「e-Sportsの価値を見誤ってる人が多い」 ゲーミングチームオーナーたちの本音
2022.10.25
トップストリーマーと音楽家。「スタヌ」ことStylishNoobが鳥肌を立たせた、大石昌良の話
クリエイター
この記事の制作者たち
シンガーソングライター、バンドマン、アニソンクリエイターと様々な分野でマルチに才覚を発揮する大石昌良と、滾る情熱をゲーム配信一本に注ぎ込むストリーマー・StylishNoob。その活動スタイルすら対照的な2人のクリエイターによる対談の後篇をお届けする。
自分では一切ゲームをしないという大石によって解き明かされるゲームの可能性、ほとんど音楽を聴かないというStylishNoobからの問いが導き出す音楽クリエイターの本質。
この二人だからこそ成し得なかった対話が紡いでいくエンターテイメントの未来とは。
目次
- ゲームが実現する世界平和
- メンタルコーチの、意外すぎる教え
- ストリーマーのメンタルケアの秘訣
- クリエイターは創造神ではない
- 音楽家にとっての事務所とストリーマーにとっての事務所
- 来年どうなっているかわからない、それでも
大石昌良 カトマスを見ていて本当に実感したんですけど、ゲームの中で世界平和が実現されてましたよね。Eurieceくんとか海外のプレイヤーも参加してきて、最終的にとんでもない多国籍軍になってたし、ゲームが国境を越える瞬間を見せつけられた。アニソンと同じくらい(国境を)越えちゃってると思う(笑)。
※カトマス 2021年9月に加藤純一さんが行った配信企画。Apexでの上級ランクであるマスターランク到達を、ランクがリセットされるまでの72時間で成し遂げるという非常に困難な内容だったが、普段から交流のあるストリーマーやプロプレイヤーが援軍に駆け付け、ラスト1戦で見事にマスターランク到達を果たすという劇的なエンディングを迎えた
StylishNoob 海外のプレイヤーとマッチングすることも当たり前なんです。そこを特別に思ったことすらないですね。
──確かにそこまで当然のように海外の人と交流する文化って、エンタメにおいては珍しいかもしれません。
大石昌良 道ですれ違った海外の方に「やあ」なんて言いませんけど、ゲームじゃマッチングしたら挨拶しますしね。それだけフランクな距離感だから罵詈雑言も浴びせ合うのかもしれないけど(笑)。
StylishNoob 国籍で争う人たちとか、日本人ってわかったら明らかに敵意を向けてくるような人もいますけど、ゲームを挟んだらやっぱり全然変わってくるんですよね。(現実では)いろいろある国同士でもゲームの中では関係ないという人もいて、僕もそう思います。
大石昌良 政治も介入しないし、モラルも曖昧で、本当の意味で人と人同士のコミュニケーションになりますから、それがめちゃくちゃ面白いんだと思う。

StylishNoob だからこそ、国ごとのプレイヤーがゲームの中で敵対したら、とことんやらなきゃいけない。もう50対50とかで、三日三晩寝ずにガチで戦うとか(笑)。
大石昌良 それが国際問題に発展しないのは、ゲームの中で完結してるからなんだろうな。
StylishNoob 発展しないですね。チャットで言い争いになっても終わりなんかないから、最後は必ずゲームの仕様の中で勝敗をつけて、それで終わり。
向こうもどんどん熱くなって差別用語とかをぶつけてきたりしたら、こっちはもうゲームで徹底的に潰します(笑)。
大石昌良 潰すんだ(笑)。綺麗事だけじゃないから面白いし、お互いが了承しあったルールの中で決着がつく。それがゲームの良いところですよね。
StylishNoob ゲームの中では、敵を見つけたら「殺すぞ!死ね!」なんてみんな言いますけど、現実世界で言ってたらただのヤバいヤツですから。
──ゲーム配信においては発言が過激になることもありますが、YouTuberの世界では品行方正さが求めれるようになっているような変化も感じます。
大石昌良 ゲーム配信上での過激な発言を切り抜かれてつるし上げられて、炎上まがいのことが起きてしまうこともありますよね。それはファンの方を楽しませるためのポーズみたいなものというか、ネット上での振る舞いというだけで、配信上では汚い言葉を言いまくってる人でも実際に会ったら物腰やわらかいなんてパターンもめちゃくちゃ多いのに。
StylishNoob でも普段ゲームをしない人からしたら異常に見えてしまうのも確かで、炎上させたい人たちによって切り取られた過激なシーンを耐性のない人たちが見たら驚いてしまうのもわかります。
大石昌良 僕としてはある程度は許容されてもいいんじゃないかと思うし、インターネットはもっと自由であってほしい。やだもん、「死ね!」って言わないスタヌさんの配信。
StylishNoob あとは、影響力が大きくなればなるほど反応もグローバルになっちゃうから、動きづらいというのはあるのかもしれないですね。僕がちょっと過激なこと言っても、全然まだ大丈夫ですもん。

──クリエイターなどに対する誹謗中傷も近年大きな問題となっており、メンタルケアに力を入れるe-Sportsチームもあるようです。ストリーマーのスタヌさんの場合、どのようにメンタルをケアされるのでしょうか?
StylishNoob コメント見ててうぜぇなって思うことはたまにありますけど、それでへこんだりはしないですね。ただ、ゲームが上手くいってなくてイラっとしてる時に心無いコメントを見ると言い返しちゃったりはします(笑)。
言い返したら負けという考えから、そもそも不快なコメントとかはスルーする人が多いと思うんですけど、そうすると「言い返されないなら好きに言ったろ」みたいになる視聴者もいるのかもしれませんね。
大石昌良 言い返したとしても、ストリーマーはそのやりとりを配信上のハプニングとして楽しめるじゃないですか。友達がキレてるのを見て笑うような感覚に近いというか、それもエンタメになってますよね。
たとえばそれが配信上でのコメントじゃなくて、SNSで「スタヌおもろないわ」みたい書き込みを見ても大丈夫なの?
StylishNoob 最近もめちゃくちゃ長文の批判リプライがきたんですけど、冒頭2行読んでブロックして終わりました(笑)。
大石昌良 (笑)。
StylishNoob 基本的には、なにか言われてもその場でキレて終わりって感じですね。
──キレることでコントロールできてるような感覚なのでしょうか?
StylishNoob そうかもしれないですね。僕の場合、その場でキレる元気がないと発散できなくて引きずってしまったりする。
最近チームにメンタルコーチがついたので僕も診てもらったんですけど、コーチからは「キレるのはマジでいいですよ」って言われたんです。
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