

第一線で活躍し続けるクリエイターの中に、何も考えていない人間というものは存在しない。
自分を客観視し、どの道を登るのか。その決断、そこに到るまでの過程はすべて独自ながら、翻って自分自身を考えるにあたって、傾聴すべき大きな価値がある。

“声優”という稼業、“音楽家”という稼業。時代と共に変化するシーンの中で、自分という存在をどう位置付けるのか。
それぞれの立場からお互いの領分にまで話が及んだ、大石昌良さんと櫻井孝宏さんとの貴重な対談。
共にアニメを支える“スタッフ”としての共通点と差異、そして人としての2人のやっぱりどこか似ている部分とは?
ホスト:大石昌良 ゲスト:櫻井孝宏 取材・執筆:オグマフミヤ 撮影:I.ITO 編集:新見直
目次
- 主題歌は作品の顔
- 声優シーンに見る個の時代
- それでも似ている二人
主題歌は作品の顔
大石 声優さんにとって主題歌ってどういう存在なんでしょう? やっぱりいい主題歌だと気分も上がりますか?
櫻井 主題歌は作品の顔ですし、キャストに与える影響は大きいと思いますよ。
僕の子どもの頃はみんながアニメを見ていて、アニソンとは呼んでいませんでしたが、アニメの歌はみんな当たり前に歌えたんです。
大石 作品のタイトルが歌詞に必ず出てくるような時代ですね。
櫻井 そういう曲はいまだに覚えていますしね。僕はレコードを集めることも好きなんですが、思い出深いアニソンは今になってレコードを買うなんてこともあります。
そんな時代の曲とはまた違いますけど、主題歌が作品の顔であることに変わりはないと思ってます。
大石 主題歌に何が課せられているのかは作家陣として意識しているので、声優さんにそう言っていただくのはありがたいです。
今でこそ出演声優さんが主題歌も歌うなんてことも増えましたが、僕らみたいなアニソンアーティストと声優さんって壁がありますよね。
ここから先はPremiumユーザーのみ
ご覧いただけます
あと6453文字/画像5枚
KAI-YOU Premiumは月額定額(税別1000円)のコンテンツ配信サービスです。「KAI-YOU.net」の有料版という位置付けのもと、"ここでしか読めないポップカルチャーの最前線"をお伝えしていきます。
声優とアーティストの壁?
Series
連載

急成長するVR法人HIKKY 「バーチャルマーケット」誕生秘話
開催からたったの5度目にして、のべ100万人以上が参加する世界最大のVRイベントとなった「バーチャルマーケット」。運営する企業もまた非常にユニークで、ベンチャー企業…

プロe-Sportsチーム「REJECT」オーナー・甲山翔也インタビュー
プロe-Sportsチーム「REJECT」オーナー・甲山翔也。選手に年俸1000万円を支払い、渋谷の街頭ビジョンでCMを流す、現役大学生ながら豪気なオーナーだ。 六本木にオフィ…

韻マンインタビュー 韻に取り憑かれた男
その男の名は「韻マン」。韻を愛し、韻を踏むことのみにこだわってきた。時に批判にさらされながらも、こだわりだけを貫き通すことで、自身の存在を徐々に認めさせていっ…