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  • 2022.01.15

「あの話、ガチなんですか?」上手すぎてチート疑惑 伝説の配信者StylishNoob

ネット上で大きなシーンとして注目されるゲーム配信。その人気を牽引する「スタヌ」ことStylishNoobが、大石昌良の対談連載に登場。トップストリーマーと音楽家、共通すること、異なること──

「あの話、ガチなんですか?」上手すぎてチート疑惑 伝説の配信者StylishNoob

コロナ禍における巣ごもり需要で躍進を果たした分野の一つとして近年大きな注目を集める「ゲーム配信」。主たるストリーマーを中心に視聴者を巻き込んで行われるゲーム配信は、リアルに熱を共有することが難しくなった現代において新たな熱狂を生み出す場としてその重要性を高めている。

俳優やタレントがゲーム配信をする光景も珍しくなくなり、ジャニーズによるゲーム配信中心のYouTubeチャンネル「Johnny's Gaming Room」開設も、その勢いの凄まじさを象徴する動きと言えるだろう。そんな今に続くゲーム配信シーンを牽引する重要人物の一人が、今回のゲストであるStylishNoobだ。

元プロゲーマーとして「Overwatch」などのタイトルで活躍し、現在はプロゲーマーから各種クリエイターまでを擁するZETA DIVISIONに所属するストリーマーとして精力的に活動を展開。Hey! Say! JUMPの山田涼介さんが最近気になる人として名前を挙げた縁で共にゲーム配信をするなど、垣根を越えて拡大するシーンにおいて欠かせない一人。

元プロゲーマーの風格漂うプレイングと、ゲームへの情熱を濃縮して放つような熱のこもった実況をする配信スタイルは本連載のホストたる大石昌良ふくめ多くの人を魅了し、ここに夢の対談が実現した。

舞台となるのは、選ばれし者のみが鍵を持つとされる完全招待制のコミュニティスペース「vaultroom」。その2つ目の拠点・vaultroom2だ。二人が言葉を交わす場としてこれ以上ふさわしいものはない。

音楽家とストリーマー。一見なんの接点もないように見える両者による対話の中に、異なるシーンを繋ぐトップランナー同士の共鳴を見る。

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vaultroom2。打ちっぱなしのコンクリートと現代美術品、複数のゲーミングPCに煌々と光るネオンがつくり出す空間は、ゲーマーの集う秘密基地でありながら、リリースしたアイテムが次々完売となる注目のアパレルブランドという側面も持ち、無軌道に進化し続けるゲームの可能性を体現するかのような領域

目次

  1. 大石昌良がStylishNoobを認めた瞬間
  2. 「配信くらいしかできることがなくて」
  3. ゲーム配信者が追い求める勝利
  4. 「あの話、ガチなんですか?」スタヌの伝説
  5. 競技シーンは結果が全て プロ選手とストリーマーの違い
  6. ストリーマーの席、まだ空いてる?
  7. ゲームのように、音楽にも“メタ”ってある?

大石昌良がStylishNoobを認めた瞬間

──お二人は今日が初対面ですよね?

大石昌良 そうなんですよ。まさか出ていただけるとは。よろしくお願いします!

StylishNoob こちらこそ呼んでいただいて光栄です、よろしくお願いします。

大石昌良 ここ(vaultroom2)にも初めてうかがいました。すごいワクワクする場所ですね。

StylishNoob 僕も実は、何度か遊びにきたくらいなんですよね。

──大石さんは最近作業中にStylishNoobさんの配信をよくご覧になってるそうですね。

大石昌良 そうなんですよ、うちのデスクはモニターが2つあるんですけど、片方で誰かの配信を見ながらもう片方でアレンジ(編曲)をするという作業の仕方をすることが増えていて。スタヌさん(StylishNoob)の配信もよく見させてもらってます。

StylishNoob 本当ですか! ありがとうございます。

大石昌良 僕の好きなストリーマーの方って、ちょっと汚い言葉を使いがちという共通点があるんですよね(笑)。「ふざけんな!」とか「殺すぞ!」とか、普通に言ったら物騒な言葉ですけど実況中に聞くとなんとなく本気じゃないのがわかる。

StylishNoob 言い慣れてますからね…!

大石昌良 ゲーム愛にあふれている人だなとも感じていて、普段から息抜きによく見させていただいてるので、まさか対談に応じてもらえるとは思いませんでした(笑)。

StylishNoob 同じゲーマーとかストリーマー同士でも対談することなんてほとんどないので、めちゃくちゃ緊張してます

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大石昌良 配信以外でもスタジオで収録とかイベントに出演とかあるじゃないですか。ああいう時も緊張するんですか?

StylishNoob そもそもほとんど機会はないんですが、たまにあると緊張しちゃって置物になってます。視聴者から「なんで出たんだよ」って言われるくらい何もできなくなりますね。

大石昌良 でも配信では何千人、何万人という視聴者さんに見られてるわけじゃないですか。それと感覚は違うんですか?

