熱い視線集めるVTuberモーションキャプチャ技術 vortexやmocopi普及
2023.03.22
「KAMITSUBAKI DAO」や新会社・深化(FUKAIKA)の立ち上げ。
クリエイティブとファンが互いに疲弊せず、コンテンツを共創するために必要なこととは。
クリエイター
この記事の制作者たち
バーチャルYouTuber(VTuber)シーンの中で独特な空気観を放つレーベル・KAMITSUBAKI STUDIO。そのムードメーカーであるプロデューサー・PIEDPIPERさんは常にそのレーベルの表舞台でメッセージを発信し、プロダクトを代表してきた。
2019年にKAI-YOU Premiumは、当時KAMITSUBAKI STUDIO創立して間もない頃にバーチャルシンガー・花譜さんのプロデューサーとして取材を行っていた。
あれから3年。ライブ配信を中心に活動するVTuberが多い中、KAMITSUBAKI STUDIOはあくまで音楽やクリエイティブにこだわるという路線を貫いてきた。
KAMITSUBAKI STUDIOの運営会社であるTHINKRとPIEDPIPERさんが新会社「深化」設立を発表した今回、KAI-YOU PremiumではPIEDPIPERさんに再びインタビュー。
クラウドファンディングサービス・FiNANCiEでのコミュニティ「KAMITSUBAKI DAO」の開始、花譜さんの武道館ライブ『不可解参』公演などの話題を通して、PIEDPIPERさん独自のクリエイティブに対する考え方やマネジメント方針、THINKRや新会社設立について前後編でうかがった。
なぜDAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自立組織)という形態が必要なのか? そこには、クリエイターへの還元率の低さ、そしてファンの負担が大きいVTuberの収益モデルといった現在の構造への懐疑があった。
目次
- KAMITSUBAKI DAOが見据えるファンコミュニティの育成と拡大
- 制作会社の内と外、報酬形態と創作のインセンティブ
- NFTは、クリエイターを救う仕組みにもなる。ただし…
- DAOの投票で意見を聞いて、多数決で決めなくてもいい
- すぐにイグジットを目指さず、Web3.0の信頼性を上げる
- ファンの負担にならず、性的消費を加速させない、持続可能な収益モデル
──2022年に入って印象的だったのが、KAMITSUBAKI DAOの発表です。どのような経緯で発足したのでしょうか?
PIEDPIPER 元々ゲーム的なものをつくりたくて、2019年からずっと進めていた「神椿建設中。」というプロジェクトで、一度ARG※を制作したんですね。
※ARG=代替現実ゲーム。ゲームの構成要素の一部を現実世界に取り込み、ユーザーが体験しながらプレイし、作品にも現実にも影響を及ぼす作品の形態を指す。日本では『ドラゴンクエストIX』などのゲームディレクターを務めた藤澤仁が送る『Project:;COLD』などが有名。なお、『Project:;COLD』はDiscordコミュニティを活用した謎解きで話題になった
PIEDPIPER 僕らとしてはARGで終わらせるよりは本当にIPをつくりたかったので、中長期運用も検討しながら、最終的には試験的な意味合いを踏まえて1か月限定で行いました。
ARGでは、目先のマネタイズよりも、僕らKAMITSUBAKI STUDIOからのIP創出プロジェクトの入り口としての開発やコミュニティの拡がりを意識しました。そこから別のゲームやTRPGなど5つぐらいプロジェクトが始動しています。
その中で一番重要視したのが、Discordでのコミュニティづくりでした。
ユーザーの方がつくった非公式のDiscordサーバーも面白いと思っていましたし、僕ら自体もゲーム体験に加えてDiscord運営を本格的にやってみたいなと思っていました。
ARGに加えて、教育的な側面においてもDiscordに可能性があると判断して、2021年に「神椿市建設中」の公式Discordを作成したんです。
──教育的な側面ですか?
PIEDPIPER KAMITSUBAKIのファン層は若いので、ファンコミュニティの知見を成長させたかったというか。オンラインスクール的なプロジェクトを構想していたんですね。
結果的にそのプロジェクトは体制づくりを含め今は中断している状態ではあるんですけどもDiscord運営の知見は残ったのと、2021年11月にDiscordコミュニティを立ち上げた段階で、Web3.0という概念が世に本格的に出てきました。
IP制作をする上ではTRPGやゲーム、メタバースでの展開を検討していて、そういったプロジェクトと、Web3.0に含まれるDAOやNFTのようなキーワードとは相性がいいと気づいて、両者を融合させていったものがKAMITSUBAKI DAOになります。
僕らTHINKRとしてもKAMITSUBAKI STUDIOとしても、目指していたコミュニティの雰囲気がDAOと近いと感じたのが、KAMITSUBAKI DAOをやりたいと思ったきっかけのひとつですね。
──現在は国内向けとしてFiNANCiEのプラットフォーム上でKAMITSUBAKI DAOを展開していますが、なにか理由があるのでしょうか?
PIEDPIPER 今は国内向けのファンコミュニティをつくっているんですけど、2023年3月にはジェネレーティブNFTをリリースします。それにあたっては、海外のプラットフォーム(OpenSea※)で展開するんですね。
ただ、いきなりOpenSeaから始めるとどうしてもファンの方々が「NFTって何?」と困惑すると思ったんです。なので、KAMITSUBAKI DAOの中で「そもそもNFTとは何なのか」ということなどを学べるコンテンツを用意しています。入門編的な感じですね。
※OpenSea=オープンシー。NFTの電子商取引プラットフォーム
──ファンのリテラシーを強化していると。
【お知らせ】
KAMITSUBAKI DAOメンバーの方を対象に、
いよいよ今週末3/25(土)に迫ったResident Genesisのプリセールに向けた勉強会第3弾を公式Discordにて開催!日時:3/21(祝) 20:00~
※開催場所はサーバ内にて告知Mint前の最後の説明会となる予定です。
是非ご参加ください!#KAMITSUBAKI_RG— KAMITSUBAKI STUDIO (@kamitsubaki_jp) March 20, 2023
PIEDPIPER NFTを買う/買わないは全然自由なんですけど、せめてそういった事前知識を少しずつ身につけた後でないと、OpenSeaで出したものの投機家だけが買って気がついたらファンが買えませんでした、ということになってしまう。それが一番申し訳ないという気持ちがありました。
かといって、現時点でのファンだけが買うものをつくってしまうのも少し違っていて。KAMITSUBAKI STUDIOの海外ファンコミュニティも広げていきたいという意図も大きくあるので、ハイブリッドにしたかったんですね。
ただ、Web3.0においては、手に入れた人たちに発生するインセンティブ(報酬、動機)をどう扱うという話が常に議論されています。あまりにインセンティブを大きなものにすると、新規参入のハードルが上がって(コミュニティが)閉じてしまう可能性もあるんですよね。
そこでただお金を集めるだけじゃなく、NFTを買っていただけなかった今までのファンの方にも、例えば無料でライブが体験できるとか、新しいコンテンツが産まれるとか何かプラスアルファになることが起きるような仕組みが産めないか、ということを考えています。
もちろんインセンティブが一切ないということではなく、KAMITSUBAKIのファンというわけではないNFTのユーザーたちにも僕らが認知されて買ってもらえて開発資金が集まり、KAMITSUBAKIの若いファンも新しいコンテンツが見られる世界をつくりたくて、この2段階の構造にしています。
──THINKRやKAMITSUBAKI STUDIOでやりたかったことがDAOに近いというのは、ユーザーとの「共創」のようなことを指しているのでしょうか?
PIEDPIPER そうです、ひとつはユーザーとの共創がキーワードです。
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