する不当表示、そして2023年10月に追加されたステルスマーケティング規制(ステマ規制)も含まれます。
──ステルスマーケティングが規制対象に加わった背景を教えてください。
大きな背景としては、主にインターネット上での口コミを装ったプロモーション手法が広がり、それに伴うトラブルが増えてきたことです。
法律を制定する際に消費者庁が実態調査をしたところ、ステルスマーケティングは特に化粧品・美容・健康食品・デジタルガジェットといった、口コミが購買判断に大きく影響するカテゴリーで多用されていることが判明しました。また、他人に相談しにくいためにインターネット上の口コミを参考に購買しがちな育毛剤などのコンプレックス商材にも多いとされています。
ステルスマーケティングの特徴は、「仮に品質や取引条件などについて嘘をついていなかったとしても、消費者の判断を誤らせる恐れがある」点にあります。広告であることを隠し、第三者による中立的なレビュー、いわば“本音”だと誤認させることによる、消費者心理への影響の大きさが問題視されたのです。
──具体的には、どのような問題が起きたのでしょうか?
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