StylishNoob 全然違いますね。配信は一方的に見られてる感覚ですけど、イベントとかの場合はその場で互いに見合っているというような感覚があって。どちらも違った緊張感があると思うんですけど、僕の場合は配信で緊張するってことはないです。

大石昌良 僕すごく印象に残っているのが、スタヌさんが加藤純一くんと初めて配信で絡んだ時、先に抜けようとした彼に「逃げるんすか?」って言ってたじゃないですか。あれを見てすごいなこの人ってシンプルに思ったんですけど、そんなスタヌさんでも緊張するんですね(笑)。

【逃げるんすか?】加藤純一の去り際にスタヌが放った一言で、神回へと発展する【ApexLegends】

StylishNoob ありましたね(笑)。

大石昌良 加藤純一くん本人はすごくいい人だけど、彼の視聴者さんたちはすごい血気盛んな方も多いじゃないですか。だからああいういじりをするというのは、かなり度胸がないとできない。

StylishNoob 確かにちょっと怖いイメージはあったんですけど、別の現場でお会いした時に本人は物腰が柔らかくてフレンドリーな方だったので、ノリでイケるかもしれないって思っちゃったんですよ。

大石昌良 実際ちょうどいい塩梅でしたもんね。そこで僕を含めた加藤純一くんの視聴者のみなさんは好感を持ったと思う。この人は物怖じしないし面白いぞと。

ジャニーズの山田涼介くんにもそんなテンションで接してたじゃないですか。

【Apex】VCC 伝説の一夜【 山田涼介 3,スタヌ 3 】

※2021年8月にvaultroomが主催する「VCC APEX」にて、Hey! Say! JUMP 山田涼介さんが自身初となるゲーム大会の配信に参加。StylishNoobさんとバーチャルYouTuberの葛葉さんとチームを組んだ。その翌月には、山田涼介さんは個人のゲームチャンネルをYouTubeに開設するに至っている

StylishNoob たぶんボイチャ越しだから出来るんでしょうね。そもそも僕は「よっぽど失礼なこと言わなきゃいいだろ」くらいの意識でいつもやってますけど、間にゲームが挟まってるからこそどんな人ともコミュニケーションできるんだと思います。

大石昌良 そうか、ゲームそのものが元々いろんな人が一緒に遊ぶためのものだもんね。

それでもジャニーズ所属の今をときめくトップアイドルがゲーム配信をするようになったことは本当に衝撃的だったんだけど、ゲーム配信がそれくらい勢いがあるコンテンツだと認識されてきたってことでもあると思うんですよね。しかもそれによって今までゲーム配信を見たことがなかった女の子ファンが流入してくるなんて流れもあったんじゃないかと思うんですけど、そういう波が来てるなみたいな手応えってあるんですか?

StylishNoob 手応え…は特にはないんですが、確かにあの時は注目度がいつもと違うなとは感じました。なので山田くんと話すこと自体には緊張しなかったんですけど、いつも以上に汚い言葉を使っちゃいけないかもという意識はあって、見返してみるとめちゃくちゃ硬くなってましたね(笑)

大石昌良 そうだったんだ! その時も思いましたけどスタヌさんってすごい優しいですよね。実力が拮抗してないチームメンバーでも優しくサポートするし、かといって明らかに姫プみたいな風にも見せない。失敗してもすぐもう一回行きましょうって声かけるし、いいお父さんなんだろうなって思いましたよ。

StylishNoob まじっすか(笑)。嬉しいなあ。

「配信くらいしかできることがなくて」

──スタヌさんは大石さんにどういう印象を持たれていますか?

StylishNoob ネット上で幅広く活躍してるなって印象があって、もしかしてそっちが本業でその後から音楽を始めたのかなって思うほどにインターネットの人ってイメージが強かったです。でも、音楽をあんまり聴かない僕でもすごい人だとは知ってました。

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大石昌良 インターネットの人か、いい表現。一緒にレギュラーやってるインターネットヒーローの影響力もあると思うんですが、自分の曲をMADとかで使われることも多かったからインターネットの人って感じがあったのかな。

──音楽じゃない分野で名前が知られることは大石さんにとって喜ばしいことなんですか?

大石昌良 めっちゃ嬉しいですよ。ストリーマーさんも同じだと思いますが、結局知られてなんぼの世界ですしね。

やっぱり、人は退屈じゃいられないというか。川が上流から下流へ流れていくように、退屈な場所から面白い場所へと人は流れていく。僕は音楽で食えない時期があったからこそ、入り口がどこの流れであれ自分のことを知ってもらえるのは嬉しいし、いろんなことをやって活動の幅を広げていこうという思いは強いです。

だからこそゲーム配信一本でやってるスタヌさんはとんでもないと思うんですよ。世の中の流れ的に配信は熱を帯びてる気はしますけど、その先頭を行く一人として、今の流れってどう感じてるんですか?

StylishNoob 確かに勢いはあると思いますが、絶対に流行ると思っていたからゲーム配信を始めたわけじゃないですし、本当に運がよかったなって感じです。たまたま長くやっていたら波がきた。

大石昌良 そもそも配信はいつから始めたんですか?

StylishNoob 7年くらい前ですね。当時「Battlefield 4」っていうゲームを暇な時にぼちぼち配信するくらいで、最初は完全に趣味でした。

配信を勧めてくれた人がTwitchで活動してる人で、元々海外のプレイヤーの配信とかも見ていたのでそれにならってTwitchで配信を始めたんです。

当時から収益化のシステム自体はあったんですけど、申請して公認パートナーにならないといけなかったんですよね。だから最初の2年くらいは収益なしでやっていましたし、頻度も今より全然少なくて月に1回もやらないなんて時もありました。

──配信に専念するようになったきっかけがあったんですか?

StylishNoob 配信でも食っていけそうだなと思ったというよりは、これくらいしかできることがないからもっとやってみようかなと思って力を入れていきましたね。あとは、なによりバイトがめんどくさくなっちゃって…。それでひたすら実家から、10時間とかぶっ続けで配信していくようになりました。

ゲーム配信者が追い求める勝利

大石昌良 僕の見た感じ、日本のTwitchシーンってスタヌさんが盛り上げてる感じがあるんですよね。SHAKAさんとかSPYGEAさんたちも合わせて新しい時代の開拓者の一人という感じがある。単純にかっけーなと思ってるんですがそういう自覚ってあったりしますか?

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