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  • 2023.08.24

「カードゲーム世界一を目指す」ヴァンガードやヴァイスシュヴァルツを擁するブシロード社長の勝算

「カードゲーム世界一を目指す」ヴァンガードやヴァイスシュヴァルツを擁するブシロード社長の勝算

1993年の「マジック:ザ・ギャザリング」の誕生以来、30年の歴史の中で進化を続けてきたトレーディングカードゲーム(以下、TCG)。日本国内でも「ポケモンカードゲーム」や「遊戯王OCG」など様々な人気タイトルが生まれ、現在までシーンを賑わせている。

2022年の国内玩具市場でもTCGはトップシェアを誇り、昨年からさらに572億円伸ばして2349億円、伸び率132.2%という驚異的な数字を叩き出している。

華々しい発展を見せる一方で、過熱する転売や相次ぐ窃盗事件、また鑑定品の偽造問題など、大きな影を落としているのも現状だ。

そんな混迷を極めるシーンを、株式会社ブシロード代表取締役社長・木谷高明氏に分析していただいた前編に引き続き、インタビュー後編をお届けする。

めまぐるしいSNSの発展やグローバル化の波を受け、誰にも予測できないスピードと規模感で変化していく市場を見つめ、創業16周年を迎えるTCGカンパニーの長は新たな決意を胸に抱く。

目次

  1. もっと男女でカードを遊んでほしい
  2. 月一の新商品発売 降りられない競争の果て
  3. キャラクターカードゲームで一番大切なこと
  4. 「カードゲーム世界一を目指す」を今一度掲げる理由と勝算
  5. カードゲームで突っ走る 回り道をしてきたブシロードの野望

もっと男女でカードを遊んでほしい

──「ONE PIECEカードゲーム」や「ユニオンアリーナ」など、他社からも新作が続々とリリースされている中で、2022年に「ヴァイスシュヴァルツブラウ」をリリースされました。より女性ユーザー向けを意識したゲームになっており、発売直後は「ちいかわ」のデッキが売り切れになるなど話題を呼んでいましたが、手ごたえはいかがでしょう?

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「ヴァイスシュヴァルツブラウ」のブースターパック「ちいかわ」 ©nagano / chiikawa committee

木谷高明 タイトルによって強弱はあるんですけども、狙い通り女性にもカードゲームを遊んでもらうことができているし、今のところは成功してるなと思います。ただ、もうちょっと男女関係なく、一緒に遊んでもらいたいなという願望はありますね。

──例えば、先輩ヴァイスシュヴァルツプレイヤーがブラウプレイヤーに手ほどきをするといった流れを想定されていたのでしょうか?

木谷高明 そうですね。今でももちろん男女関係なく遊んでいただいていると思いますが、僕としてはもう少しあってもいいんじゃないかと思っています。ヴァンガードの初期の頃はもっと女性ユーザーがいましたし、そこで交流した方々が何組も結婚されていますしね。でも、これから増える可能性はあると思っています。

──コミュニケーションツールとしてのカードゲームの良い側面ですね。新タイトルという点では、「ONE PIECEカードゲーム」も近年リリースされた中でも特に勢いのあるタイトルだと思いますが、そうした新興勢力の隆盛についてはどうご覧になっていますか?

木谷高明 「ONE PIECEカードゲーム」はすごいと思いますね。正直ここまで伸びてくるとは想像以上でしたが、「ONE PIECE」という作品の歴史の長さがしっかりゲームに影響を与えているのかなとも思います。

──元のコンテンツの強さは、やはり重要なのでしょうか?

木谷高明 「ポケモンカードゲーム」のブームを見ても、その影響は明らかでしょうからね。みんなが知っているキャラクターたちが活躍するし、カードゲームとしてもそこまで複雑ではないことから、プレイの参入障壁がとても低くなっていると思います。

様々な要因があるにしても、「ポケモンカードゲーム」は、10年前は秋葉原に行っても取り扱っていないカードショップが普通にあるような状態だったところから、カードショップの売上上位を占めるような今の規模にまで成長するんだから、夢があるなと思いますね。

月一の新商品発売 降りられない競争の果て

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──「ポケモンカードゲーム」や「遊戯王OCG」などの主要タイトルにおいて、月1ペースで新商品が出ているのも、TCG業界全体の成長度合いを感じるポイントだと思います。ハイペースな新商品展開はシーンに新鮮な刺激を与えられる一方で、ライトユーザーや子どもたちが追いつけない状況を生み出しかねないですし、この過剰な供給も生産体制が安定せずなおかつ転売対象になりがちな理由の一つとも見れますが、こうした動きについてはどうご覧になっていますか?

木谷高明 僕は新商品を毎月出した方がいいと思うんですが、それは「仕方がない」からとも言えるんです。

──それはなぜでしょうか?

木谷高明 カードゲームが最も世の中の話題を集めたり、Twitterでつぶやかれたりするのが多い日はいつかと言ったら、やはり発売日なんですよ。

カードゲームは、新商品を発売すること自体が集客装置であり、イベントなんです。だからどのメーカーもハイペースで刷らざるを得ない。

メーカー同士で示し合わせて、「新商品発売は2か月に一度にしましょう」というルールをつくるならそれでもいいですが、他のタイトルが毎月新商品を出して話題をつくっているなら、こちらも負けじと、となってしまいますよね。ビッグタイトルならいざしらず、中堅タイトルならなおさら刷り続けないといけない。

──どこのメーカーも、そのレースから降りられなくなっていると。

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