若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
インターネットに起こりつつある大きな地殻変動。その渦の中心地にいる渋谷ハルと、ジャンルを越境する大石昌良が、邂逅する──
クリエイター
この記事の制作者たち
何度目かの「e-Sports元年」を乗り越え、本格的な隆盛を見せるe-Sportsシーン。ブーム到来の要因のひとつには、コロナ禍を背景にした「ゲーム配信」文化のめざましいまでの拡大があり、同時接続者数1万人を越えるほど人気ストリーマーたちが今も続々と誕生しては、激動のシーンにさらに猛き熱狂をもたらしている。
同じく何度目かのVR元年を乗り越え、新たなフェーズへ突入しつつあるVRシーン。その背景にはエンタメ界の勢力図を大きく塗り替えたバーチャルYouTuber(VTuber)たちの存在があり、既存のキャラクターともタレントとも異なる新たなインフルエンサーたちがその個性を輝かせている。
激動の令和に台頭した2つのカルチャー、密接に関係する両シーンにおいてそのどちらでも活躍し、唯一無二の存在感を放っているのが今回のゲスト・渋谷ハルさんだ。
2018年に個人勢VTuberとして活動を開始すると、卓越したゲームスキルを発揮してゲーマーとしてのポジションを築き上げる。2021年に立ち上げたVTuber事務所「Neo-Porte」(ネオポルテ)の運営兼所属タレントとして活躍を広げ、2022年には世界的eスポーツチーム「TSM FTX」への所属も発表し、ストリーマーとしてもVTuberとしても比するもののない覇道を突き進んでいる。
先日は国内最大級のeスポーツイベント「RAGE Apex Legends 2022 Summer」にも参加したかと思えば、開催のたびにTwitterトレンドを賑わし新たな伝説を生み出す名イベント「VTuber最協決定戦」の主催という一面も持ち、プレイヤーとしてだけでなくオーガナイザーとしても手腕を発揮して両シーンを語る上で欠かせない存在となった彼をその活動の初期から注目していたと語るのが、誰であろう本連載のホスト・大石昌良である。
前回StylishNoobこと関優太さんとの対談においてもその熱きゲーム“実況鑑賞”愛を存分に発揮した大石昌良だが、今回は激動のシーンにおいてまた異なるポジションを築く俊英を招いて対談を展開。
コロナ禍における各々のシーンの変化から、炎上との付き合い方まで熱く語り尽くす。
目次
- 大石昌良、実は「渋谷ハル古参勢」だった…!
- アニソンをやっていただけでは見れなかった世界
- 巻き起こった“ストリーマードリーム”──きっかけはあのタイトル
- 人気の理由の一つは、チーターとの飽くなき闘い?
- 現実は非情? VTuber最協決定戦ができるまで
- e-Sportsイベントに人が集まる理由
- 当たり前に普及した、渋谷ハルの発明
- “人のプレイを見てるくらいが丁度いい”という層
大石昌良 はじめまして。ほんとに「渋谷ハル」だ!
渋谷ハル はい、渋谷ハルです(笑)。はじめまして、よろしくお願いします!
大石昌良 渋ハルくんの配信、実は結構前から見ていたんです。今は登録者70万人くらいだと思うんですけど、10万人以下の頃からかなぁ。
渋谷ハル そんな時から見てくださっていたんです!? ありがとうございます!
大石昌良 アレンジや作曲の仕事をしながら、別モニターでゲーム実況見てることが多いので。
──冒頭から発覚した意外な事実、「大石昌良、渋谷ハル古参勢」…! 渋谷ハルさんは大石さんのことをご存知でしたでしょうか?
渋谷ハル もちろん知ってました! アニメの『月刊少女野崎くん』が好きで、そのOPの「君じゃなきゃダメみたい」が出た頃は一番アニメを観ていた時期だったんです。
大石昌良 そうなんだ! 配信中にアニメの話をする時があるから結構観てるなとは思ってたんですけど、嬉しいですね。
渋谷ハル もともとニコ厨だったのもあって、当時はとにかくランキング上位の動画を漁るみたいなこともしていたので、そこでも結構お名前を見たと思います。
大石昌良 確かに当時はよく槍玉にあがっていたかもしれない(笑)。
でもこうしてアニソンシンガーでも活動する僕とストリーマーでVTuberの渋谷ハルくんと縁ができるのは本当にすごいよね。加藤純一くんとずっとレギュラーやらせてもらってるのも奇跡だと思っているけど、渋ハルくんも最近まふまふくんとかそらるさんと事務所立ち上げたり、僕も参加してるCrosSingで歌ってたりしていて、接点が増えてるように感じます。
大石昌良 それこそ加藤純一くんの結婚式に、渋ハルくんはVTRを贈られていたもんね!
渋谷ハル そうなんですよ(笑)。「え、僕が贈って大丈夫?」と思ったもんです。
──渋谷さんは、大石さんについてどのような印象をお持ちでしたか?
渋谷ハル 端的に言うと、異質な存在だと思っています。アニソンシンガーでありながら、配信界の王である加藤純一さんとも仲良くていろんな企画に取り組んでいる。その在り方がもうちょっとクセのある存在どころじゃない異質さを放ってると感じているんですが、そもそもどういう流れでそうなっていったんですか?
大石昌良 元々はニコ生でやっていた音楽番組で一緒にレギュラーをやり始めたのがきっかけだったんだけど、当時は今ほどストリーマー界隈について詳しくなかったから、そんなに彼に対して身構える感じじゃなかったんだよね。
向こうも向こうで「『ダイヤのA』とかのアニソン歌ってる人らしい」くらいのふわっとした印象を持ってたみたいで、そういう別ジャンルの2人が合わさったらバズるんじゃないかっていうプロデューサーの直感が上手くいって、それ以来プラットフォームが変わったりもしながらずっと仲良く続けてるって感じですね。
今でこそピザラジの企画とかでストリーマーの方々と接点ができたりするけど、意図してその界隈と混ざりにいこうと思ったというよりは、気付いたらこうなっていたって感じが正しいかな。
そうやってネットの世界と関わりを深めた結果、ここ4年くらいはずっと「4ね」とか言われ続けてるけど、もはやそれを「おはよう」みたいなものに感じるようになったというか、それを上手く返す合気道みたいなやり方も身に付いたし、実際いま僕が4んでないのが答えというか、なんだかんだネット民のみなさんと楽しい時間を過ごさせてもらってます。
たまに「アニソンシンガーだけやってたらもっとカッコいい存在になれてたのに」とか言われるんですけど、きっとそれだけやってたら見れなかった世界をたくさん見れてると思う。
──大石昌良さんも渋谷ハルさんも、異ジャンルの境界線に立っている存在という点で共通しているスタンスがあるように思います。
大石昌良 そうかもしれない。渋ハルくんはゲーム実況という一つのジャンルに留まってないマルチな活躍をしてると思うけど、今の自分って活動当初から思い描いていた姿なんですか?
渋谷ハル YouTubeで活動を始めた時は、登録者10万人獲得することを人生のゴールにしようと思って始めたんですよ。最初に考えていたことといえばそれくらいで、まさか配信だけじゃなくて大会を運営したりするようになるなんて思ってもみませんでした。
大石昌良 もう人生7回分もゴールしちゃってるじゃん(笑)。それだけ跳ねるきっかけとかってあったんですか?
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